第3話 少年
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苔が覆った森の道をしばらく歩いていくと、開けた場所に出た。
一行はそのまま先へ進もうとしたが、微かに低くうなるような音が聞こえ、その足を止めた。
「何の・・・音です?足元がひんやりします・・・。まさか!これが呪い?」
「どんな呪いだよ」
二人の話を耳にしながら、リリーティアは辺りを警戒しながらひとり進み歩く。
確かに足元が冷たく感じるが、辺りに響く音は呪いの声というよりもどこか機械音に近く、
彼女はその音に耳をすませながら、音の元を辿ろうとした。
「(あれは・・・?)」
森の茂みの奥に何かがあるのが見え、リリーティアはそれに近づいた。
よく見ると、それは朽ち果てた何かの建造物だった。
「これ、・・・魔導器(ブラスティア)か」
いつの間にか、すぐ傍に来ていたユーリが呟く。
その建造物には魔導器(ブラスティア)がはめ込まれていた。
リリーティアは、じっと朽ちた魔導器(ブラスティア)を見詰めた。
世に出回っている魔導器(ブラスティア)とは少し違ったように見える。
「(これは、新型の・・・!)」
彼女はこの朽ちた魔導器(ブラスティア)を知っていた。
知っていたという以前に、これは彼女自身が作り出したものだった。
「(そうか、ずっと前にここで実験した残骸だ)」
新型であるヘルメス式魔導器(ブラスティア)の研究の際に、その実験が密かにこの森で行われたのだ。
リリーティアは今になって思い出した。
かつてクオイの森でヘルメス式魔導器(ブラスティア)の実験が行われたことがあったのを。
実験は人目をはばかるような、こういった深い森の中で行うことが多く、場所も一箇所に決めずに転々と実験場所を変えていた。
そして、その実験には選抜された研究者たちに任すことも多く、彼女自身がすべての実験に携わってきたわけではない。
そのため、このクオイの森で実験が行われていた時、彼女は参加していなかったため、今になってここで実験が行われていたことを思い出したのだった。
「(もしかして、呪いの噂ってこれが原因・・・・・・)」
リリーティアは小さくため息をついた。
まさか、自分のせいでこの森に要らぬ噂を立ててしまったことに、嫌に罪悪感が込み上げた。
「どうして、こんな場所に・・・?」
エステルもリリーティアたちの傍に歩み寄って、その魔導器(ブラスティア)を近づいて見た。
瞬間、魔導器(ブラスティア)が閃光を放ち、一行は一瞬にして白い光に包まれた。
「っ!?」
「うわっ」
「きゃあっ」
----------ドサ!
閃光とほぼ同時に地面に何かが倒れる音が響き、リリーティアはその音の方へゆっくりと目を見開いた。
「エステル!」「おい、エステル!」
リリーティアとユーリが同時に叫ぶ。
見ると、エステルが仰向けに倒れていたのだ。
二人は彼女の傍にしゃがみ込む。
呼んでも目を覚まさないエステルに、リリーティアはそっとその額に触れた。
「大丈夫、気絶してるだけみたい」
「何が起きたんだ?」
「それより、エステルを安静に休める場所へ」
一先ず開けた場所まで移動し、気絶した彼女を寝かせた。
敷くものも何もなかったのだが、ラピードが進んで枕の代わりになってくれた。
そうして、エステルが目を覚ますまで、リリーティアたちはしばらくその場で休憩を取ることにした。