第11話 大森林
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◇第11話 大森林 【スキット】◇
* 黄昏に染まる空 *
リタ
「ちょっとこれ、どうなってるの?!」
エステル
「まだ、朝・・・でしたよね?」
ユーリ
「あれはどうみても夕日、だよな」
リリーティア
「ここら一帯は日中ずっと夕方なんだ。夕方と夜しかないらしい」
リタ
「どういうことよそれ?」
カロル
「う~ん、ボクが聞いた話だと、大昔の連中がとんでもないヘマをやったせいだって言ってたけど」
リタ
「・・・なにそれ、うそくさ」
カロル
「そんなこと言われても、誰も本当のところはわからないんだから仕方ないじゃん」
リリーティア
「私も初めて見たときは驚いたよ。未だに時間の感覚が掴めないし」
ユーリ
「だろうな。これはちと混乱するな」
エステル
「本当に不思議ですね」
* ギルドの街ダングレスト *
リリーティア
「ダングレストはみんな生き生きしていて、街全体に活気があって素敵な街だね」
カロル
「そりゃあね!ギルド最大の街だし、みんなが信念持って生きてるから」
リタ
「活気っていうか、ただうるさいだけじゃないの」
カロル
「リタはまたそういうことを・・・・・・。リリーティアはダングレストは好き?」
リリーティア
「ええ。訪れる度に、こう元気をもらえるこの雰囲気、私は好きだよ」
カロル
「そっか!そう言ってくれるとボクも嬉しいよ」
リリーティア
「ふふ」
* ドンってどんな人? *
エステル
「ユニオンを束ねる、ドン・ホワイトホースとはどのような人物なんです?」
カロル
「とにかく大きい。声も、体も、態度も、全部が!」
ユーリ
「見た目の話ならしなくていいぞ。オレらもう姿だけなら見てるから」
カロル
「だとするとそうだな。とにかくすごい人なんだよ!」
ユーリ
「わかったか、エステル?」
エステル
「カロルがドンを尊敬してるのは、なんとなく伝わってきました・・・。あとはちょっと・・・」
カロル
「だから、ドンは言葉で言い表せないくらいすごいってこと!」
ユーリ
「ま、そういういことにしとこうぜ」
リリーティア
「(・・・確かに、言葉では言い表せないくらいっていうのは当たってる)」
* 百ギルドの長 *
ユーリ
「この街にギルドってどれぐらいいるんだ?」
カロル
「正確な数は知らないけど、ざっと百以上はいると思うよ」
ユーリ
「げ、そんなにかよ」
リリーティア
「それ全部ユニオンに入ってるの?」
ラピード
「ワン!」
カロル
「ううん、全部ってわけじゃないけど、でも、そうだなあ、九割ぐらいは入ってるかも」
ユーリ
「それのトップ張ってるってことは、ドンってやっぱほんとにすげえんだな」
カロル
「そりゃ、なんたってドンだからね!」
リタ
「なんで、あんたが誇らしげ?」
* フレンは何をしに? *
カロル
「そういえば、フレンは何をしに、ダングレストまできたんだろうね?<帝国>とユニオンは基本的に仲悪いから、騎士がくる事なんて滅多にないのに」
ユーリ
「ただの観光なわきゃねえからな。当然なんかの任務でってことだろうよ。ていうかリリィ、そこんとこ知ってんじゃねえの」
リリーティア
「・・・知ってるけど、<帝国>の任務だから」
ユーリ
「・・・そういうとこ、きちっとしてんのな」
リリーティア
「まぁ、いずれ知ることになるとは思うけど」
カロル
「だったら、今言ってくれてもいいんじゃないの?」
エステル
「あの、フレンは大丈夫でしょうか?ギルドの人たちの風当たりは強かったみたいですし」
ユーリ
「その程度でつまずくほど、あいつはデリケートにはできちゃいねえよ。なんせ、騎士になるまで、下町で育ってきたんだからな」
エステル
「そうだといいんですが・・・」
リタ
「それだと、あんたも気を付けないといけないわよ。<帝国>に仕える騎士なんだから」
リリーティア
「そうだね。でも、見た格好はそれだとわからないから大丈夫。今まで何度かここにきたこともあるからね」
* レイヴン、まじうさんくさ *
リタ
「あらためて言うことじゃないけど、おっさん、まじでうさん臭いんだけど」
エステル
「でも、リリーティアとはとても親しいようですよ」
カロル
「だからってうさん臭くないってわけじゃないと思うけど。どこまで一緒に来るつもりなんだろね」
エステル
「ケーブ・モックの森に、用があるんでしょうか?」
ユーリ
「とか、言われてるけど、なんか答えられることねえのか?」
レイヴン
「ん?そりゃどこまでもついていきますよ。それと森にきた理由は、本当の自分を探すためって言ったでしょ?」
リリーティア
「レイヴンさん、さっきと理由変わってます。自然観察と森林浴、です」
レイヴン
「あれ、そうだっけ?」
ユーリ
「そう頻繁に記憶が飛ぶんじゃ、自分も探したくなるわな」
レイヴン
「そういうこと!」
カロル
「・・・本当に、うさん臭いね」
* 魔術の先生 *
レイヴン
「いつも心はピンク色、喰らえ恋心・・・ぶっ飛んじまいな!アリーヴェデルチ!」
リタ
「っ・・・」
レイヴン
「カチカチツルツル、ピキピキドカーン!インヴェルノ!」
リタ
「っ・・・っ・・・」
リリーティア
「リタ?」
レイヴン
「愛してるぜ~!!」
リタ
「あ~!もうっ!!」
カロル
「どうしたの?」
リタ
「どうしたもこうしたもないわよ!なんなのよ!あのふさげた詠唱!」
エステル
「・・・確かに独特ではありますね」
ユーリ
「独特というか、なんというか・・・」
レイヴン
「ちょっと人が頑張ってんのに、なに若人たちがサボってんの」
リタ
「あんたのせいでしょうが!」
レイヴン
「・・・・・・なに怒ってんのよ?」
ユーリ
「よくあれで魔術が使えるよなって話だ」
レイヴン
「って言われてもね~。あ、あれだ、先生がよかったからね」
エステル
「・・・先生、です?」
レイヴン
「そそ。ね、リリィちゃん」
リリーティア
「ははは・・・先生って・・・」
カロル
「えっ!レイヴンに魔術教えたのリリーティアなの?」
リリーティア
「いや、でも教えたっていっても-------」
レイヴン
「またそうやって謙遜するんだから」
リタ
「・・・・・・おっさんには贅沢ね」
レイヴン
「贅沢ってどういう意味よ」
リタ
「贅沢といったら贅沢なのよっ!!」
レイヴン
「ちょっとなによ!そんなに怒ること?!」
リリーティア
「・・・・・・?」
* 自業自得 *
リタ
「ああ、もう!だから!その詠唱どうにかしなさいよ!」
カロル
「・・・まだ言ってたんだ」
ユーリ
「そろそろ慣れろ、リタ」
リタ
「気が散って仕方がないのよ!」
エステル
「リタ、落ち着いてください、ね?」
リタ
「ちょっと、あんたがおっさんに教えたんでしょ!責任もって、どうにかしてくれる!」
リリーティア
「ど、どうにかって・・・どうすれば・・・」
リタ
「どうにかっていったら、どうにかよ!」
リリーティア
「詠唱文句は集中力を上げるためのものであって、本人の自由だから・・・」
リタ
「おっさんのでこっちの集中がそがれるのよ!」
リリーティア
「だ、だからって、私に言われても、それは・・・」
レイヴン
「やめてよ二人とも~、おっさんのために争わないで♪」
リタ&リリーティア
「おっさんのせいでしょ!」「レイヴンさんのせいです!」
レイヴン
「・・・おっさん心が折れるわ・・・」
カロル
「・・・そこでふざけるレイヴンが悪いと思うよ」
ユーリ
「自業自得だな」
ラピード
「ワフ~」
* 虫の棲む森 *
カロル
「・・・・・・ねえ、なるべく早く、この森、出ない?」
エステル
「どうかしました?そわそわして」
カロル
「べ、別に、そんなことないよ」
ユーリ
「お、なんだ、変な虫がいるぜ。すげえ気持ち悪いな」
レイヴン
「とか言いながら、あっさり手で掴むのはどうなのよ」
リリーティア
「気をつけたほうがいいよ。毒だってあるかもしれないんだから」
ユーリ
「ん?そうか・・・こいつが何だか知ってるのか?」
リリーティア
「・・・いや、知らないけど」
ユーリ
「なあ、カロルは知ってっか?」
カロル
「・・・そんなの持ってこないでよ!」
エステル
「どうしたんですか・・・?」
カロル
「え?い、いや、だってそんなふうに掴んだら、虫がかわいそうでしょ!ほら、早く虫捨てて!」
レイヴン
「かわいそうって言いながら、捨ててって言い方はどうなの?」
リリーティア
「確かに矛盾してますね」
カロル
「ほら、かいわそうだから、早く!」
リタ
「・・・本当に・・・?」
カロル
「本当・・・!」
ユーリ
「・・・ふーん・・・」
* 抜け道の達人 *
カロル
「もお・・・こんなところ、早く出たいのにぃ・・・」
レイヴン
「そう焦んなさんなって。ゆっくりまったり行きましょうって」
リタ
「あんたみたいに安穏とした生き方してないのよ」
レイヴン
「人生ってのはこの森みたいなもんよ、曲がりくねって、絡み合い・・・ああ、この森落ち着くわぁ」
ユーリ
「馬鹿はほっといていくぞ」
レイヴン
「話は最後まで聞いてよ」
ユーリ
「んで、その人生って名前の森ん中で今も迷い中って言いたいのか?」
レイヴン
「おろっ、わかった・・・?」
エステル
「それ以前に今、わたしたちもこの森の中で迷ってるんです・・・」
レイヴン
「それじゃあ、人生の迷い道を行くども抜けてきた達人の俺様がだなあ・・・」
リリーティア
「・・・・・・レイヴンさん、みんな行っちゃいましたよ」
レイヴン
「おい、待て、聞いてってってば・・・」
* どこまでもうさんくさいレイヴン *
カロル
「それにしても、レイヴンが『天を射る矢(アルトスク)』の一員だったなんて」
ユーリ
「見たところ、ドンとも親しいみたいだったな。結構重要なポストなんじゃねえか」
カロル
「う、うん・・・信じられないけど、たぶん『天を射る矢(アルトスク)』の幹部クラスだと思うよ。『天を射る矢(アルトスク)』の一員で、街を離れて仕事するのは、ドンに信用された一部の人間だけだから」
ユーリ
「あんなおっさんがねえ」
エステル
「人はみかけによりませんね。リリーティアはそのこと知ってたんです?」
リリーティア
「ええ」
カロル
「え?そうだったの。だったら、教えてくれてもよかったのに」
リリーティア
「向こうが名乗らない以上、こっちから勝手には言えないよ」
ユーリ
「まあ、そうだな」
リリーティア
「それに私から言っても、みんな信じられなかったんじゃない?」
カロル
「ああ・・・うん、それはそうかも」
ユーリ
「今だって、ますますうさんくさくなっただけだしな」
* ドンとお酒を *
カロル
「リリーティアがドンと親しかったなんて、ボクびっくりしたよ」
リリーティア
「親しいと言っていいかわからないんだけど」
エステル
「でもドンの方は、リリーティアに親しげに話していましたよ」
ユーリ
「酒交わしたことあるって言ってたな」
リリーティア
「ええ、一度だけ。レイヴンさんと一緒にね」
カロル
「すごいね、あのドンと一緒にお酒なんて」
リリーティア
「単なる偶然だったんだけど、用があって訪れていたダングレストの街中でたまたまドンと会ってね。レイヴンさんと一緒にいたところを飲みに誘ってくれたんだよ」
カロル
「いいな~、ボクも大きくなったらドンとお酒交わしてみたいよ」
* 聞くも涙、語るも涙 *
カロル
「でもさ、リリーティアってレイヴンとどうして知り合ったの?」
リリーティア
「どうしてって?」
カロル
「いや、だって・・・、<帝国>とユニオンって仲が悪いし。リリーティアとレイヴンじゃ・・・・・・」
リリーティア
「?」
ユーリ
「あれだな、あんなちゃらんぽらんとリリィとでは違和感あるってやつだ」
リリーティア
「ちゃらんぽらんって・・・」
エステル
「でも、私も少し気になります。どう知り合ったんです?」
レイヴン
「よくぞ、聞いてくれました!」
リタ
「ちょっと、あんたに聞いてないんだけど」
レイヴン
「それは、聞くも涙、語るも涙の物語で-----」
カロル
「やっぱ、いいや・・・なんか長くなりそうだし」
ユーリ
「だな」
レイヴン
「ちょっと、話聞く前からやめないでよ~」
リリーティア
「・・・ははは」
第11話 大森林 【スキット】 -終-
* 黄昏に染まる空 *
リタ
「ちょっとこれ、どうなってるの?!」
エステル
「まだ、朝・・・でしたよね?」
ユーリ
「あれはどうみても夕日、だよな」
リリーティア
「ここら一帯は日中ずっと夕方なんだ。夕方と夜しかないらしい」
リタ
「どういうことよそれ?」
カロル
「う~ん、ボクが聞いた話だと、大昔の連中がとんでもないヘマをやったせいだって言ってたけど」
リタ
「・・・なにそれ、うそくさ」
カロル
「そんなこと言われても、誰も本当のところはわからないんだから仕方ないじゃん」
リリーティア
「私も初めて見たときは驚いたよ。未だに時間の感覚が掴めないし」
ユーリ
「だろうな。これはちと混乱するな」
エステル
「本当に不思議ですね」
* ギルドの街ダングレスト *
リリーティア
「ダングレストはみんな生き生きしていて、街全体に活気があって素敵な街だね」
カロル
「そりゃあね!ギルド最大の街だし、みんなが信念持って生きてるから」
リタ
「活気っていうか、ただうるさいだけじゃないの」
カロル
「リタはまたそういうことを・・・・・・。リリーティアはダングレストは好き?」
リリーティア
「ええ。訪れる度に、こう元気をもらえるこの雰囲気、私は好きだよ」
カロル
「そっか!そう言ってくれるとボクも嬉しいよ」
リリーティア
「ふふ」
* ドンってどんな人? *
エステル
「ユニオンを束ねる、ドン・ホワイトホースとはどのような人物なんです?」
カロル
「とにかく大きい。声も、体も、態度も、全部が!」
ユーリ
「見た目の話ならしなくていいぞ。オレらもう姿だけなら見てるから」
カロル
「だとするとそうだな。とにかくすごい人なんだよ!」
ユーリ
「わかったか、エステル?」
エステル
「カロルがドンを尊敬してるのは、なんとなく伝わってきました・・・。あとはちょっと・・・」
カロル
「だから、ドンは言葉で言い表せないくらいすごいってこと!」
ユーリ
「ま、そういういことにしとこうぜ」
リリーティア
「(・・・確かに、言葉では言い表せないくらいっていうのは当たってる)」
* 百ギルドの長 *
ユーリ
「この街にギルドってどれぐらいいるんだ?」
カロル
「正確な数は知らないけど、ざっと百以上はいると思うよ」
ユーリ
「げ、そんなにかよ」
リリーティア
「それ全部ユニオンに入ってるの?」
ラピード
「ワン!」
カロル
「ううん、全部ってわけじゃないけど、でも、そうだなあ、九割ぐらいは入ってるかも」
ユーリ
「それのトップ張ってるってことは、ドンってやっぱほんとにすげえんだな」
カロル
「そりゃ、なんたってドンだからね!」
リタ
「なんで、あんたが誇らしげ?」
* フレンは何をしに? *
カロル
「そういえば、フレンは何をしに、ダングレストまできたんだろうね?<帝国>とユニオンは基本的に仲悪いから、騎士がくる事なんて滅多にないのに」
ユーリ
「ただの観光なわきゃねえからな。当然なんかの任務でってことだろうよ。ていうかリリィ、そこんとこ知ってんじゃねえの」
リリーティア
「・・・知ってるけど、<帝国>の任務だから」
ユーリ
「・・・そういうとこ、きちっとしてんのな」
リリーティア
「まぁ、いずれ知ることになるとは思うけど」
カロル
「だったら、今言ってくれてもいいんじゃないの?」
エステル
「あの、フレンは大丈夫でしょうか?ギルドの人たちの風当たりは強かったみたいですし」
ユーリ
「その程度でつまずくほど、あいつはデリケートにはできちゃいねえよ。なんせ、騎士になるまで、下町で育ってきたんだからな」
エステル
「そうだといいんですが・・・」
リタ
「それだと、あんたも気を付けないといけないわよ。<帝国>に仕える騎士なんだから」
リリーティア
「そうだね。でも、見た格好はそれだとわからないから大丈夫。今まで何度かここにきたこともあるからね」
* レイヴン、まじうさんくさ *
リタ
「あらためて言うことじゃないけど、おっさん、まじでうさん臭いんだけど」
エステル
「でも、リリーティアとはとても親しいようですよ」
カロル
「だからってうさん臭くないってわけじゃないと思うけど。どこまで一緒に来るつもりなんだろね」
エステル
「ケーブ・モックの森に、用があるんでしょうか?」
ユーリ
「とか、言われてるけど、なんか答えられることねえのか?」
レイヴン
「ん?そりゃどこまでもついていきますよ。それと森にきた理由は、本当の自分を探すためって言ったでしょ?」
リリーティア
「レイヴンさん、さっきと理由変わってます。自然観察と森林浴、です」
レイヴン
「あれ、そうだっけ?」
ユーリ
「そう頻繁に記憶が飛ぶんじゃ、自分も探したくなるわな」
レイヴン
「そういうこと!」
カロル
「・・・本当に、うさん臭いね」
* 魔術の先生 *
レイヴン
「いつも心はピンク色、喰らえ恋心・・・ぶっ飛んじまいな!アリーヴェデルチ!」
リタ
「っ・・・」
レイヴン
「カチカチツルツル、ピキピキドカーン!インヴェルノ!」
リタ
「っ・・・っ・・・」
リリーティア
「リタ?」
レイヴン
「愛してるぜ~!!」
リタ
「あ~!もうっ!!」
カロル
「どうしたの?」
リタ
「どうしたもこうしたもないわよ!なんなのよ!あのふさげた詠唱!」
エステル
「・・・確かに独特ではありますね」
ユーリ
「独特というか、なんというか・・・」
レイヴン
「ちょっと人が頑張ってんのに、なに若人たちがサボってんの」
リタ
「あんたのせいでしょうが!」
レイヴン
「・・・・・・なに怒ってんのよ?」
ユーリ
「よくあれで魔術が使えるよなって話だ」
レイヴン
「って言われてもね~。あ、あれだ、先生がよかったからね」
エステル
「・・・先生、です?」
レイヴン
「そそ。ね、リリィちゃん」
リリーティア
「ははは・・・先生って・・・」
カロル
「えっ!レイヴンに魔術教えたのリリーティアなの?」
リリーティア
「いや、でも教えたっていっても-------」
レイヴン
「またそうやって謙遜するんだから」
リタ
「・・・・・・おっさんには贅沢ね」
レイヴン
「贅沢ってどういう意味よ」
リタ
「贅沢といったら贅沢なのよっ!!」
レイヴン
「ちょっとなによ!そんなに怒ること?!」
リリーティア
「・・・・・・?」
* 自業自得 *
リタ
「ああ、もう!だから!その詠唱どうにかしなさいよ!」
カロル
「・・・まだ言ってたんだ」
ユーリ
「そろそろ慣れろ、リタ」
リタ
「気が散って仕方がないのよ!」
エステル
「リタ、落ち着いてください、ね?」
リタ
「ちょっと、あんたがおっさんに教えたんでしょ!責任もって、どうにかしてくれる!」
リリーティア
「ど、どうにかって・・・どうすれば・・・」
リタ
「どうにかっていったら、どうにかよ!」
リリーティア
「詠唱文句は集中力を上げるためのものであって、本人の自由だから・・・」
リタ
「おっさんのでこっちの集中がそがれるのよ!」
リリーティア
「だ、だからって、私に言われても、それは・・・」
レイヴン
「やめてよ二人とも~、おっさんのために争わないで♪」
リタ&リリーティア
「おっさんのせいでしょ!」「レイヴンさんのせいです!」
レイヴン
「・・・おっさん心が折れるわ・・・」
カロル
「・・・そこでふざけるレイヴンが悪いと思うよ」
ユーリ
「自業自得だな」
ラピード
「ワフ~」
* 虫の棲む森 *
カロル
「・・・・・・ねえ、なるべく早く、この森、出ない?」
エステル
「どうかしました?そわそわして」
カロル
「べ、別に、そんなことないよ」
ユーリ
「お、なんだ、変な虫がいるぜ。すげえ気持ち悪いな」
レイヴン
「とか言いながら、あっさり手で掴むのはどうなのよ」
リリーティア
「気をつけたほうがいいよ。毒だってあるかもしれないんだから」
ユーリ
「ん?そうか・・・こいつが何だか知ってるのか?」
リリーティア
「・・・いや、知らないけど」
ユーリ
「なあ、カロルは知ってっか?」
カロル
「・・・そんなの持ってこないでよ!」
エステル
「どうしたんですか・・・?」
カロル
「え?い、いや、だってそんなふうに掴んだら、虫がかわいそうでしょ!ほら、早く虫捨てて!」
レイヴン
「かわいそうって言いながら、捨ててって言い方はどうなの?」
リリーティア
「確かに矛盾してますね」
カロル
「ほら、かいわそうだから、早く!」
リタ
「・・・本当に・・・?」
カロル
「本当・・・!」
ユーリ
「・・・ふーん・・・」
* 抜け道の達人 *
カロル
「もお・・・こんなところ、早く出たいのにぃ・・・」
レイヴン
「そう焦んなさんなって。ゆっくりまったり行きましょうって」
リタ
「あんたみたいに安穏とした生き方してないのよ」
レイヴン
「人生ってのはこの森みたいなもんよ、曲がりくねって、絡み合い・・・ああ、この森落ち着くわぁ」
ユーリ
「馬鹿はほっといていくぞ」
レイヴン
「話は最後まで聞いてよ」
ユーリ
「んで、その人生って名前の森ん中で今も迷い中って言いたいのか?」
レイヴン
「おろっ、わかった・・・?」
エステル
「それ以前に今、わたしたちもこの森の中で迷ってるんです・・・」
レイヴン
「それじゃあ、人生の迷い道を行くども抜けてきた達人の俺様がだなあ・・・」
リリーティア
「・・・・・・レイヴンさん、みんな行っちゃいましたよ」
レイヴン
「おい、待て、聞いてってってば・・・」
* どこまでもうさんくさいレイヴン *
カロル
「それにしても、レイヴンが『天を射る矢(アルトスク)』の一員だったなんて」
ユーリ
「見たところ、ドンとも親しいみたいだったな。結構重要なポストなんじゃねえか」
カロル
「う、うん・・・信じられないけど、たぶん『天を射る矢(アルトスク)』の幹部クラスだと思うよ。『天を射る矢(アルトスク)』の一員で、街を離れて仕事するのは、ドンに信用された一部の人間だけだから」
ユーリ
「あんなおっさんがねえ」
エステル
「人はみかけによりませんね。リリーティアはそのこと知ってたんです?」
リリーティア
「ええ」
カロル
「え?そうだったの。だったら、教えてくれてもよかったのに」
リリーティア
「向こうが名乗らない以上、こっちから勝手には言えないよ」
ユーリ
「まあ、そうだな」
リリーティア
「それに私から言っても、みんな信じられなかったんじゃない?」
カロル
「ああ・・・うん、それはそうかも」
ユーリ
「今だって、ますますうさんくさくなっただけだしな」
* ドンとお酒を *
カロル
「リリーティアがドンと親しかったなんて、ボクびっくりしたよ」
リリーティア
「親しいと言っていいかわからないんだけど」
エステル
「でもドンの方は、リリーティアに親しげに話していましたよ」
ユーリ
「酒交わしたことあるって言ってたな」
リリーティア
「ええ、一度だけ。レイヴンさんと一緒にね」
カロル
「すごいね、あのドンと一緒にお酒なんて」
リリーティア
「単なる偶然だったんだけど、用があって訪れていたダングレストの街中でたまたまドンと会ってね。レイヴンさんと一緒にいたところを飲みに誘ってくれたんだよ」
カロル
「いいな~、ボクも大きくなったらドンとお酒交わしてみたいよ」
* 聞くも涙、語るも涙 *
カロル
「でもさ、リリーティアってレイヴンとどうして知り合ったの?」
リリーティア
「どうしてって?」
カロル
「いや、だって・・・、<帝国>とユニオンって仲が悪いし。リリーティアとレイヴンじゃ・・・・・・」
リリーティア
「?」
ユーリ
「あれだな、あんなちゃらんぽらんとリリィとでは違和感あるってやつだ」
リリーティア
「ちゃらんぽらんって・・・」
エステル
「でも、私も少し気になります。どう知り合ったんです?」
レイヴン
「よくぞ、聞いてくれました!」
リタ
「ちょっと、あんたに聞いてないんだけど」
レイヴン
「それは、聞くも涙、語るも涙の物語で-----」
カロル
「やっぱ、いいや・・・なんか長くなりそうだし」
ユーリ
「だな」
レイヴン
「ちょっと、話聞く前からやめないでよ~」
リリーティア
「・・・ははは」
第11話 大森林 【スキット】 -終-