第11話 大森林
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いつものようにユーリとラピードが積極的に魔物の攻撃を仕掛ける前衛で戦い、カロルも魔物の隙を十分に狙いながら前に出て戦っている。
後衛では攻撃魔術中心のリタと治癒術と補助の魔術中心のエステル。
その後衛の二人を守るようにして立つレイヴンとリリーティアは、攻撃魔術中心に周りの状況に応じて武器で攻撃を繰り出すなどの中衛の位置で戦った。
「やっぱり火が弱点みたいね」
「そうですね、この一帯の魔物はだいだいそのようですし」
リリーティアとレイヴンは魔物の様子をうかがいながら話す。
二人がそう話すのは、火の魔術が当たった時に魔物は異常な程の興奮状態で怒り狂う姿を見せていたからである。
「しゃーない、これだけでいきますか」
レイヴンはどこか面倒そうにぼやくと、すばやく弓を放つ。
反対にダメージの効果がほとんどないように見受けたのは風の魔術だった。
耐性があるからといってまったく効果はないというわけではないのだが、
効率よくダメージを与えるために、主に風属性の魔術を扱う彼は物理攻撃中心に変えたようだ。
「ちっ、けっこう素早いな」
「ワフ!」
魔物は6本の足を複雑に動かし、巨体の割にはその動きは早かった。
攻撃を仕掛けても、その素早さで直接的なダメージをうまく避けている。
蜘蛛のような素早い動きにユーリだけでなくリリーティアも少しばかりの苛立ちを見せていた。
「(致命的な攻撃は受けていないとはいえ・・・、少しはダメージを受けているのに、まったくその動きは鈍らない)」
リリーティアは魔術を詠唱しながも、気難しい表情を浮かべて魔物を見据える。
「(それもエアルの影響のせいなのか・・・?) -------サジッタグローリア!」
考え込みながら、リリーティアは魔術を放つ。
よく狙いを定めて発動したが、魔物はさっと横に避けた。
「(光もそうか・・・!)」
魔物はあきらかに攻撃を避けたのだが、一瞬怯んだのをリリーティアは見逃さなった。
今彼女が放った魔術は光属性。
つまりは魔物は光属性の攻撃も苦手だということだ。
それを知ったリリーティアはすぐに頭のなかで思考を巡らせると、エステルへと振り向いた。
「エステル、回復と補助は後回しで、光属性の攻撃中心でお願い!」
「え?」
「相手は光にも弱いみたいだから、できるだけ強いのを頼む」
「はい!わかりました!」
そして、リリーティアはレイヴンの方へと顔を向けた。
「レイヴンさん、すみませんが、もしもの時は回復のほう、お願いします」
普段、エステルは仲間たちの怪我や体調を気にかけて戦っている。
今回は攻撃に徹底してもらうらめに、回復できる者が率先して早急の対応を図り、危険な場合はエステルに治癒術を使ってもらう方向でいこうと彼女は考えた。
「りょーかい!若人たち、俺様の愛、受け取ってちょーだいよ♪」
彼には、矢に治癒の術式を施してそれを飛ばし、相手の効果範囲に入ると術式が発動して怪我を治癒する技を持っていた。
術式が発動すると矢はそのまま地に落下してただの矢に戻るのだが、初めて見たときリリーティアはその術式にとても驚いた
詠唱なく即座に相手を回復できる上に、矢を放った後、相手がどれだけ動こうともそれを追尾し必ず相手へ向かうのだ。
それはあまりに画期的な治癒の魔術で、リリーティアは深く感銘を受けたほどであった。
「うざ!」
「オレ、遠慮しとくわ」
「・・・ボクも怪我しないようにがんばるよ」
「ワフ!」
「ラピードもいらねえってよ」
「・・・えっと・・・・・・」
エステルはどう言うべきか戸惑っているようだが、魔物と戦いながらも他の皆はあからさまに嫌な表情を浮かべており、畳み掛けるようにレイヴンに対して拒否の言葉を投げた。
それはふさげているというよりも、本気で嫌がっているように見える。
「ちょっと、ちょっと!それ、ヒドすぎない!」
「・・・・・・ま、まあ、もしもの時は私も回復に回るから」
あまりの皆揃っての拒否な反応に、リリーティアはどうしたものかと困った笑みを浮かべた。
「なら、いいわ」
「リリィならな」
「リリーティアなら安心だね」
「ワン!」
「あの、よろしくお願いします」
レイヴンの時とはうって変わって、一行は納得した様子で快く頷く。
エステルもこの時は迷うことなく、リリーティアに言葉を返した。
「おっさんいじめ反対~!」
あまりの反応の違いにレイヴンは訴えるように叫んだ。
戦いの最中だというのに、この緊張感のないやり取りにリリーティアはただ苦笑を浮かべていた。