第11話 大森林
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「あれは!」
だいぶ森の中心部まできた時、リタが何かを発見し突然駆け出した。
リリーティアたちも急いでリタについていくと、少し開けた場所に出た。
その先には太い幹が複雑に絡み合って巨大な大木がそびえ立っている。
そして、その絡み合った幹と幹の間に大きな空洞が空いており、そこが煌々と輝きを放っていた。
「これ、ヘリオードの街で見たのと同じ現象ね。あの時よりエアルが弱いけど間違いないわ・・・」
その光は大量のエアルの塊だった。
ヘリオードと同じく過度のエアルが溢れているようだが、一定の距離をとっていれば人体にまで影響はないようだ。
リリーティアはそっと窺うようにして、レイヴンのほうへ視線を向けた。
「まさかこの森の奥にこんなところがあるなんてね」
溢れ出るエアルを見上げている彼はいたって普段と変わらない様子である。
心臓魔導器(ガディスブラスティア)への影響は今のところ大丈夫のようだ。
それを確認した彼女は内心ほっとすると、再び煌々と溢れて光るエアルに目をやった。
「(近くに魔導器(ブラスティア)もないようだけど。なら、エアルが大量に溢れているのは、いったい・・・・・・)」
リリーティアは口元に手を当てて、目の前の光景を真剣な表情で見た。
その隣でリタもじっと難しい顔で考え込んでいる。
「ここ、一体なんなのかしら。どうしてこんなところでエアルが大量に-------」
その時、魔物の咆哮が鳴り響いた。
一行がはっとして背後に振り返ると、木の上から巨大な魔物が飛び降りてきた。
「な、何なの!」
カロルは驚きのあまり、一歩後ずさる。
姿は蜘蛛に似た容姿だが、その反り曲がった長い尻尾はサソリの尾に似ている。
足は全部で6本、内の4つの黄色の足先には大の大人一人分の大きさがある刃が生えていた。
長い尻尾の先も刃のごとく鋭く、巨大な図体の魔物であった。
「あの魔物もダングレストを襲ったのと様子が似てます!」
エステルが叫ぶ。
魔物はどこか気性が荒く、興奮状態のようであった。
ダングレストを襲った魔物の状態とまったく同じで、普段の魔物たちと比べても、異様な雰囲気が感じ取れた。
「何?この森どうなってんのよ」
「エアルのせいなの・・・?これって・・・」
レイヴンやリタも魔物の纏う異様な空気に戸惑っている様子だ。
魔物はもう一度啼き声を上げると、一行に向かって突進してきた。
「ウー・・・ワンワンワン!」
「来やがったぞ!」
ラピードがいつもよりも増して警戒を知らせる啼き声をあげる。
魔物が突撃してくるのを、一行は左右に飛び散って避けた。
避けられたことが気に食わなかったとばかりに、魔物は2本の足を振り上げながら、ずんと胸の奥まで重く響く大きな雄叫びをあげた。
「やられる前にやるしかないな。油断すんなよ」
そう言って、ユーリは剣を手に取った。
「ボクたち、生きて帰れないかも・・・」
普段の魔物とは違った気迫に、早くも怖気ついているカロル。
「何、ちょっと強いってだけの魔物よ、すらっとやっちゃお」
「気を抜いたら、命取りになります!」
レイヴンとエステルもそれぞれの武器を手にする。
リリーティアも両手に《レウィスアルマ》を持って構えた。
そうして、皆が一様に巨大な魔物と戦うために臨戦態勢に入ったのである。