第11話 大森林
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「こっちだよ!」
カロルの案内のもと、しばらく街の中を進むと、結界魔導器(シルトブラスティア)がある場所にたどり着いた。
少し階段を上った先に結界魔導器(シルトブラスティア)を操作する装置がある。
「!」
突然、カロルはその足を止めた。
その階段付近に二人の男がうつ伏せなって倒れていたのだ。
ギルドの人間だろう。
リリーティアはすぐにその倒れている男たちの傍にしゃがみ込むと、首元に手を当てた。
「今わたしが-------リリーティア?」
治癒術をかけようとエステルが近づくのを、リリーティアは手で制した。
「・・・残念だけど」
「そんな、なんてひどい」
エステルは口元に手を当てて、僅かに表情を歪ませた。
リリーティアはその場に立ち上がり、階段の上にある結界魔導器(シルトブラスティア)を見る。
すでにリタが魔導器(ブラスティア)の操作盤を表示させているところだった。
「これなら、なんとかなるかも」
リリーティアもリタの元へ駆け寄ろうと、階段を上った時だ。
はっとして何かに気づき、だっと駆け出すとそのまま《レウィスアルマ》を引き抜いた。
魔導器(ブラスティア)を操作しようとするリタに向かって、奥から黒装束の男たちが現れたのである。
それは、赤眼だった。
数は4人。
いち早くその気配に気づいたリリーティアは、赤眼たちに向かって駆ける。
「リタ、危ない!」
エステリの声のすぐ、リリーティアはリタの後ろを抜けると、先頭にいた赤眼に《レウィスアルマ》を振り下ろした。
しかし、その赤眼は軽々と後ろに避け、その攻撃が届くことはなかった。
「結界は直させんぞ」
「ったく、ほんとに次から次に!もうっ!!」
赤眼の言葉にリタはさらに苛立ち、武器である帯に手を回す。
「乱暴なことしやがる」
その時、ユーリたちも階段を駆け上がり、剣を手にリリーティアの傍に立った。
「ここは私たちが。リタは魔導器(ブラスティア)をお願い」
「・・・わかったわ!」
頷くと、リタは魔導器(ブラスティア)の操作盤を操作し始めた。
リリーティアたちは赤眼たちと対峙し、武器を構える。
ユーリ、ラピードが前に出て赤眼たちに攻撃を繰り出した。
そばに結界魔導器(シルトブラスティア)がある以上、魔術は危険だとして今回はリリーティアも前衛に徹し、カロルも相手の素早い動きに翻弄されながらも赤眼に立ち向い武器を振る。
エステルは補助、回復中心に術を使って、一行を援護した。
さすが暗殺をも請け負うギルド。
敏速な動きの上に、連携のとれた動き。
相手は4人といえど、その無駄のない動きにリリーティアたちは少々手こずった。
だが、一人ずつ確実にその動きを封じて、なんとか赤眼たちを撃退する。
「結界魔導器(シルトブラスティア)の不調はこいつらの仕業かよ。結界を壊すか、普通?」
「でも、どうして?」
「(・・・・・・赤眼ということは・・・)」
武器をおさめながらユーリとエステルが話す横で、気絶して倒れた赤眼たちを見下ろしながら、リリーティアはこの騒動の真意を頭の中で探る。
その時、フレンが数人の騎士を連れて駆け寄ってきた。
「こっちも大変な騒ぎだね」
「なんだ、ドンの説得はもう諦めたのか?」
ユーリは階段を下りて、フレンの前に立つ。
「今は、やれることをやるだけだ。それで、結界魔導器(シルトブラスティア)の修復は?」
「天才魔道士様次第ってやつだ」
ユーリが魔導器(ブラスティア)を操作しているリタを見上げて言う。
「・・・魔核(コア)は残ってる。術式いじって、止めただけね。ん?これ、増殖器っ!?それにまた、この術式・・・。エフミドの丘のと少し似てる・・・」
「(この術式は奴らの・・・、それにあの赤眼・・・)」
リリーティアは険しい顔つきでその操作盤を覗き見る。
「魔物の襲撃と結界の消失。同時だったのはただの偶然じゃないよな?」
「・・・おそらくは」
「おまえが来たってことは、これも<帝国>のごたごたと関連ありってわけか」
「わからない、だから確かめに来た」
ユーリとフレンの会話を耳にしながら、リリーティアは口元に手を当てて考えに耽る。
「(ラゴウではなく、これは主にバルボスの仕業か・・・?いや、どちらにしろ・・・・・・)」
「・・・それが、あれで、これが、こう!」
リリーティアは考える事を一度止めると、上空を見上げる。
じっと見ていると、茜色に染まった空にすっと白い輪が現れた。
ダングレストの結界が復活したのだ。
「さすが、リタ」
エステルは喜びの声を上げる。
「よし、外の魔物を一掃する!外ならギルドも文句を言うまい。リリーティア特別補佐、失礼します」
リリーティアを見上げて敬礼すると、フレンは騎士たちを連れて駆け出していった。
行動が早いなと彼女は苦笑を浮かべて、街の中へ消えるフレンの背を見送った。
「リタ、ありがとう。助かったよ」
「これぐらいどうってことないわ」
リリーティアとリタは階段を下りて、ユーリたちの元に集まる。
「魔物の方はフレンに任せて、オレらはユニオンにバルボスの話を聞きにいくぞ」
「フレンのこと、信頼してるんですね、やっぱり」
エステルは微笑みを浮かべてユーリを見る
「他が信頼できないだけの話だろ。比較の問題ってやつだな」
「時々、ユーリの言うことは、難しいです」
エステルは難しい表情を浮かべて首を傾げているが、
リリーティアは、ただ彼が素直じゃないだけなのではと、苦笑を浮かべていた。