第10話 暴走
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「はぁ、はぁ・・・」
リリーティアは広場からひたすらに走り、騎士団本部前に戻ってきた。
「(どこに・・・!?)」
少し前までここにいたはずの場所にシュヴァーンの姿がない。
リリーティアは慌てて周辺を見渡した。
何かあったのではと脳裏に不安がよぎる。
「リリーティア、大丈夫か?」
「!!」
その声にはっとして振り返ると、シュヴァーンが立っていた。
リリーティアには身を案じる彼の言葉が耳に入らなかった。
目の前の彼は苦しげな表情もなく、その場にしっかりと立っている。
彼女にはその姿しか目に入っておらず、その光景しか頭に入っていなかった。
「シュヴァーン隊長・・・はぁ・・・大丈夫、ですか?具合の、方は・・・はっ・・・」
広場から脇目も振らずに走ってきたリリーティア。
肩は激しく上下に揺れ、まだ息を整えられていない状態であった。
「もう大丈夫だ」
「ほ・・・本当、ですか?・・・無理を、・・・して・・・」
「ああ、もう心配はない」
微かに苦笑を浮かべ、シュヴァーンは頷いた。
「そう、ですか・・・・・・・はぁ・・・」
リリーティアは呟くと、額の汗を拭って荒い息を整えた。
ひとつ大きく息を吐くと、改めてシュヴァーンへの顔をよく窺い見る。
エアルの影響を受けていた時とは違い、顔色も良く、確かに無理をしている様子もなかった。
彼の言うとおり、大丈夫のようだ。
リリーティアは深く安堵した。
いや、安堵よりも何より、嬉しかった。
無事であったことが、ただただ嬉しかった。
本当に嬉しかった。
本当に----------、
「-------よかっ・・・た・・・・・・」
突然、リリーティアの視界は暗闇に包まれた。
「リリーティアっ!?」
暗闇の中で、シュヴァーンの声が遠くに聞こえた。
と同時に、何かあたたかいものに包まれた、彼女はそんな気がした。
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「・・・・・・まったく」
呆れた表情を浮かべているシュヴァーン。
その腕の中には意識をなくしたリリーティアの姿があった。
「無理をしているのはどっちなのよ」
そして、ふと思い出す。
と同時に、
そういえば、似たようなやり取りをあの船でもやったような、彼はそんな気がした。