第10話 光輝
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薄暗い廊下を音を立てず足早に歩くリリーティア。
手には薄茶色の紙に包まれた分厚い紙束を抱えていた。
「(あとは、魔導器(ブラスティア)の魔核(コア)だけだ。シュヴァーン隊長は大丈夫だろうか)」
そう心の中で呟くと、彼女はすぐにはっとなった。
そして、”レイヴンさん”と何度も心の中で繰り返し呟いた。
未だ慣れない彼の新たな名前。
そして、いつの頃からか、それが当たり前となった彼のもう一つの名前。
”シュヴァーン隊長”と違和感なく呼ぶ自分に、リリーティアは自嘲の笑みにも似た苦笑を浮かべながら、先を急いだ。
そうして、侵入した窓がある部屋の前に辿り着き、一呼吸小さく息を吐いて立ち止まると、音を立てないようにゆっくり扉を開けた。
「リリィちゃん」
そこにはすでにレイヴンが戻ってきていた。
片手を上げながら笑う彼に、リリーティアは安堵の表情を浮かべると、その部屋へ入った。
「レイヴンさん、大丈夫でしたか?」
「ばっちしよ。例のやつ、これでしょ?」
声を潜めて問う彼女に、レイヴンは得意げに片目を閉じて答えると、懐からの小さな包みを取り出した。
包みを開き、その中身を確認した彼女は頷くと、彼に礼を言った。
その後の二人の行動は早く、周りに注意しながら颯爽と屋敷内を出て、月明かりを頼りに屋敷の敷地内を抜けた。
そして、休む暇もなくそのままノール港を出て、二人は目的物を帝都へ届けるために、ひとまずエフミドの丘を目指したでのあった。