第8話 責
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リリーティアは体を仰向けに向きを変えた。
力なく目を開き、横の窓から覗き見える月を見た。
確かにあれは任務だった。
障害となる芽を摘み取るためだった。
あの人の命令だった。
だから、迷わず刃を振るった。
けれど、あの時は違った。
任務だから。
命令だから。
そうじゃない。
ああなるのを望んでいたのは、そうすることを望んでいたのは。
何より、------------自分自身だった。
私自身が行った行為。
断罪という名の復讐。
「(結局は・・・、私が選んでやってきたこと・・・?)」
ああそうだ、これまでのことも自分がそうした結果だ。
あの人がシュヴァーン隊長を道具のように扱う、その非道な行為に対して、自分は何も出来ないのも。
私は、何もしようとしないだけだ。
あのカルボクラムでの実験も、ブラックホープ号での実験も。
私が何が何でも止めようとしなかっただけだ。
仕方がないからだとか。
脅されているからだとか。
命令だからだとか。
そうじゃない。
そうじゃないんだ。
だから、けしてあの人のせいじゃない。
ああ、私はあの人の人形(どうぐ)にすぎないだなんて、なんて虫のいい考えをしていたのだろう。
それじゃあ自分は悪くないと言っているようなものだ。
都合のいい解釈をして、私は自分がやっていることを正当化していたんだ。
すべては自分が決めたこと。
すべてはこの手で選び取り、この足で歩んできたこと。
今私がやっていることは、誰の責任でもない。
誰も責めることはできない。
責めるのなら、己自身。
そう、これまでやってきたことも、
これからやろうとすることも----------すべて。
リリーティアはそれ以上の思考をやめた。
思考をも拒絶させるほどに心身共に疲れ切っている。
体中汚れたままだったが、動く気力もなく、彼女はそのままゆっくりと目を閉じた。
彼女はあっという間に闇へと身を委ね、泥のように眠った。
第8話 責 -終-