第7話 人形
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
数日後。
----------暗雲が覆う空は、残酷な私の心のように漆黒で。
----------降り注ぐ雨は、冷酷な私の瞳のように凛冽だった。
雨の中、台地に佇むリリーティア。
まるで涙のように、降り注ぐ雨が頬を伝う。
その場所からは、森林地帯に覆われた古き都市カルボクラムがよく見渡せた。
実験を見極めるには最適な場所だった。
そこから見た情景。
目をあけられないほどの閃光がカルボクラムを包み、そこから人々の叫声が響く。
そして、激しい爆音と共に地面が轟き、炎に飲まれたカルボクラムが目の前に広がっていた。
カルボクラムの住民たち。
彼らは、いつものように明日が訪れると思っていたであろう。
だがそれも、いつもではなくなった。
もういつものような日を迎えることはできない。
誰もが夢を見ているであろうその時、それは失われた。
----------私が奪った。
今、目の前にあるカルボクラムは、美しかった頃の面影はまったくといってない。
「リリーティア、いくぞ」
その声へと振り向いた先にはアレクセイがいた。
彼女は何を思うわけでなく、彼を一瞥すると目を伏せた。
「・・・はい」
返事を聞くやいなや、アレクセイは彼女に背を向けて歩き出す。
リリーティアは崩壊したカルボクラムをもう一度見た。
そして、カルボクラムに背を向けると、彼女は深紅の頭巾(フード)を深く被り直し、彼の後に続いた。
その時、魔導服(ローブ)の袖から僅かに見えた彼女の手は無惨にも黒く汚れていた。
冷たい雨に打たれ続けたカルボクラムは、間もなくして炎は消えたが、漆黒の煙は長い時間、不快な臭いとともに空を舞い上がっていた。