第5話 少女
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「心臓魔導器(ガディスブラスティア)は未だ安定しておりません。ですが、以前よりは深刻な数値ではありません」
「そうか」
リリーティアは、アレクセイに心臓魔導器(ガディスブラスティア)の状況を報告していた。
しかし、それに対する彼の返事は素っ気ないものだった。
どうでもいい事だとでもいうような。
「ところで、あの件はどうなっている」
「・・・・・・もう少し考えをまとめた上で、報告致します」
それを、裏付けるようにアレクセイはさっさと話を切り替えた。
以前の彼ならば、心臓魔導器(ガディスブラスティア)のことを、シュヴァーンの状態をよく気にかけていたというのに。
気遣うことさえも、今の彼の心には持ち合わせていないようだ。
「時間は限られている。早急に頼むぞ」
「・・・・・・・・・」
リリーティアは一度目を閉じる。
至って以前と変わらない彼。
だがそれはそう見えるだけ。
その心は歪んでいる。
すべては、彼の声がそう語っている。
それは、僅かな変化であり、大きな変化。
そして、彼女はひたとアレクセイを見据えた
「やはり危険です」
「何?」
アレクセイの眉が微かに動く。
訝しげに彼女を見た。
「あの古文書に書かれているものは、<帝国>を変えるというよりも、脅かすものになると考えます。おそらくは、私たちの想像を遥かに超えた強大な力が眠っている可能性があり----------」
「それでいいではないか。今、この腐敗した<帝国>を変えるには、力が必要なのだ。強大な力がな」
その言葉は、<帝国>を変えるという根本的なところは以前とまったく同じものだった。
しかし、以前に聞いた時とはまったく違った響きを醸し出していた。
理想というより野望。
信念というより憎悪。
その言葉の響きも、重さも、意味さえも変わっているように感じさせた。
リリーティアは彼の変化を感じながらも、引き下がらなかった。
「しかし、それは人を救うのではなく、人を恐怖へと陥れるだけです」
「”敵”は人間だけではないのだ。それ相応、それ以上の力が我々には必要だということは君も知っているだろう」
「・・・ですが、それは私たち人間が----------」
「余計な詮索は時間の無駄だ。君は一刻も早く、優先的にあれを復活させる方法を考えるのだ。よいな」
何を言っても、今の彼の耳には彼女の言葉は届かない。
彼女は静かに目を伏せた。
「・・・はい」
ただ、彼の言葉を受け入れていくしかできなかった。