第4話 歪
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リリーティアは一層自分自身を力強く抱いていた。
それでも、体中の震えは止まらない。
瞳は恐怖に見開いたまま、数時間前のことを思い返す。
「(何が・・・・・・関係ない、だ)」
一番関係ないのは、彼じゃないか。
「(何が、任務だ)」
任務と称して彼らをこの歪んだ理想に巻き込んでいるだけだ。
あれは任務という名の復讐。
任務の標的である人物を、一番深く憎んでいたのは、----------紛れもなく、この私。
彼には関係のないことだったのに。
復讐。
あの時、一番それを感じていたのは----------私。
暗殺。
あの時、一番それを望んでいたのは----------私だったのかもしれない。
でも、自ら行うことはしなかった。
あの人が彼に与えた任務だからと、----------私は逃げた。
自分の手で人の命を奪うことが怖かった。
だから、自らできなかった。
任務の補佐をしただけだと。
自分は人を殺してはいないのだと。
闇から逃げるために。
死を背負うことを押し付けたんだ。
誰よりも関係のない、彼に。
彼に絶望を与えた上に、
私は、彼に---------- ”死”を背負わせたんだ。
死を、そして、罪を背負うべき人間は、ここにいるというのに。
私はそれらから逃げた。
「彼を、・・・・・・利用したんだ」
大切なものを奪われて憎んだ。
それは、守れなかった自分の責任でもあった。
大切なものを奪った者を憎んだ。
だからといって復讐すること、それは道理に反することだと気付いていた。
けれど、恨みは消えなかった。
その衝動を抑え、あの人を止めようとした。
けれど、すでにあの人の心は歪んでいた。
歪んだあの人を止めることが怖くなった。
あの人の瞳が、とても恐ろしかった。
そして、その恐怖から逃げるように、私は憎しみに身を投じた。
あの人が言うことを、憎悪の名の下で肯定した。
彼が動くのを、憎悪の名の下で正当として見ていた。
間違いだと分かっている正当心。
大切なものを奪った者への憎悪心
そのふたつの心がひしめき合うように、体中を駆け巡る乱れた感情、思考。
それらすべてに嫌気がさした。
感じることが嫌になった。
考えることが嫌になった。
苦しくて、苦しくて、苦しくて。
ただそこから逃げ出したかった。
だから、私は、彼にすべてを押し付けた。
リリーティアはゆっくりと顔を上げた。
視界に映るのは、--------------------”薄ら笑う顔”
「!!」
彼女は勢いよく立ちあがると、一目散に駆けだした。
何かから逃げるように、その表情は必死で、恐怖に強張っている。
瓦礫と化した騎士団本部に背を向けて、力の限り走った。
闇に染まる帝都の中へと。