第1話 背中
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リリーティアはシュヴァーンの経歴書類から目を離し、作業机を覆い尽くすほどの書類の山を見る。
書類一枚一枚すべてが手書きの文字でびっしりと埋め尽くされたていた。
そのほとんどのものに心臓魔導器(ガディスブラスティア)という文字が記され、
中には心臓魔導器(ガディスブラスティア)に関した図面が書かれているものもある。
実のところ、彼に施した心臓魔導器(ガディスブラスティア)は移植が成功したあとも何度か不具合が生じていた。
肉体と心臓魔導器(ガディスブラスティア)がお互いに反発しているのか、現段階での原因は定かでなく、
そのため、彼の心臓魔導器(ガディスブラスティア)は定期的に検査を行っている。
現に先ほどもそれを行っていたのだ。
「(早く安定させないと)」
心臓魔導器(ガディスブラスティア)に異常が起きるたびに、彼は胸を押さえ苦しそうな顔になる。
いつも何もない表情の彼が。
「(その時だけだ。唯一、表情が変わる時というのは・・・・・・)」
リリーティアはあの日から後悔と自責の念に苛まれていた。
いつもそのことが頭から離れなかった。
それは彼ら自身の中に答えがあるのかもしれない。
でも、今の彼らに聞けるはずもなかった。
生きていて良かった?----------なんて。
リリーティアは窓越しに空を見上げた。
「(後悔している暇はない。私がしてあげられることは、これぐらいのことしか・・・ないんだから)」
その表情は悲痛に歪んでいた。
でも、その悲しみの中でも彼女はまだ信じていた。
時間が彼らを変えてくれると。
いつもの彼らに、戻ってきてくれると。
だから、せめてその時まで、その時が来たあとも、自分が出来る精一杯のことを。
彼女はそう心に強く刻んでいた。
それが、彼女の----------せめてもの”償い”であった。