第4話 歪
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『あなたがいつも無理をしていること、我々は知っていますよ』
『どうか一人で悩むことだけはしないで下さい』
『そうです。わたしたちもいるのですから』
『どんなことでも力になりますよ。何でも言ってください』
-----彼らの、
-----温かい声、優しい顔。
建物の上では術式紋章が水面のように揺らぎ、ふっと掻き消えた。
力場はその内に蓄えた力を解放した。
本部の建物そのものが膨れ上がったように見えた。
『一度は失いかけたこの流れを絶対に止めはしません』
『ええ、必ず守って見せます。騎士の誇りにかけて』
『リリーティア殿、わたしたちがいることをどうかお忘れなく』
『ですから、これからも、一人で抱え込むことはやめてください。絶対ですよ』
-----彼らの、
-----揺るぎない瞳、揺るぎない心。
壁に亀裂が走り、窓や戸口から溢れる光と光をつないでいく。
亀裂は広がり、光と影の支配率が逆転する。
-----それは、まだ昨日の出来事。
-----その時見た、彼らの優しい笑顔
-----その時感じた、彼らの温かな想い。
爆発が起こった。
三か所で力場が同時に炸裂し、その内側にあるもの、外側にあるものも粉々に吹き飛ばした。
衝撃波が走り抜け、無数の破片を雨のように周囲にまき散らす。
-----それも全て、光にのみ込まれた。
そこら中で火の手が上がり、爆発がやり残した仕事の仕上げにかかる。
もうもうたる黒煙が空を覆い、地上に影を落とした。
-----炎の中に消えた。
リリーティアは、力なく立ち尽くす。
目を見開いたまま、口を閉じる力さえない。
ただ呆然と、愕然と。
廃墟と化した本部を見上げていた。
ただただ、見上げることしか出来なかった。