第15話 ギルド

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雨が降り注ぐ、欝蒼とした森。

大粒の雨が大きな葉に打ちつく度に、楽器のようにバラバラと音が鳴っている。

地面には水が溜まり、その地面に伸びている木の根は滑りやすく、慣れていない者は歩くのも四苦八苦するであろう道中を足早に進む者が三人。

雨をしのぐ為の外套(ローブ)に身を包み、頭巾(フード)を深くかぶっているため誰であるか窺い知ることはできない。

どんどん森の中を進んでいくにつれて、雨が多いこの大陸ではよく見られる、著しく生育した特有の植物たちがその者たちの行く手を阻む。





しばらく森の奥を進んでいると、木々の隙間からある建物が見えた。

植物に覆われていた道が開けると、荘厳さ漂う大きな館が世間からはばかる様にそこに佇んでいた。

その館の入口には、扉を挟んで二人の見張りが立っている。

袖と裾の広がった上着を纏い、口元以外を覆った覆面の上で赤い光を放った両眼のレンズをつけている----------赤眼だ。

三人は門の前で一度立ち止まると、まず二人だけが館の入り口に立っているその見張りの赤眼に何やら話す。

その後、二人は門前で待っていた一人に振り向くと、その一人も館の入り口まで歩みを進めた。

そして、三人は扉を開けて、その館の中へと入っていった。





扉が閉まるのと同時に、先を歩く二人がまず被っていた頭巾(フード)を取った。

その頭巾(フード)から現れたのは、赤髪の少女と黄緑髪の少女。

どちらもその髪をふたつに結っている。





「やっと着いたぬ~」





黄緑髪の少女が疲れた様子で息をつく。





「ご足労さまでした、師匠」




赤髪の少女に師匠と呼ばれた最後の一人がその頭巾(フード)をとった。





「いつもありがとう、ゴーシュ、ドロワット」





薄桃色の髪飾りについた小さな花の飾りが揺れる。

その頭巾(フード)から現れたのは小さく笑みを浮かべた、リリーティアだった。










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「以上が鷲からの指令です。それでは、よろしくお願いします」

「了解デ~ス、ミス・リリーティア





館のある一室。

そこには、机前で手を組んで座っているイエガーと、彼に対面して立っているリリリーティアの姿があった。

彼女は『海凶の爪(リヴァイアサンのつめ)』の首領(ボス)であるイエガーへ、アレクセイからある指令を伝達しにきていた。

彼女が訪れたこの館は、通称----------背徳の館。

トルビキア大陸の西方面に広がった深い森の中にあるこの館は、武器商人ギルド『海凶爪(リヴァイアサンのつめ)』のアジトであった。

彼女がわざわざ帝都から遠くここまできたのはそれだけのためでなく、ここまで来る途中にアレクセイの指令でいくつかの成すべき事があったからである。





「オ~ケ~、入ってきていいですよ、ゴーシュ、ドロワット」





アレクセイからの密命でもある、ギルドへの依頼内容についての話し合いを終え、イエガーが部屋の扉に向かって言った。

部屋の前で見張りをしていた二人は「失礼します」と軽く一礼して入ってきた。





「今更で申し訳ないのですが、あの一件のこと、ありがとうございました。私事で無理を言ってしまってすみません」

「ノープロブレム。ユーからのミッションは、ミーのギルドが深く関わっていることでしたからネ。ビスネスのついでデ~ス。それに、あれはゴーシュ、ドロワットがメインにガンバってくれましたからネ。彼女たちのおかげですヨ」





イエガーの横に立つゴーシュ、ドロワットは少し照れた表情を浮かべている。

首領(ボス)からの賞賛の言葉に喜んでいるようだ。





「ゴーシュ、ドロワット、本当にありがとう」

「いえ、師匠の頼みとあらば」

「どんな時でも力になるわん」





二人は胸に手を当て、胸を張って答えた。

その言葉は何より師を想う弟子の想いが込められている。

リリーティアは二人の言葉に「ありがとう」と笑顔で返すと、ゴーシュもドロワットも嬉しげに笑みを返した。





そんな彼女たち三人の様子を、イエガーは微かに笑みを浮かべて見詰めていた。





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