第14話 騎士
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あれから一先ず、森を抜けた先に待機させていた別隊の合流し、捕らえた過激派の人たちを荷馬車へと連行した。
その前に、爆発物の入手経路や、他の過激派集団の居所などを問いただしたのだが、結局、決定的な出所は掴めなかった。
彼らは帝都各地を爆破する計画を立てていたが、今騒がせている反<帝国>勢力集団にあやかって自分たちで勝手にやろうとしただけだという。
だから、他の集団と一切の関わりがないということだった。
しかも、爆発物を運んできた人物はすでに行方がわからないらしく、強く問いただしても、答えたくても答えられないと彼らは訴え続けた。
あの必死さから嘘は吐いていないように思われるが、嘘か誠かは、正式な取り調べでそれは自ずと分かることだ。
しかし、結局はまたいつものように片がつくことはないのだろうと、リリーティアはすでにそう見切りをつけていた。
そして、過激派の人たちを乗せた荷馬車と共に、今はマイオキア平原を進んでいる。
すでに太陽は真上まで昇っていて、帝都に着くのは夕方か、遅くても夜には着くだろう。
馬が荷車を轢く音を耳に聞きながら、彼女はふと空を仰いだ。
「(気が引けるけど、やっぱり調べてもらうべきか・・・)」
彼女は心の中で呟く。
そして、一人の男の顔を思い浮かべた。
それは、『海凶の爪(リヴァイアサンのつめ)』の主領(ボス) イエガーの姿。
彼ならすぐに出所を掴められるだろう。
イエガー率いる『海凶の爪(リヴァイアサンのつめ)』は、武器全般を専門に商売しているギルドであり、違法な武器の密売を生業としているギルドだ。
その独自の流通ルートで魔導器(ブラスティア)の密売も行っているから、違法な物品、例えば爆発物の出所も知っている可能性は高い。
高いというよりも、『海凶の爪(リヴァイアサンのつめ)』が深く関わっているのは確かだろう。
あとは、誰にそれが渡され、どう流れているのかを知ることができれば、反<帝国>勢力の元を断てるかもしれない。
この任務が重視化されてきた頃から、何度か彼に頼もうと思っていたが、彼もまたアレクセイの命の下に動き回っている身。
だから、この問題は騎士団でなんとかするべきだと考えていた。
けれどこれで何度となく捕まえ、聴取し、結局振り出しに戻ることを繰り返してきただろうか。
それに----------、
「(-------これ以上、関係のない人たちが巻き込まれないよう早く止めるべきだ)」
彼女はそっと己の肩に触れた。
さっきよりは肩の痛みは治まった。
治まったというより、痛みに慣れてきたと言ったほうが正しいのかもしれない。
あれからも右肩に鈍い痛みを感じながら、何事もない素振りを貫いていたリリーティア。
そのため、ルブランや他の隊員たちは気づいていない。
彼女は前を歩くシュヴァーンの背を見た。
おそらく、彼も気づいた様子はない。
このまま帝都へと帰路に着ければいいが、そうはいかないだろうと常に覚悟はしていた。
行きでも一度は魔物と遭遇したのだから、帰りも十分に魔物との戦闘はあり得る。
とその時、前を歩くシュヴァーンの様子が僅かに変わったのを彼女は見逃さなかった。
「(・・・思ってるそばから)」
険しい顔つきで彼女は《レウィスアルマ》を引き抜いた。
ほぼ同時にシュヴァーンも己の剣を引き抜いていた。
「グオォォォッ!!」
魔物の咆哮。
それは複数で、その咆哮を聞いただけでも数は多いとわかる。
隊員の誰かか魔物の群れだと叫んだが、すでにシュヴァーンとリリーティアが動いた後だった。