第13話 竜使い
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気づくと、私は暗闇の中にいた。
周りは、光も影もない、黒一色。
それなのに、手や足、自分の体ははっきりと見える。
闇の中に自分だけが、くっきりと浮かび上がっているかのようだった。
その闇の中に浮かぶ自分の手。
よく見ると、私の手は震えていた。
どうして震えているのかわからない。
私は漠然とした不安を感じた。
その不安もどこから来るのかわからない。
私はとっさに自分の体を強く両手で抱きしめた。
それでも、手の震えどころか、体中が震え出す。
寒いわけでもない。
けれど、体の中が冷えているような感覚。
その冷えが寒さからきているものではないということは分かる。
さらに自分の体を強く抱きしめるが、震えはいっこうに収まらない。
寧ろ、酷くなるばかり。
ただ漠然とした不安だけが体中を駆け巡る。
そして、浮かぶ疑問。
私は、なぜここにいる?
私は、なぜ震えている?
私は、何に震えている?
「----------いだ」
その時、何処からともなく何かが聞こえた。
無意識の内に、自分の体を抱きしめている両の手に力がこもる。
「----------のせいだ」
少しずつはっきりとその声は耳に届く。
さらに、両の手に力がこもる。
「おまえのせいだ」
今度ははっきりと聞こえた。
ただ、その言葉が意味するところはわからない。
「おまえのせいだ」
違う。
本当は、わかっている。
だけど、わかりたくない。
私は膝をつき、前屈みになって、さらに体を強く抱きしめた。
それでも、震えは収まることを知らない。
それ以前に、さらに酷くなる一方だった。
「余計なことをしなければ死なずにすんだんだ」
わからない。
「余計なことをしなければ」
わかりたくない。
「どうして私たちは死んじゃったの?」
幼い女の子の声。
知らない。
知らない。
知りたくない。
「どうして僕たちが死ななければいけなかったの?」
幼い男の子の声。
聞かないで。
聞かないで。
聞きたくない。
「どうして俺たちが-----」
「どうして私たちが-----」
甲高い声。
低い声。
張りのある声
か細い声
掠れた声。
けれど、明らかにどの声もが、言いようのない怒りと憎しみが込められている。
数えきれないほどの様々な声が折り重なって響く。
闇の中に反響し、幾重にも木霊する。
「どうしておまえは生きている?」
「どうしてあなたは生きている?」
っ!!
私はとっさに震える手で耳を塞いだ。
知らない!
聞きたくない!
聞こえない!
私には何を言っているのか分からない!
「俺たちの命を奪ったおまえがなぜ生きている?」
「私たちの命を奪ったあなたがなぜ生きている?」
聞こえない!
聞こえない!
耳を塞いでいるはずなのに、なぜかその声ははっきりと耳に響く。
「どうしておまえはのうのうと生きているんだ?」
「どうしてあなたはのうのうと生きているの?」
聞こえない!
聞こえない!
まるで、直接頭に響いているかのように。
「僕たちの命を奪っておいて!」
「あたしたちの命を奪っておいて!」
違う!
声はさらに大きくなって、私の耳に、頭に、響く。
「俺たちの命を奪っておいて!」
「私たちの命を奪っておいて!」
違う、違う、違う、違う!!
「違わない」
その声はどこか人のようで人ではないような声。
頭に浮かぶ映像。
見たことも、聞いたこともない形の黒い影。
「お前がやってきたきたことは、すべてが間違いだったのだ」
違うっ!!
その人なき声は、淡々として、怒気も感情も感じられない声になっていた。
「結界魔導器(シルトブラスティア)に愚かなる手を施し、災厄を招いた」
違う!
真実をただ告げるように。
「結果、お前の愚かな行為によって多くの命が奪われたのだ」
ちが、う・・・!
咎人に有罪判決を告げるように。
「お前が街を、多くの命を滅ぼしたのだ」
ち、が・・・っ!
容赦なく言い放つ声。
その声は、体に重く圧し掛かる。
「すべてがお前の自己満足にすぎなかったのだ」
っ・・・!
胸が息苦しい。
私は、闇に染まる地面なき地面に額をつけるまで体を屈めた。
「それが真実だ」
ぅ・・・っ!
「すべてはお前の罪だ」
ぅ、ぁ・・っ・・・!
「お前が殺したのだ」
っっ、ぁぁぁああああああああああああああああああああーーーーーーーーーーーーっ!!