過去編【第2章】
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窓から見える半月。
艶やか白銀の光を放っている。
しかし、今夜はやけにその白銀が紅(あか)みがかっていた。
「おまえたち、は・・・っ・・・」
それは、目の前に立つ男から零れ落ちる朱(あか)に染まてしまったかのように。
月は白銀に、紅に、輝く。
その者、壮年の男は怒りと屈辱の響きを帯びた言葉を最後まで言えず、その場に力なく崩れ落ちた。
伏したその肩越しにゆっくりと朱溜まりができていく。
紅みがかった月光下でも、その血は限りなく闇色に見えた。
その闇色の先に、影があった。
それは、ふたつ。
微かな痙攣と共に生命の抜けていく体を、人の形をした影たちは見ている。
その影のひとつは、まるで、仮面を被っているかのよう。
それは、虚(うろ)の仮面。
もうひとつの影は、まるで、闇を纏っているかのよう。
それは、憎(ぞう)の闇。
仮面を被る影と、闇を纏う影は、静寂の中でしばらく佇んでいた。
物言わぬ冷たい肉の塊を見下ろしながら---------------。
第0話 影 -終-
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