第15話 強さ
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「(変換後の数値、抑制機能の安定率・・・)」
リリーティアは心の中で呟きながら、分厚い紙の束の一枚をめくった。
机の上には書物や束にまとめられた資料が山となって積まれている。
そこだけでなく、彼女の周りにはたくさんの書物や資料が床中に広がっていた。
ここは騎士団本部にある彼女の研究室だ。
「(間違いはない。でも、もしも・・・)」
彼女は資料から目を外すと、机を照らす明かりに目を向けた。
闇に揺れる光をじっと見詰める。
「(そんなことを考えても、仕方がないということは分かってるけど)」
それでも、最悪の結果を考えずにはいられなかった。
<帝国>議会に出席したあの日から、リリーティアは結界魔導器(シルトブラスティア)の結界力の強化、結界可能範囲の拡大に関しての見直しに忙しない日々を送っていた。
自分の考え、やり方に間違いはなかったか。
そして、それを施した後の経過状況に見落とした点がなかったか。
あらゆる方向から観点を変えて模索していた。
そんな中で不安もあった。
”自分の不手際で結界が魔物に破られた、そんな最悪な結果だったなら-----”
その考えは、けして頭から消えることはなかった。
「(それでも、あの言葉に嘘はない)」
すべての責任は自分が負う。
評議会の前で表明した言葉はその場しのぎでも、まして虚言でもない。
あの非常事態について究明することは、自分の考えたあの計画は正しかったと証明することでもある反面、結果によっては自分の失態を晒すことなる。
それでも、なんとしてでも究明する必要がある。
真実を知ることを怖れて、ここで逃げるわけにはいかないのだ。
リリーティアは机にある書物や書類を抱えられるだけ抱えると研究室から出ていく。
すでに夜も更け、闇に深く沈んだ時刻。
騎士団本部の廊下は照明があるとはいえ、そこは薄暗く、寂しさを感じさせるほどの静寂に包まれている。
あたりには騎士の姿もなく、ただ彼女の足音だけが廊下に響いていた。