第14話 想い
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「一度ここで小休止しましょう」
キャナリの声に小隊たちは足を止め、誰もがその声に一息吐く。
<帝国>全土に非常事態宣言が発令されてから、早急の措置として騎士団は帝都周辺の警護を行っていた。
この事態に関する今後の対策は明日にも正式に決定することになっている。
現在、キャナリ小隊とその補佐を務めるリリーティアは、帝都周辺の警護とともに大掛かりな魔物の狩りを実施していて、この時点で既に数え切れないほどの魔物を仕留めていた。
リリーティアは近くの木にもたれ掛かると、息をふっと吐いた。
そのため息は魔物討伐に疲れたからではなく、あることを思い悩んでのものだった。
「(明日、何を言われるんだろう。・・・ううん、何を言われるかなんて目に見えてる)」
リリーティアは空を仰いだ。
しばらくそうしていると。
「リリーティア、何かあったの?」
リリーティアはキャナリの声にはっとする。
見ると、彼女は心配した面持ちでこちらを見ていた。
「何なに?まーた、一人で悩んでんの?」
キャナリの後ろからひょっこり顔を出してきたのはダミュロンだ。
彼だけでなく、ヒスーム、ゲアモン、ソムラス、他の仲間たちまでもがリリーティアのことを気にかけて声をかけてくれる。
仲間たちの言葉はどれも温かかった。
「その・・・」
以前のリリーティアなら、なにかと笑って誤魔化そうとしただろう。
けれど、今の彼女はそうしない。
あの船の上で向けてくれたキャナリたちの笑顔があったからだ。
その笑顔が悩みを打ち明ける不安を和らげ、皆の優しさに素直に甘えることが出来た。
「明日、評議会との会議があるんです」
「会議?」
キャナリが聞いた。
「はい。今回の事態を受けて、今後どうしていくべきかという話し合いとなっているのですが・・・」
リリーティアはそこで言葉を切ると、黙り込んでしまった。
キャナリは心配そうに彼女の顔を覗き込んだ。
「その話し合いに何かあるの?」
「・・・・・・きっと、評議会は私の失態と評してアレクセイ閣下を糾弾するでしょう」
それを聞いた小隊の皆が驚いた顔をして、リリーティアの言葉を訝った。
目を伏せる彼女の表情は険しい顔つきであった。
「ちょっと待て、どうしておまえさんの失態になんだ?」
「そうですよ。あれは凶暴化した魔物たちの仕業じゃないですか。なのにどうして」
ダミュロンとソムラスの言葉に皆がそうだと頷いた。
彼女は仲間たちを一瞥すると視線を足元に落とし、そして、ゆっくりと話し始めた。