第11話 姉妹
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「ダミュロン、ゲアモン、いい大人が何やってるの」
「まったくだ」
キャナリとヒスームは、そんな二人の様子に呆れて揃ってため息をついた。
呆れているキャナリの隣で、リリーティアは小さく笑いながら自分のグラスを手に取った。
僅かにしか水が入っていないことに気づいた彼女は、
ダミュロンたちが楽しげに騒いでる中、その場を立ち上がるとグラスを片手に水を注ぎに向かった。
席から離れた所にある給水スペースからでもダミュロンたちの騒ぐ声が聞こえてきて、彼女はクスクスと小さく声をもらす。
楽しい人たちだなと思いながら、グラスに水を注ぎ入れ終わると彼らの元へと向かった。
その戻る途中のことである。
「ぁ・・・!?」
-------パリン!!
ガラスの割れた音が食堂に響いた。
その音に食堂内にいる騎士たちの何人かが一斉に振り向く。
騒いでいたダミュロンたちの声も途切れるように止み、その音のほうへと振り向いていた。
「ったく、気をつけろよ!」
「っ!・・・す、・・・すみません」
その大きな声に、思わずリリーティアは肩を震わせた。
彼女はひとりの騎士と肩がぶつかり、その時に水を注ぎ入れたグラスを床に落としてしまったのである。
そのせいで、彼女の服とその足元は水で濡れて、床には割れたグラスの破片が散らばった。
驚きのあまり謝罪する声は自然と小さくなってしまい、それがまた気に食わなかったのか、
一層不機嫌な顔で睨んできた相手に、彼女は慌ててもう一度頭を下げた。
すると、まだその表情は不服そうながらも、相手の騎士はそれ以上何も言うことはなく、そのまま食堂を出て行ったのだった。
彼女はほっと胸を撫で下ろし、その場にしゃがみ込む。
そして、割れたグラスの破片を片付けようと手を伸ばそうとした、その時。
「リリーティア、大丈夫?」
「あ、はい」
見ると、いつの間に駆けつけたのか、気遣わしげにリリーティアの顔を覗き込むキャナリの顔があった。
すでに周りの騎士たちは何事もなかったかのように、自分たちの食事を楽しんでいる。
「ああ、駄目よ。危ないから私が片付けるわ」
「いえ、これぐらいは-----」
「ほら、いいから」
有無も言わさずキャナリに腕を引っ張られて、その場に立ち上がった。
リリーティアの服が少し濡れていることに気付いたキャナリは、持っていた自分の布(ハンカチ)を取り出した。
そして、軽く叩くようにして濡れた場所を拭き取っていく。
「あ、あの大丈夫ですよ。あまり濡れていませんから。それに-----」
「いいのよ、気にしなくて」
「で、でも-----」
「怪我はしていないのね?」
「え?・・・は、はい。大丈夫、です」
何か言おうとしても間髪いれずにキャナリが話すため、何も言葉を返せないままになり、結局リリーティアは彼女にされるがままとなってしまった。
そして、「後は自分がやるから」と戸惑っているリリーティアの背中を押し、元の席に戻るように促された。
ちらちらと彼女の方を気にしながらも、その言葉に甘えてリリーティアは自分の席へと戻ったのだった。