第10話 永遠
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「んー、なかなかうまくいかないなぁ・・・」
「でも、だいぶ形になってきているわ」
ここは、騎士団本部にある訓練所。
リリーティアは難しい顔でじっと前を凝視している。
彼女の視線の先には、円が描かれた的を逸れて壁に刺さった矢があった。
「それに、短時間の練習であの距離まで矢が届いているしな。それだけでも、すごいってもんだ」
「ええ、上出来よリリーティア。私も驚いたわ」
二人の言葉にリリーティアは照れた笑いを浮かべた。
今、彼女はキャナリに弓を教えてもらっていたのである。
キャナリが彼女の横に立って弓の扱い方を教えていて、その少し離れた所でダミュロンたちや小隊の仲間たちがその様子を見守っていた。
「でも、やっぱり難しいですね。どれだけ練習しても、私ではなかなか皆さんのようには扱えそうにもないです」
リリーティアは少し残念そうに、手に持っている弓を見詰めて言った。
「そんなことねえって、そんな顔するなよ。オレからしたら魔術を扱うことのほうが断然難しいと思うけどなあ」
「そうですよね。術技ならそれなりに扱えますけど、魔術に関しては理論が複雑すぎてなかなか・・・」
「ほんと定期的に講義を受けてるとはいえ、何が何だかさっぱりだ」
「わたしたちが実践で使えるのは、まだまだ先の話になるでしょうな」
ゲアモンに続き、ソムラス、ダミュロン、ヒスームが話す。
彼らは皆、騎士団の訓練として組み込まれている講義で魔導器(ブラスティア)のことも学んでいる。
その時に魔術についても教わっているようだが、どうも理解し難いところがあるようだった。
キャナリも、彼らと思いは同じようで、魔術の扱いは難しいものだと思っているらしい。
「確かにすべてを理解するには少し時間がかかるとは思いますけど」
「俺には魔術を扱うなんて無理っぽいな」
ダミュロンは、空を仰ぎ見ながらぼやくように言った。
彼らの話を聞いて、リリーティアは考える素振りを見せる。
「う~ん、理論をきっちり理解するよりも、実際にやってみたほうが案外できるかもしれませんよ」
「そうなの?ちゃんと理論を理解した上でやらないとうまく出来ないって聞いたけれど」
「そうですね。でも、基本的な理論を把握してさえいれば、あとはイメージしながらやってみると案外出来たりするように・・・私は思うのですが」
「イメージ、ねぇ」
彼女の言葉に、何やら興味を示すダミュロン。
「おもしろそうだからちょっとやってみっか?」
彼は座っていた木箱から軽く飛び降りて、にっと笑う。
「本気でやってみるつもりか?」
「そのつもりだけど」
ヒスームは呆れたように彼を横目で見るが、本人はあっけらかんとしている。
「魔術は武器を扱うのとは違うのよ。扱い方を誤れば大変な事態を起こす場合もあるって言ってたでしょ」
「そこらへんは、リリーティアのサポートでどうにかしてもらおうじゃないの」
「それ、リリーティアさんに無茶言ってる気がするんだけど」
彼の楽観的な様子にキャナリたちは呆れ果てている。
リリーティアはというと、彼の言葉には困ったように笑っていたが、すぐに快く頷いた。
そうして、彼女による魔術の指導が行われた。