第6話 約束
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人々の叫号、魔物の咆哮。
それは争乱の如く、その戦いは想像以上に凄まじいものになっていた。
それでも、リュネール隊、キャナリ小隊たちは諦めることなく戦い続ける。
戦いが長引くと徐々に負傷者が増していったが、治癒の魔術を使えるリリーティアがそれを支えた。
しかし、それでも苦戦は強いられており、大怪我を負ってしまった者はすぐに街へと退避させ、街で守備に当たっている隊員たちが応援に駆けつけるということを何度か繰り返していた。
「(どうしてこんなに魔物が溢れ出てくるの)」
どれだけの数を倒しても周りを囲む魔物が減る様子を見せないことにリリーティアは疑問を感じた。
それでも、ただひたすら後衛側に徹して皆の援護を続けていく。
時として放つ彼女の強力な魔術を以ってしても、その一発だけではなかなか倒れない魔物が多く、これまでと違い個々の魔物の力も格段と強かった。
「なかなか減らないわね」
「まったくキリがないですよ」
キャナリとソムラスも魔物の数の多さと衰えることのない勢いに戸惑を隠せない。
「正直きついわ、これ」
その会話を聞きながらダミュロンは一人ぼやいた。
彼だけではなく、ほとんどの者たちが疲労の色を見せており、荒い息の中で一心に武器を振るい続けている。
「(これは思っていたよりも時間が掛かり過ぎている)」
一向に状況が良くならないことに、リュネールは危機感を感じ始めていた。
これ以上戦いが長引くことになれば、いずれにしてもこちらが不利となる。
それは避けなければならないことだ。
「全隊に告ぐ!ハルルの街まで退避!先に負傷している者を退避させなさい!」
リュネールは周りの戦いの喧騒に負けないぐらいの声で指示を出した。
まだ余裕がある今のうちに街まで避難することが最善と考えたのである。
「し、しかし、魔物が・・・!」
「これ以上戦っても状況はよくならない!一度ハルルの街に戻り、今後の体制を決める!急いで!」
「はっ!」
リュネールの疾呼が響き、周りの動きが変化した。
リリーティアもその状況に合わせて自らの行動を考え動き出す。
「リリーティア、大丈夫?」
「はい。キャナリ小隊長も怪我はありませんか?」
「ええ、大丈夫よ」
退避していているとはいえ、魔物が襲ってくるのを止めてくれるはずもない。
追ってくる魔物たちと戦いながら、少しずつ後退していった。
「リリーティア!」
後方から声が聞こえ、リリーティアは走る速度を抑えて振り返った。
その声はリュネールのものだった。
「私と魔術の力を合わせて、後方にいる魔物たちを食い止めましょう」
「はい!」
リュネールは一度周りを見渡すと、魔物に弓を放つキャナリへと目を留めた。
「キャナリ小隊長、周辺にいるキャナリ小隊の人たちで弓による援護を!ダミュロン副官も援護をお願い!」
彼女はキャナリの他に近くにいたダミュロンにも声をかけて指示を出した。
キャナリはすぐに彼女の指示通りに動き、何人かの小隊の仲間に指示を出していく。