第4話 家族
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宿に着いたリリーティアたちは、これまでの事を話した。
デイドン砦を出発した後に<平原の主>に襲われたことに関しては、リュネールも驚きを隠せないようだった。
しかも、それをリリーティアが強力な魔術で守ってくれたことを話すと、さらに驚いた様子で娘を見た。
キャナリたちから今までの経緯を全て聞いた後、リュネールはしばらく黙り込むと、大きくため息を吐いた。
「あなたって子は、本当に無茶することが好きなんだから」
「す、好きではないけど・・・」
「そう言って、今まで何度無茶してきたの。みんなにも心配かけて」
「・・・ご、ごめんなさい」
「それだって、何度も耳にしてきたんだけど」
「う・・・・・・」
リュネールは呆れた目を向け、娘の無茶な行動に強い口調で非難した。
リリーティアはだた謝ることしかできず、最後には何も言えなくなって、しゅんとして肩をすぼめた。
「で、でも、本当助かったんですよ。あの時は本当にどうなることかと思いましたから」
「そうだな。リリーティアじゃなかったらあの魔物を追い払うことなんて出来なかったです」
「ええ。彼女はわたしたちの命の恩人なのです」
「それに、魔物との戦闘の時も俺たちは何度も助けてもらいました」
張り詰めた空気を見かねてか、ソムラス、ゲアモン、ヒスーム、ダミュロンが間髪入れずに言葉を紡ぐ。
「誰よりも私たちのためを想って行動してくれて、彼女には本当に感謝しています。寧ろ、感謝しても足りないぐらいなんです」
そして、キャナリも彼らに続いて言葉を紡いだ。
それらの言葉たちは、リリーティアの母の前だからとか、隊長位だからというお世辞でもなんでなく、その全ては皆の本心であった。
「みなさん」
リリーティアは皆の言葉に目を見張った。
その横でリュネールは微笑み、嬉しげに小さく声をたてて笑った。
「みんな、リリーティアのことを思ってくれてありがとう」
リュネールは心から喜んでいた。
娘に大切な仲間が出来たことがとても嬉しかった。
「それに無茶することに関しては、俺たちの小隊長がちゃんと怒ってたみたいですし」
「はは、そうでしたね」
「うんうん」
ダミュロンはにっと笑ってキャナリを横目で見ると、ソムラスとゲアモンも大きく頷いた。
「ちょ、ちょっと!なに言ってるの!」
キャナリは彼らの言葉にぎょっとして、慌てて声を上げた。
「あら、そうなの?」
「あ、あの・・・」
「ふふ、気にしなくていいのよ。叱ってくれてありがとう」
不安げな顔で見上げるキャナリに、リュネールは嬉しげな笑みを浮かべた。
思いもよらない彼女の感謝の言葉に、キャナリは戸惑った。
「この子は昔からよく無茶をするの。今まで何度叱ったことがあるのかってくらいにね」
リリーティアの肩を軽く叩きながら、リュネールは困り果てた笑みを浮かべる。
そんな彼女の横で、リリーティアは少し恥ずかしげに顔を伏せた。
「叱ることは大切なことよ。それに、それは相手の事をちゃんと想っている証拠なんだから。ね、キャナリちゃん」
リュネールは人差し指を立てて、キャナリに笑って見せた。
ダミュロンたちは呆気に取られてその笑みを見た。
彼らは噂に聞いていた、リュネールが市民に愛されているということを、理解した気がした。
彼女は多くの<帝国>市民から頼りにされ、親しまれている騎士だと言われていた。
平民と騎士という壁を感じさせない人物だと。
彼らは、それをここに見たのだ。
隊長格の身でありながらも、それを微塵も感じさせない親しみやすい物腰の彼女の人柄に、彼らは惹きこまれた。
そんな中、キャナリは少し誇らしげにリュネールを見詰め続けていた。
その瞳は、一層輝きを増していた。