第3話 太陽
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「私は・・・・・・」
寝台の上に座り、リリーティアは静かに話し始めた。
彼女の周りにはキャナリとダミュロン、そして、ヒスームとソムラス、ゲアモンが立っている。
「何度もみなさんに助けられました。それは数え切れないほどほどたくさん」
胸に手を当て、リリーティアはこれまでの事を思い返した。
キャナリ小隊たちと共にいた時間を。
出会ってからまだ5日と経っていないこの短い日々を。
「私のことを『信じる』と言ってくれました」
キャナリへと小さく微笑む。
彼女は一瞬きょとんとするも、口元に笑みを浮かべた。
「不安で一杯だった私を『一人で背負(しょ)い込むな』と言ってくれました」
ダミュロンへと視線をうつし、同じく小さく微笑んだ。
彼は首に手を当てて、少し照れたような表情を浮かべた。
「魔導士の方に非難された時も、みなさんが守ってくれました」
ダミュロンたちがそれぞれに顔を見合わせた。
嬉しいような、照れたような、様々な表情を浮かべている。
「みなさんはとても温かくて、楽しくて、こんな私にいつも優しく接してくれました」
リリーティアは視線を足元に落として、言葉を紡ぐ。
「たくさん、たくさん私のことを支えてくれました。それに、こんなに私を心配してくれて・・・、昨日だって、寝込んでいた私の傍にいてくれて・・・、それから、いつも優しい言葉もくれて・・・あと、それから・・・あの・・・」
言いたいことがたくさんありすぎてか、リリーティアは言葉がうまく出てこなかった。
最後の方は半ば必死になって言葉を紡ぎだそうとしてか、さらに言葉がしどろもどろになり、酷く焦っているようにも見える。
「えっと、だから・・・その-----」
「ぷ・・・、はは、あははは!」
ダミュロンは突然吹き出し、高らかに笑い出した。
「分かった、分かったって。ははは」
手をひらひらさせながら、そう言うダミュロンの目には少し涙が溜まっていた。
何かおかしことでも言ってしまっただろうか。
リリーティアは目を瞬かせて、ダミュロンの顔を見た。
彼女はある言葉がずっと頭の中で引っ掛かっていた。
『いつもリリーティアには助けられてばっかりね』
それは、さっき自分を抱き締めながら言っていたキャナリの言葉。
リリーティアはそうではないことを知って欲しかった。
どれだけ自分の力になってくれて、どれだけ支えてくれているのかを。
今までの感謝を含め、彼女はちゃんと伝えたかったのだ。
「俺たちがリリーティアの役に立ってるってこと、十分わかったわ。・・・ありがとな」
目を擦りながら、ダミュロンはにっと笑顔を浮かべた。
そんな彼女の想いは、ダミュロンにも、彼らにも、ちゃんと伝わった。
「なんか気ぃ使わせちまったな」
そう言いながら、ゲアモンは頭を掻きながらも嬉しげに笑っている。
「でも、それもリリーティア殿の良い所なんでしょうな」
「そうですよ。そう言ってくれて、僕もとても嬉しいです」
穏やかな声で言うヒスームの隣で、ソムラスも嬉しげな笑顔を浮かべた。
「ありがとう、リリーティア」
キャナリはリリーティアの横へ腰掛けると、彼女の顔を覗き込みながら、にこっと笑いかけた。
その時、リリーティアたちがいる部屋に、高く昇った太陽の光が窓から差し込んだ。
その光はとてもあたたかい。
そんな光と同じように、リリーティアは今、無限のあたたかさに包まれていた。
横に寄り添い、優しく肩に手を添えて笑いかけるキャナリ。
おどけた笑みを浮かべるダミュロン。
よく見ないとその微々たる表情の変化には気づきにくいが、目を細めたその目には優しさが見て取れるヒスーム。
にかっと笑い、まさに元気溢れる笑顔のゲアモン。
ゲアモンとは対照的で、やわらかな笑みで微笑むソムラス。
それぞれに違う笑顔。
でも、皆が同じ、優しい笑顔。
それは、太陽のように、あたたかい光だった。
リリーティアはそのひとつひとつの笑顔に、それぞれのぬくもりを感じていた。
あたたかい光の中で、リリーティアも笑顔を浮かべた。
それこそ、その光に負けないぐらいの、満面の笑顔だった。
第3話 太陽 -終-