第3話 太陽
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エルカバルゼの結界魔導器(シルトブラスティア)結界力の強化は成功した。
しばらく経過を見る必要があるため、その日は一日だけこの街で滞在し、その間、キャナリ小隊たちは周りの魔物の討伐を行った
リリーティアもそれを手伝いながら、定期的に結界魔導器(シルトブラスティア)の点検を行っていった。
街の人たちはリリーティアや騎士団に何度となく礼を言い、特にリリーティアに対しては、すれ違う度に感謝の言葉が絶えることはなかった
中には彼女を見かけると何度も手を振ってくれる人もいて、まるで英雄のような扱いを受けた。
周りの反応ぶりに、彼女はあまりの恥ずかしさに最初は戸惑ったが、周りの感謝の言葉は素直に嬉しく笑顔で応えていた。
そんな中、リリーティアたちに新たな任務が課せられることになり、
夕刻、一行は宿屋にある小さな部屋で次の任務について話し合っていた。
「分かりました。ハルルの街まで支援物資の輸送と結界魔導器(シルトブラスティア)の点検ですね」
「ええ。一段落したところ申し訳ないと、騎士団長からの言付けつきでね」
<帝国>の紋章が描かれた指令書をリリーティアに見せながらキャナリは言った。
その指令の内容文の最後に騎士団長のサインと共に小さく文字が添えられている。
それを見たリリーティアは、困ったように小さく笑った。
「あの方は気を配りすぎなんです。人一倍無理をされているのはアレクセイ閣下だといのに」
アレクセイは部下思いで周りの気遣いに抜かりがない。
リリーティアはそんな彼をとても心配していた。
周りを想うあまりに自分のことを蔑ろにして、いつか倒れてしまうのではないかと。
「騎士団長のためにも、私たちも頑張りましょう」
「はい」
リリーティアはキャナリの言葉に大きく頷いた。
「それにしてもハルルの街か。俺、その街は初めてだなぁ」
ダミュロンはこの部屋に唯一ある窓の外を眺めながら言った。
窓からは茜色に染まった街の様子が見える。
「僕もです。どんな街なんでしょうね」
「とてもきれいなところらしいな。満開のハルルの樹を見ればそれがよく分かるって言ってたぞ」
ソムラスもダミュロンと同じでハルルの街には行ったことがないようで、
ゲアモンも、その言い方からして自分も行ったことは無く、誰かに聞いただけらしい。
「今、その街を中心としたマイオキア地方の安全確保にあたっているのがリュネール隊ですな」
「ええ。そのリュネール隊へ送る支援物資だから、魔物に襲われないよう気をつけて運ばないといけないわ」
そうして、彼らが明日の段取りを話し合っているのをリリーティアは見詰めながらも、その表情はどこか嬉しそうであった。
ふとダミュロンがそれに気づき、何かを察したのかにっと笑みを浮かべた。
「嬉しそうな顔しちゃって」
「え!?」
リリーティアは声を上げ、ばっとダミュロンのほうを見る。
彼はどこか悪戯っぽい笑みを浮かべてこちらを見ていた。
「おふくろさんに会えるから嬉しいんでしょ?」
「い、いえ。そ、そんなことは・・・・・・」
リリーティアは慌てて顔を伏せた。
「隠すな、隠すな。いいじゃないの、そう思ったってさ」
リリーティアの頭をぽんぽんと軽く叩きながら、ダミュロンは笑った。
彼女は少し顔を赤らめ、肩をすくめる。
「す、すみません、任務中だというのに・・・」
「そんなこと気にしないで、リリーティア。せっかくお母様に会えるのだから素直に喜んでいいのよ」
優しく微笑んでくれたキャナリに、リリーティアは照れたように小さく笑った。
実は、彼女はここしばらく母だけでなく、父にもろくに会えてはいなかった。
それも仕方がないことで、お互い共に仕事が忙しい身のために、家族三人で揃うことがなかなか出来なかった。
だからこそ、久しぶりに母に会えることは、彼女にとってとても嬉しいことなのであった。