第2話 絆
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「隊の損失は?」
「負傷者は多いが、致命的な傷を負った者はいない。荷馬車の荷物も無事のようだな」
ダミュロンがキャナリに現状を報告している。
リリーティアたちは無事にすべての魔物を倒すことができたのであった。
「そう、分かったわ。リリーティアは何処に?」
「ああ、リリーティアならあそこで負傷者の手当をしてくれてる」
キャナリはダミュロンが指差すほうを見る。
その先では、リリーティアが治癒の魔術を使って怪我を負った隊員たちの傷を治している姿があった。
「優しき光、ルーチェテネーラ」
魔術を唱えると、隊員の体を白い光が優しく包み込む。
すると、魔物の牙によって受けた腕の傷が跡形もなく綺麗に消えていった。
「ありがとう、助かったよ」
「いえ」
相手の感謝の言葉にリリーティアは微笑んだ。
そこへダミュロンとキャナリが彼女のもとへと歩み寄る。
「リリーティア、大丈夫?無理してない?」
「はい、私なら大丈夫です」
「元気だねぇ」
顔を覗き込んでくるキャナリにリリーティアは笑顔で頷いた。
隊員たちの大半は、大勢の魔物を相手にした先の戦いでひどく疲れきっている様子だったが、
何度となく魔術を使っていながら、彼女の表情に疲れの色は一切見えなかった。
「キャナリ小隊長、ありがとうございました」
「え?」
リリーティアの言葉にキャナリはきょとんとした。
何に対しての礼なのか、分からなかったのだ。
「あの時、信じると言って下さったこと。とても嬉しかったです」
そう言って、リリーティアは微笑んだ。
彼女にとって、「信じる」と言ってくれたキャナリの言葉はとても嬉しいものだった。
「お礼をいうのは私のほうよ。あなたのおかげで大事に至らなくて済んだわ」
「そうそう。はじめの魔術、あれが大きな決め手になったな」
あの時、リリーティアが放った魔術には相手を麻痺させる効果があった。
その効果によって魔物たちの動きは乱れ、不利な状態から有利に戦いを始めることが出来たのだ。
そう言って感謝する二人に、キャナリ小隊たちの連携の取れた動きがあったからこそなのだと、リリーティアは首を振った。
それでも、小隊の皆が挙って感謝の言葉を投げかけてくれた。
それは確かに心からの言葉で、彼女の心に優しく響いた。
その時、リリーティアははっとした。
分かったのだ。
昨日感じた他の隊にはない-----------“何か”を。
「(どんな時でも互いを想い、互いを信じ合う。この隊には、そんな強い気持ちがあるんだ)」
まだ一緒に行動して間もないが、それはキャナリ小隊たちの戦い方、周りへの接し方を見ていて確かに感じたことだった。
それがこの隊の持つ、もう一つの特徴なのだろうと。
年齢も身分も越えてひとつとなった、この隊ならではの--------------- “強い絆” がそこにはあった。