第1話 始まり
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「-------というのが、今回私たちが遂行する任務よ」
執務室にて、キャナリが任務内容について説明していた。
この部屋にはリリーティアとキャナリの他に、あと4人いる。
キャナリ小隊の副官であるダミュロン
小隊の中では最年長のヒスーム
まだ二十歳にもなっていない年若いソムラス
小隊内の伝令を兼務するゲアモン
副官であるダミュロンを除いて、他の3人は小隊内を数人に分けて立てたそれぞれの班長である。
通常の騎士の隊としては珍しく平民と貴族が混合した部隊だった。
高い志しと能力だけを基準として構成された騎士団であり、<帝国>をより良いものへとするためにアレクセイが考えた政策の一つであった。
「その結界魔導器(シルトブラスティア)の結界力強化って結局はどういうことなんだ。単に結界の力を強めるってことなのか?」
任務の内容をひと通り聞き終えて、キャナリの副官であるダミュロンが尋ねた。
皆が一斉にリリーティアのほうに顔を向けた。
「結界の力を強めるだけでしたら、誰でも簡単に操作が出来ます」
「それじゃあ、わざわざ魔導(ブラスティア)研究員のあなたを呼んだということは」
「単に強めるだけではないってことか」
ソムラス、ゲアモンの言葉にリリーティアは頷くと、さらに詳しい説明を続けた。
「強めるという意味では同じなのですけど・・・、本来持つ結界魔導器(シルトブラスティア)の最大出力値を遥かに上回る、強力な結界をつくることがこの計画の本意なんです」
「最大出力値を上回る・・・。そんなことして大丈夫なのか?」
「下手に弄って壊れなどしたなら、魔物出没どころの騒ぎではなくなるでしょうな」
ダミュロンとヒスームが少しばかり疑念な面持ちを浮かべた。
彼らだけでなく魔導器(ブラスティア)について専門ではないキャナリ小隊たち全員が、今回の計画内容は想像を逸したものに感じていた。
「理論的に可能なのは確かなのですが、ただ対象物が大規模のせいもあり実証の確認が出来ないので・・・・・・」
「ぶっつけ本番ってわけだ」
ダミュロンの言葉にリリーティアは頷いた。
実のところ、この計画の立案者であるリリーティア自身もこの計画に少しだけ懸念を抱いているところがあった。
それでも結界魔導器(シルトブラスティア)の結界力強化を成功させたいという気持ちも強かったのだ。
何より市民のためにという想いが彼女の中にあった。
そんな様々な思いが胸中に巡りながら彼女は改めて姿勢を正すと、真剣な眼差しでキャナリ小隊の彼らを見据えた。
「色々とご迷惑をおかけすることがあるかもしれませんが、明日からよろしくお願い致します」
そして、リリーティアは深々と一礼した。
「ああ、よろしくな」
ダミュロンをはじめ、皆がそれぞれに笑みを湛えて彼女を迎えた。
顔を上げると、リリーティアはキャナリ小隊たちをまじまじと見詰めた。
雑談を交えながら、明日のことについて話をしている彼ら。
「(この人たちも彼女と同じだ・・・)」
リリーティアはキャナリに感じた時と似たような感覚で彼らに対して他の騎士の隊とは違うものを感じていた。
他の隊には無い----------何か。
その“何か”というのは今は分からなかったが、ただ漠然と他の隊とは違うということだけは感じていたのだった。
リリーティアとキャナリ小隊たちの出会い。
それは、日常の流れの中で訪れた、単なる一つの出来事でしかないものだと思っていた。
そう、奇跡でも特別でもない、なんでもない事で、起きるべくして起きた出来事の一つにすぎないと。
けれど、何れ知ることになるのだろう。
この出会いは、彼女たちにとってかけがえのないものになるということを
--------------------きっと、すぐ先の未来で。
第1話 始まり -終-