第17話 灯陽
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一昼夜、砂漠の中を歩きに歩く。
----------ああ、また、奇跡の灯陽《ひかり》が小さくなっていく、
一人、また一人と、助けられない命を見つけながら。
リリーティアたちはテムザを目指し生存者を捜し続けた。
しかし、生存者どころか、遺体自体ほとんどなかった。
かろうじて人と認識できた者がいても、誰だかほとんど分からないほどだった。
かつて人だったものが砂漠に散らばっている、そんな現状。
残酷、残虐。
そこには、人に対する異常なまでの憎しみが表れていた。
これほどまでに魔物というものは惨い生き物だっただろうか。
目の前に広がる惨劇に誰もが身を震わせた。
黒ずんだ赤と不快な臭い。
生々しい
まさにここは、地獄だった。
--------------------また、小さく、
リリーティアは黙々と歩き続けた。
重い足取りで、それでも一歩一歩前へと。
誰か一人でも生存者が見つかりますように。
そう願いながら。
--------------------また、小さく、
しかし、現実は残酷でしかなくて、奇跡は幻でしかなかった。
--------------------また、小さく、
「・・・・・・・・・」
汗で髪がはりついた顔。
そこには表情もなく、リリーティアはただ立ち尽くしている。
目を逸らすことも、嗚咽を漏らすことなく。
ただじっと見詰め続けていた。
--------------------また、小さく、
瓦礫と化した、<帝国>の最重要研究施設、通称<砦>の無残な有り様を。
--------------------そして、消えた。
奇跡の灯陽《ひかり》は儚く消えて、リリーティアの心は絶望の闇に包まれた。