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名前変換
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ふと意識を呼び覚ましたときには、窓の外が明るくなっていた。正直、自分がベッドで寝ていること、どこかの部屋に戻ってきたこと(連れて来られたのかもしれない)、光がカーテンから差し込んできていることから、おそらく朝か昼であることだけだ。
昨日の出来事はきっと夢じゃないんだろう。ここに来てからというもの、夢であってほしいと思っても、夢じゃないということを何度も思い知らされている。もう期待したって無駄なことに、自分の気持ちは委ねないことにした。ただ、ここに来てから初めて妙な夢を見たり苦しい思いをせず目覚められたような気がする。胸を撫で下ろすような思いと共に、少しずつこの生活に慣れ始める自分に吐き気がした。
体を少し起こして、あたりを見回す。大きな本棚や書類が積んであるデスク、至る所に生活を感じて、ここが自分の部屋でないことに気づいた。昨日はあまり周りを確認していなかったからか、ここが昨日訪れた部屋であるかどうかまではわからなかった。
少しお腹も空いていて、同時に部屋には口にできるものが何もないことに気づいた。もう二度と母親に会えなくなったというのに、体は普段通りでいることが憎くて仕方なかった。それに、今リビングを通っていけば、悪魔のような男たちが何をしてくるかわからない。それでも彼らを頼らなければ、異郷の地で生きられるわけがないことは自分がよくわかっていた。
『母さん』
ぽつり、床にこぼすようにして、私の最愛のひとの名前を呼んだ。そう、たったひとり、自分にとっての大事なひとの名前を。
『母さん…、』
言葉が口から漏れ出して、連動するみたいに涙がこぼれていくのを感じた。心臓が押し潰されたかのような痛みを覚えて、だんだんと息がしづらくなってくる。
まだ学生の自分にとって、こんなに辛い経験をしたことがなかった。父親は気づいたときにはいなかったし、飼っていたハムスターが死んでしまったり、あとは卒業式で泣いたくらい。そのくらい、「誰かと別れる」といった経験がない私からしたら、記憶から抜けていかないであろう大きな痛みだった。
忘れていたことを思い出すかのように、ぐうとお腹がひとつ鳴る。こんなに悲しいのに、こんなにつらいのに、それでもお腹は空くんだなと笑けてくる。
気は引けるが、何か口にできるものを探そう。確かに彼らは善人ではないだろうけど、空腹を耐え凌げと突き返すような真似はしないだろう。甘えた考えがふと脳に浮かんで、私はその考えに流されてしまっている。
これだけ悪く言っているにも関わらず、男たちを頼らないと生きていけないんだ、とまた思った。つきり、と心がまた軋んだ。
仕方がないので、白く少し古びたベッドからそっと足を下ろした。ひたり、と湿った冷たい床の感触が足の裏からのぼってくる。私の今の心模様のようだとぼんやり考えながら、なるべく音を立てないようにドアノブを捻った。
昨日の出来事はきっと夢じゃないんだろう。ここに来てからというもの、夢であってほしいと思っても、夢じゃないということを何度も思い知らされている。もう期待したって無駄なことに、自分の気持ちは委ねないことにした。ただ、ここに来てから初めて妙な夢を見たり苦しい思いをせず目覚められたような気がする。胸を撫で下ろすような思いと共に、少しずつこの生活に慣れ始める自分に吐き気がした。
体を少し起こして、あたりを見回す。大きな本棚や書類が積んであるデスク、至る所に生活を感じて、ここが自分の部屋でないことに気づいた。昨日はあまり周りを確認していなかったからか、ここが昨日訪れた部屋であるかどうかまではわからなかった。
少しお腹も空いていて、同時に部屋には口にできるものが何もないことに気づいた。もう二度と母親に会えなくなったというのに、体は普段通りでいることが憎くて仕方なかった。それに、今リビングを通っていけば、悪魔のような男たちが何をしてくるかわからない。それでも彼らを頼らなければ、異郷の地で生きられるわけがないことは自分がよくわかっていた。
『母さん』
ぽつり、床にこぼすようにして、私の最愛のひとの名前を呼んだ。そう、たったひとり、自分にとっての大事なひとの名前を。
『母さん…、』
言葉が口から漏れ出して、連動するみたいに涙がこぼれていくのを感じた。心臓が押し潰されたかのような痛みを覚えて、だんだんと息がしづらくなってくる。
まだ学生の自分にとって、こんなに辛い経験をしたことがなかった。父親は気づいたときにはいなかったし、飼っていたハムスターが死んでしまったり、あとは卒業式で泣いたくらい。そのくらい、「誰かと別れる」といった経験がない私からしたら、記憶から抜けていかないであろう大きな痛みだった。
忘れていたことを思い出すかのように、ぐうとお腹がひとつ鳴る。こんなに悲しいのに、こんなにつらいのに、それでもお腹は空くんだなと笑けてくる。
気は引けるが、何か口にできるものを探そう。確かに彼らは善人ではないだろうけど、空腹を耐え凌げと突き返すような真似はしないだろう。甘えた考えがふと脳に浮かんで、私はその考えに流されてしまっている。
これだけ悪く言っているにも関わらず、男たちを頼らないと生きていけないんだ、とまた思った。つきり、と心がまた軋んだ。
仕方がないので、白く少し古びたベッドからそっと足を下ろした。ひたり、と湿った冷たい床の感触が足の裏からのぼってくる。私の今の心模様のようだとぼんやり考えながら、なるべく音を立てないようにドアノブを捻った。
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