Put on a happy face
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
喉が乾いて目が覚めた。
乾燥して張り付いた喉に痛みが走る。
ここは何処だ?
視界は完全な闇。音は何も聞こえない。
寝る前…何してたっけ。
「ぁ…。」
動かした足の痛みで全部思い出した。
閃光弾でこうなったんだった。
そういえば、寝る前に風呂場で大胆な事をしてしまったな…と急に恥ずかしくなった。
きっと疲れて脳がバグってたんだ。うん、絶対そう。
シュウの体温が高くて背中が温かい。
抱き枕のようにしっかりと抱きとめられているらしい。
規則的なリズムで彼の寝息がつむじにかかるが、それさえ嬉しかった。
結局全て助けられてしまったな。
朝になったら改めてお礼を言おう。
何も見えないって事は、多分まだ外が暗いと言う事だろう。
とりあえず、起こさないようにしないと。
腕を剥がして、身を引きずるようにそろそろとベッドの端に移動しようとした。が。
「うわっ!」
思ったよりもベッドは狭かったらしい。
距離感を誤り、危うくベッドから落ちかけた所をシュウに助けられた。
「ご、ごめん…起こしちゃった…ね。」
"ど・う・し・た"
「喉、乾いちゃって…。」
乾いた喉は声を出しずらかった。
枕元に置いてあったのか、すぐに冷たいペットボトルが渡された。
恐らく部屋の冷気に当てられて冷えたんだろう。
一気にごくごくと水を飲むとようやく喉が楽になった。
「シュウも飲む…?」
「あぁ、貰うよ。」
!!今、確かに聞こえた。シュウの声だ…!
嬉しくて無我夢中で抱きついた。
抱きついてから渡したペットボトルの蓋が開けっ放しだった事を思い出したけど、多分シュウならこぼさないと思う。
「耳!少し良くなってるかも!
今みたいに耳元で言ってくれれば、少し聞こえるみたい!
ちょっと遠くから聴こえてる感じだけど!」
「!そうか、それは良かったな。
どうだ?これくらいの声の大きさで聞こえるか?」
「うん、大丈夫!あー良かった!
これなら本当に時間が経てば復活しそう。
…一生聞こえなかったらどうしようかと思った。」
「目は?」
「んー。今って外暗い?」
「そうだな。カーテンも閉めているから部屋は真っ暗だ。」
「そっか。部屋が暗いからまだ分からないけど、多分まだ全然かな。」
「焦ることは無い。いずれ治る。
朝にまた様子を聞かせてくれ。
…もう少し寝よう。まだ深夜だ。」
「うん…おやすみ。」
「おやすみ。」
横になったものの、耳が聞こえる嬉しさに目が冴えてしまった。
そういえば、付き合ってから一緒に寝るなんて初めてかも?
前に一緒に寝たのは昴のアパートが火事になった時以来だ。少し緊張する。
「…寝れないのか?」
「ちょっと、目が冴えて…。」
「子守唄でも歌ってやろうか?」
「えっ、歌ってくれるの?」
「冗談だ。歌はあまり得意ではない。
せっかくなら昔話をしよう。楽しい話が良い。」
「楽しかった事?うーん。すぐに思い浮かぶのはやっぱり秀一君とのデートかなぁ〜。」
「"秀一君"?昔のデートの方が良かったと言う事か。」
「だって、最近のデートは昴とだもん。
勿論昴も大好きだし、デートも楽しいよ?
でもシュウと何も考えず、普通にデートしたいなぁ…。」
「はっきりそう言われると照れるな。
今すぐ叶えてやれないのが悔しい。」
「照れてる顔凄く見たかった…!一生の不覚!!」
「フッ…見たかったら早く目を治すんだな。」
「ぐあぁ!悔しい!!治したらこれでもかというくらい照れさせてやるんだから…!」
「あぁ、楽しみにしているよ。
そうだな…俺もナマエとのデートはどれも甲乙つけがたい位楽しい思い出だな。」
「昔、学校帰りにコンビニで買い食いよくしたよね。秀一君はよくコンビニの唐揚げ買ってたね。」
「コンビニのレジ横の、旨いよな。」
「私あんまんとか肉まんも好き。」
「俺も肉まん好きだ。時々無性に食いたくなる。」
「分かるー!寒い中、熱々で食べるの最高だよね!」
「こんな話していると…食いたくなるな。」
物欲しそうな言い方に思わず笑った。
「あはは!今、夜中だよ?」
私の言葉に被せるように腹の虫が鳴いた気がした。
「腹は素直だな。」
「や、やっぱりお腹鳴ってた?恥ずかし…。」
「待ってろ、買ってきてやる。」
身体から温もりが離れていく事になんだか怖くなって、咄嗟に腕を掴んだ。
「わ、私も…ついて行って良い?」
「…構わんが…大丈夫か?足、痛くないか?」
「痛み止め飲んでるから大丈夫。これくらいそんなに痛くないから。」
「分かった。ただ、1つ約束しろ。
俺の腕を離すなよ。」
頷いてコートを受け取った。
外に出ると冷たい風が刺すように痛かった。
多分息は真っ白になっていると思う。
私の今の命綱は、彼の右腕。
掴んだ腕は温かいけど、身体を温めるには物足りなかった。
「大丈夫か?」
「やっぱり、寒いね。」
ふふふと笑うと腰に腕を回された。
「…こうしていればましだろ。」
「うん…ありがとう…。」
温かいけど傍から見たらどう見えるんだろう。
コンビニまでドギマギしながら歩いた。
足の痛みもあって歩くスピードはかなりゆっくりだったけど、文句を言う事も無く歩行速度を合わせてくれた。
しばらく歩いて気付いたけど、変装は大丈夫なんだろうか。耳に聞こえてくる声はシュウのまんまだし。
「あの、そのまま外出て大丈夫…?」
「キャップを深く被っているし、昴の眼鏡をかけている。店員は客の顔なんてろくに見てないだろ。」
「えっ、じゃあもうさっさと買い物して帰ろ!!」
「急ぐと転ぶぞ。大丈夫だからゆっくり歩け。」
「大丈夫だいじょ…!!」
「…危ないぞ。」
案の定転びかけた。腰に腕が回ってなかったら派手にこけていただろう。
「調子に乗りました、すいません。」
「…俺の言う事も少し聞けよ。まぁ、元々素直に言う事聞くようなタイプではなかったか。」
「私結構素直ですけどー!?」
「そうだったか?あのときも、あの時も…。」
「どの時!?」
「コンビニ着いたぞ。」
「ちょっと!誤魔化さないでよ!」
「肉まんで良いのか?減らず口叩いていると買ってやらないぞ。」
「すいませんでした!彼女にお恵みを…!」
そう言うと彼の肩が揺れた気がした。
「笑った?笑ったよね?」
「笑ってない。」
「嘘!私には分かる!」
「…口塞ぐぞ。」
中に入るとおでんの独特な香りが漂う。
美味しそうな良い匂いだ。
でも今は肉まんの口!
「少しここに立っていてくれ。煙草も買いたい。」
「うん。」
レジ横で立っていると数秒で戻ってきた。
「肉まん2つ。」
彼の隣に黙って突っ立っているのもおかしいと思ったので、店内をキョロキョロと見るふりをする。
すぐに会計が終わったのか、ぐっと肩を引かれた。
暖かかった店内から冷たい外に戻ってしまった事にほんの少し残念な気持ちになったが、手元に温かさが戻ってきた。
「御所望の肉まんだ。」
「ありがとう!!いただきます!」
紙を捲ってかぶりつくと、思った以上に熱かった。
フワフワの皮と、中の具の食感の差に思わず笑顔になる。
肉汁の旨みが口いっぱいに広がって幸せな気分になる。
「おいし…。」
「旨いな。
…俺が冬になっても同じ高校に通ってたら、あの時こうして一緒に肉まん食ってたかもな。」
「そうかもね。…でも、こうして大人になってからも一緒に食べられる事自体が幸せだよ。」
「…そうだな。」
あっという間に食べ終えて、またゆっくりと帰り道を歩く。
肉まんのおかげで身体が温まっているのかさっきよりは寒くなかった。
彼と手を繋ごうとして、ビニール袋を持っている事に気付いた。
「あぁ、煙草買ったんだっけ?」
「これは」
袋の上からそっと触ると、煙草とは違う箱の厚みを感じた。大きさも違う気がする。
「…私の想像だけど、これは……。」
「バレたか。ここのコンビニは珍しくXLサイズが置いてあるんだ。」
「うわー!傍から見たらコンビニでゴム買ってついでに肉まん買ったカップルじゃん!最低!変態!」
「…一緒にいるのが恋人だと見せつけたかったんだ。悪かった。嫌なら君との情事には使わんよ。」
「は?私以外と使う気なの?誰と?」
「そう言う意味ではなくて」
珍しくシュウの焦った声が聞こえて、少しせいせいした。これ以上意地悪言うのはやめよう。
「…いいよ、別に私と使ってくれても。」
「 」
「えっ、なんて言ったの?聞こえなかった。」
「なんでもない。」
握った彼の右手はいつもより熱い気がした。
肉まんを持っていたせいか、はたまた。
乾燥して張り付いた喉に痛みが走る。
ここは何処だ?
視界は完全な闇。音は何も聞こえない。
寝る前…何してたっけ。
「ぁ…。」
動かした足の痛みで全部思い出した。
閃光弾でこうなったんだった。
そういえば、寝る前に風呂場で大胆な事をしてしまったな…と急に恥ずかしくなった。
きっと疲れて脳がバグってたんだ。うん、絶対そう。
シュウの体温が高くて背中が温かい。
抱き枕のようにしっかりと抱きとめられているらしい。
規則的なリズムで彼の寝息がつむじにかかるが、それさえ嬉しかった。
結局全て助けられてしまったな。
朝になったら改めてお礼を言おう。
何も見えないって事は、多分まだ外が暗いと言う事だろう。
とりあえず、起こさないようにしないと。
腕を剥がして、身を引きずるようにそろそろとベッドの端に移動しようとした。が。
「うわっ!」
思ったよりもベッドは狭かったらしい。
距離感を誤り、危うくベッドから落ちかけた所をシュウに助けられた。
「ご、ごめん…起こしちゃった…ね。」
"ど・う・し・た"
「喉、乾いちゃって…。」
乾いた喉は声を出しずらかった。
枕元に置いてあったのか、すぐに冷たいペットボトルが渡された。
恐らく部屋の冷気に当てられて冷えたんだろう。
一気にごくごくと水を飲むとようやく喉が楽になった。
「シュウも飲む…?」
「あぁ、貰うよ。」
!!今、確かに聞こえた。シュウの声だ…!
嬉しくて無我夢中で抱きついた。
抱きついてから渡したペットボトルの蓋が開けっ放しだった事を思い出したけど、多分シュウならこぼさないと思う。
「耳!少し良くなってるかも!
今みたいに耳元で言ってくれれば、少し聞こえるみたい!
ちょっと遠くから聴こえてる感じだけど!」
「!そうか、それは良かったな。
どうだ?これくらいの声の大きさで聞こえるか?」
「うん、大丈夫!あー良かった!
これなら本当に時間が経てば復活しそう。
…一生聞こえなかったらどうしようかと思った。」
「目は?」
「んー。今って外暗い?」
「そうだな。カーテンも閉めているから部屋は真っ暗だ。」
「そっか。部屋が暗いからまだ分からないけど、多分まだ全然かな。」
「焦ることは無い。いずれ治る。
朝にまた様子を聞かせてくれ。
…もう少し寝よう。まだ深夜だ。」
「うん…おやすみ。」
「おやすみ。」
横になったものの、耳が聞こえる嬉しさに目が冴えてしまった。
そういえば、付き合ってから一緒に寝るなんて初めてかも?
前に一緒に寝たのは昴のアパートが火事になった時以来だ。少し緊張する。
「…寝れないのか?」
「ちょっと、目が冴えて…。」
「子守唄でも歌ってやろうか?」
「えっ、歌ってくれるの?」
「冗談だ。歌はあまり得意ではない。
せっかくなら昔話をしよう。楽しい話が良い。」
「楽しかった事?うーん。すぐに思い浮かぶのはやっぱり秀一君とのデートかなぁ〜。」
「"秀一君"?昔のデートの方が良かったと言う事か。」
「だって、最近のデートは昴とだもん。
勿論昴も大好きだし、デートも楽しいよ?
でもシュウと何も考えず、普通にデートしたいなぁ…。」
「はっきりそう言われると照れるな。
今すぐ叶えてやれないのが悔しい。」
「照れてる顔凄く見たかった…!一生の不覚!!」
「フッ…見たかったら早く目を治すんだな。」
「ぐあぁ!悔しい!!治したらこれでもかというくらい照れさせてやるんだから…!」
「あぁ、楽しみにしているよ。
そうだな…俺もナマエとのデートはどれも甲乙つけがたい位楽しい思い出だな。」
「昔、学校帰りにコンビニで買い食いよくしたよね。秀一君はよくコンビニの唐揚げ買ってたね。」
「コンビニのレジ横の、旨いよな。」
「私あんまんとか肉まんも好き。」
「俺も肉まん好きだ。時々無性に食いたくなる。」
「分かるー!寒い中、熱々で食べるの最高だよね!」
「こんな話していると…食いたくなるな。」
物欲しそうな言い方に思わず笑った。
「あはは!今、夜中だよ?」
私の言葉に被せるように腹の虫が鳴いた気がした。
「腹は素直だな。」
「や、やっぱりお腹鳴ってた?恥ずかし…。」
「待ってろ、買ってきてやる。」
身体から温もりが離れていく事になんだか怖くなって、咄嗟に腕を掴んだ。
「わ、私も…ついて行って良い?」
「…構わんが…大丈夫か?足、痛くないか?」
「痛み止め飲んでるから大丈夫。これくらいそんなに痛くないから。」
「分かった。ただ、1つ約束しろ。
俺の腕を離すなよ。」
頷いてコートを受け取った。
外に出ると冷たい風が刺すように痛かった。
多分息は真っ白になっていると思う。
私の今の命綱は、彼の右腕。
掴んだ腕は温かいけど、身体を温めるには物足りなかった。
「大丈夫か?」
「やっぱり、寒いね。」
ふふふと笑うと腰に腕を回された。
「…こうしていればましだろ。」
「うん…ありがとう…。」
温かいけど傍から見たらどう見えるんだろう。
コンビニまでドギマギしながら歩いた。
足の痛みもあって歩くスピードはかなりゆっくりだったけど、文句を言う事も無く歩行速度を合わせてくれた。
しばらく歩いて気付いたけど、変装は大丈夫なんだろうか。耳に聞こえてくる声はシュウのまんまだし。
「あの、そのまま外出て大丈夫…?」
「キャップを深く被っているし、昴の眼鏡をかけている。店員は客の顔なんてろくに見てないだろ。」
「えっ、じゃあもうさっさと買い物して帰ろ!!」
「急ぐと転ぶぞ。大丈夫だからゆっくり歩け。」
「大丈夫だいじょ…!!」
「…危ないぞ。」
案の定転びかけた。腰に腕が回ってなかったら派手にこけていただろう。
「調子に乗りました、すいません。」
「…俺の言う事も少し聞けよ。まぁ、元々素直に言う事聞くようなタイプではなかったか。」
「私結構素直ですけどー!?」
「そうだったか?あのときも、あの時も…。」
「どの時!?」
「コンビニ着いたぞ。」
「ちょっと!誤魔化さないでよ!」
「肉まんで良いのか?減らず口叩いていると買ってやらないぞ。」
「すいませんでした!彼女にお恵みを…!」
そう言うと彼の肩が揺れた気がした。
「笑った?笑ったよね?」
「笑ってない。」
「嘘!私には分かる!」
「…口塞ぐぞ。」
中に入るとおでんの独特な香りが漂う。
美味しそうな良い匂いだ。
でも今は肉まんの口!
「少しここに立っていてくれ。煙草も買いたい。」
「うん。」
レジ横で立っていると数秒で戻ってきた。
「肉まん2つ。」
彼の隣に黙って突っ立っているのもおかしいと思ったので、店内をキョロキョロと見るふりをする。
すぐに会計が終わったのか、ぐっと肩を引かれた。
暖かかった店内から冷たい外に戻ってしまった事にほんの少し残念な気持ちになったが、手元に温かさが戻ってきた。
「御所望の肉まんだ。」
「ありがとう!!いただきます!」
紙を捲ってかぶりつくと、思った以上に熱かった。
フワフワの皮と、中の具の食感の差に思わず笑顔になる。
肉汁の旨みが口いっぱいに広がって幸せな気分になる。
「おいし…。」
「旨いな。
…俺が冬になっても同じ高校に通ってたら、あの時こうして一緒に肉まん食ってたかもな。」
「そうかもね。…でも、こうして大人になってからも一緒に食べられる事自体が幸せだよ。」
「…そうだな。」
あっという間に食べ終えて、またゆっくりと帰り道を歩く。
肉まんのおかげで身体が温まっているのかさっきよりは寒くなかった。
彼と手を繋ごうとして、ビニール袋を持っている事に気付いた。
「あぁ、煙草買ったんだっけ?」
「これは」
袋の上からそっと触ると、煙草とは違う箱の厚みを感じた。大きさも違う気がする。
「…私の想像だけど、これは……。」
「バレたか。ここのコンビニは珍しくXLサイズが置いてあるんだ。」
「うわー!傍から見たらコンビニでゴム買ってついでに肉まん買ったカップルじゃん!最低!変態!」
「…一緒にいるのが恋人だと見せつけたかったんだ。悪かった。嫌なら君との情事には使わんよ。」
「は?私以外と使う気なの?誰と?」
「そう言う意味ではなくて」
珍しくシュウの焦った声が聞こえて、少しせいせいした。これ以上意地悪言うのはやめよう。
「…いいよ、別に私と使ってくれても。」
「 」
「えっ、なんて言ったの?聞こえなかった。」
「なんでもない。」
握った彼の右手はいつもより熱い気がした。
肉まんを持っていたせいか、はたまた。