Put on a happy face
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目的地から少し離れた所に風見君は車を止めた。
彼が装備を整えている間に車から飛び出す。
「沖矢さん!待って!待って下さい!防弾チョッキ!!」
叫ぶ彼からひったくるようにチョッキを奪うと全速力で走りながら装着した。
ビルは閑静な場所にあった。
監視カメラがないか確認しながら入る。
彼女に付けていたGPSを頼りに中を探った。
ここか?
ドアの隙間から様子を伺うと、白衣を着た男が救急カートを漁っていた。
そっと近づいて意識を失わせ、床に放る。
彼女の目の前で重たい音が響いた。
それにも関わらず、音に驚いている様子はない。
視線は何処を見ているのか分からない。
はっきり言って視点があっていない。
彼女は床に座るような体勢をしていた。
動いているし勿論生きているとは分かるが、肌の白さと視点が合っていない為一瞬"死んでいるのでは"とドキッとした。
勢いよく抱きつくと、彼女の身体は驚く程冷たい。
冷えすぎたせいか、鼻先だけはほんのり赤かった。
「良かった、生きていた。本当に良かった。寒かっただろう。こんなに冷たくなって。」
安堵から1滴涙がこぼれた。
「足の怪我は大丈夫か?」
顔を覗き込むが返答はない。
その代わりにみるみる顔が歪んで泣き出してしまった。
「ごめ…ごめんなさい…。ごめんなさい…。弱くて…ごめんなさ…ぃ…。」
怖かったのかと思ったが、何故か謝罪を始めた。
「何故謝る?イレギュラーな事ばかり起きたんだ、対処出来なくても仕方がない。
それに誰も死んでいないし、大丈夫だ。泣くな…。」
しばらくしゃくりあげていたが、そう声をかけると彼女の動きは突然止まり再度口を開いた。
「ごめん、今閃光弾のせいで耳も聞こえないし、何も見えてないの…。目の前も真っ白で…。」
やはりそうか。
安心させるように軽く背中をポンポンと叩いた。
腕を肩に回すよう促し片手で担いだ。
少し驚いていたようだがすぐに肩にしがみついて身体を預けてきた。
公安が乗り込んでいる今、戻る道に恐らく敵は居ないはず。
警戒しながら急いで外へと出た。
冷えた身体に堪えたのだろうか。
彼女が身震いした。それを見計らったかのように風見君がバスタオルをかけた。
「彼女は閃光弾を食らって耳と目が使えないようです。」
「分かりました。」
そう言うと彼女の背中を軽くつついた。
モールス信号のようなものだろうか。
風見君とは問題なくコミュニケーションが出来ているようだ。
「病院に連れていかなくては。」
「すぐさま手配します。」
ナマエの手のひらに十字を書く。
分かるだろうか。
「病院?」
通じた。手のひらに丸を書いてやり、抵抗する彼女をそのまま車に乗せた。
足が痛くないようなるべく細心の注意を払って。
シートベルトを着けさせ、右手を絡めた。
やはり驚く程冷たい。
生きているのを確認していたくて、手を繋いだまま手首で脈拍を測った。
規則的なリズムにようやく安心して深く息を吐いた。
「生きていて、良かった。風見さん…協力ありがとうございました。」
「いえ、一般人の沖矢さんを巻き込んでしまって、こちらこそ申し訳ありません。
今日の事は、全て無かったことにします。
公安が絡んでいた証拠も、貴方がこうして関わっている証拠も消します。御安心下さい。
それと、今回の貴方の事は降谷さんに報告しません。
…車を出します。」
車を走らせて数分、彼女は目を閉じた。
気を失ったのかと驚いたが、スースーという寝息が聞こえて思わず笑ってしまった。
「沖矢さんって笑うんですね。」
「僕は割と笑顔を絶やさない方だと思いますが。」
「はい。でも本心から笑っているのは、今初めて見た気がします。」
「…いつも、本心からですよ。」彼女の前では。
「それは失礼。」
彼が装備を整えている間に車から飛び出す。
「沖矢さん!待って!待って下さい!防弾チョッキ!!」
叫ぶ彼からひったくるようにチョッキを奪うと全速力で走りながら装着した。
ビルは閑静な場所にあった。
監視カメラがないか確認しながら入る。
彼女に付けていたGPSを頼りに中を探った。
ここか?
ドアの隙間から様子を伺うと、白衣を着た男が救急カートを漁っていた。
そっと近づいて意識を失わせ、床に放る。
彼女の目の前で重たい音が響いた。
それにも関わらず、音に驚いている様子はない。
視線は何処を見ているのか分からない。
はっきり言って視点があっていない。
彼女は床に座るような体勢をしていた。
動いているし勿論生きているとは分かるが、肌の白さと視点が合っていない為一瞬"死んでいるのでは"とドキッとした。
勢いよく抱きつくと、彼女の身体は驚く程冷たい。
冷えすぎたせいか、鼻先だけはほんのり赤かった。
「良かった、生きていた。本当に良かった。寒かっただろう。こんなに冷たくなって。」
安堵から1滴涙がこぼれた。
「足の怪我は大丈夫か?」
顔を覗き込むが返答はない。
その代わりにみるみる顔が歪んで泣き出してしまった。
「ごめ…ごめんなさい…。ごめんなさい…。弱くて…ごめんなさ…ぃ…。」
怖かったのかと思ったが、何故か謝罪を始めた。
「何故謝る?イレギュラーな事ばかり起きたんだ、対処出来なくても仕方がない。
それに誰も死んでいないし、大丈夫だ。泣くな…。」
しばらくしゃくりあげていたが、そう声をかけると彼女の動きは突然止まり再度口を開いた。
「ごめん、今閃光弾のせいで耳も聞こえないし、何も見えてないの…。目の前も真っ白で…。」
やはりそうか。
安心させるように軽く背中をポンポンと叩いた。
腕を肩に回すよう促し片手で担いだ。
少し驚いていたようだがすぐに肩にしがみついて身体を預けてきた。
公安が乗り込んでいる今、戻る道に恐らく敵は居ないはず。
警戒しながら急いで外へと出た。
冷えた身体に堪えたのだろうか。
彼女が身震いした。それを見計らったかのように風見君がバスタオルをかけた。
「彼女は閃光弾を食らって耳と目が使えないようです。」
「分かりました。」
そう言うと彼女の背中を軽くつついた。
モールス信号のようなものだろうか。
風見君とは問題なくコミュニケーションが出来ているようだ。
「病院に連れていかなくては。」
「すぐさま手配します。」
ナマエの手のひらに十字を書く。
分かるだろうか。
「病院?」
通じた。手のひらに丸を書いてやり、抵抗する彼女をそのまま車に乗せた。
足が痛くないようなるべく細心の注意を払って。
シートベルトを着けさせ、右手を絡めた。
やはり驚く程冷たい。
生きているのを確認していたくて、手を繋いだまま手首で脈拍を測った。
規則的なリズムにようやく安心して深く息を吐いた。
「生きていて、良かった。風見さん…協力ありがとうございました。」
「いえ、一般人の沖矢さんを巻き込んでしまって、こちらこそ申し訳ありません。
今日の事は、全て無かったことにします。
公安が絡んでいた証拠も、貴方がこうして関わっている証拠も消します。御安心下さい。
それと、今回の貴方の事は降谷さんに報告しません。
…車を出します。」
車を走らせて数分、彼女は目を閉じた。
気を失ったのかと驚いたが、スースーという寝息が聞こえて思わず笑ってしまった。
「沖矢さんって笑うんですね。」
「僕は割と笑顔を絶やさない方だと思いますが。」
「はい。でも本心から笑っているのは、今初めて見た気がします。」
「…いつも、本心からですよ。」彼女の前では。
「それは失礼。」