Put on a happy face
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【若干下ネタあり。】
私が入って1週間後、風見さんもボーイとして入ってきた。
風見さん自身、降谷さんと比べて自分は駄目だと落ち込んでいる事があるが、そもそも降谷さんの無茶ぶりに答えられる程に行動力や実力があり凄いと思う。
店に入ってきた当日、一日で仕事を覚えて完璧にタスクをこなす優秀ぶりだった。
私も優秀な同僚が身近にいると思うと安心して仕事が出来るというものだ。
ここ1ヶ月の潜入期間、風見さんと一緒に調べたが店内に盗聴器と監視カメラが複数ある以外は特別怪しい点は見られなかった。
女の子が失踪するという事もなかったし、特に事件もない。
手始めに店長の事を調べたが、きちんとヘアメイクの資格を持っていたし前科もなし、経歴に不審な所はない。
ただ、時折売上やキャストの女性について経営者と話をしているようだった。
経営者からの電話は不定期で、店長のスマホに非通知でかかってくるとの事。
恐らくそいつが黒幕だろう。
ただ不用意に店長のスマホを奪って調べるというのも得策ではない。
…どうすべきか。
身体にピッタリと張り付いたピンクのドレス、ハーフアップにした髪はクルクルと綺麗に巻かれていた。
「あら〜!今日も可愛いわねぇ。」
「店長、いつも可愛くしてくれてありがとう。」
「いいのよぉー。そもそも私の技術じゃなくて、顔が元々可愛いからよぉ。
今日も頑張ってね!いってらっしゃい!」
筋骨隆々なオネェ店長は今日も変わらず笑顔で送り出してくれる。
この人は何だか、悪い人ではなさそうなんだよなぁ。ただの私の勘だけど。
そもそも何故犯罪組織が経営するこのお店に来たのだろうか。その事を知らないのだろうか。
いや、私が少し情に絆されているだけで、何か悪い人物との関わりがある可能性もゼロではない。
メイクルームから出て、廊下に並ぶ女性達の写真をまじまじと見つめる。
左から3番目が私。何度見ても慣れない。
…気取った顔。
私はこの1ヶ月でナンバー3にまでのし上がった。
「レイちゃーん、今日のパンツ何色〜?」
「何色だと思います〜?」
「教えてよー!」
「えー。……黒のTバック♡」
色っぽく客の耳元で囁く。
「うわー!!見たいなー。」
「ダメですよ。」
男は鼻の下を伸ばして下半身を少し隆起させている。
私がつけている媚薬入り香水のせいだろう。
この店指定の香水は毎日つけさせられる。
こういう客が続出するから内心嫌だ。
「服越しに触ってもいいー?」
「ダメ。」
蔑んだ眼差しで見ると男は喜んだ。
「いいねぇ〜。その顔!あ〜…そのピンヒールで踏まれたいぃ。」
「は?そういうお店行ったらどうですか?」
「冷たいなぁ。そういうのが魅力だけどね。ゾクゾクしちゃう❤︎」
マジでキモイわ。
男の反応に毎度鳥肌が立ちつつ、のらりくらり話を合わせる。いや、かわす。
接客において、ポアロの降谷さんを参考にしつつ
客一人一人に対して合ったキャラクターを演じた。
目線や仕草・会話の内容・身につけているもの等から相手が言って欲しそうな言葉や表情をした。
…そうは言っても演技に限界はあるし、降谷さんみたいに完璧ではない。当然上手く行かない事もある。
あーあ、私がもし降谷さんのようなスキルがあったらあっという間に一位になっていただろうに。
まぁ、別にトップになる必要はない。
そこそこ売り上げて、海外に売り飛ばしてもやっていけそうだと上の奴らに思われれば良い。
そう、私は囮だ。私を誘拐してもらって、犯人や売り飛ばす手順を知る必要がある。
今の状況では犯罪組織の全容がほとんど分からないし証拠もない。逮捕も出来ない。
「新規のお客様4名です。」
客を送り出してバックヤードに戻ろうとすると風見の声が店内に響いた。
…ほんの少しだけ風見さんの声色に違和感を感じる。何か客に問題でもあるんだろうか。
「4じゃキツイから、2・2でわかれようぜー。」
「OK。〜さん、俺と座ろ!」
途切れ途切れに客の声が聞こえる。
「レイちゃん2卓行ける?」
「はい。いってきます。」
最近ではピンヒールも慣れたもの。
カツカツと音を立てて客のテーブルの横に立った。
「初めまして。来店ありがとうございます、レイで…す…。」
客として来ていた人物に驚いた。
客として座っていたのは、ピンクがかったような茶髪の…。
「レイさん、ですか。大変可愛らしいですね。」
「うわ、当たりじゃん!こんなすっげぇ美人来るなんて!昴さん、もしかして常連なの?」
「いえ、初めて来ました。しかし噂でとても美しい人がいると聞いていましたが…これ程とは。」
「ねぇねぇ、レイちゃん俺たちの間に座ってよ!」
な・ん・で!!
沖矢昴がここに!?
私がこの店にいるの知ってるじゃん!!
何故来た!?
荒ぶる心をなんとか落ち着けて、椅子に座る。
昴と一緒に来たもう1人は、同じ東都大学の大学院生らしい。
「何呑みます〜?」
「俺、高いのはちょっと。…ビールとか?」
「僕もビールで良いですよ。」
「ビール瓶お願いします!」
さっさと酒を呑ませて帰らそう。
「俺、こういうお店初めてで…。緊張しちゃうな。」
「大丈夫。ここは思ってる事を言って、楽しく話をする所だよ。」
「じゃあ遠慮なく!レイちゃんって顔めっちゃ綺麗っすね!」
「ぇへへ〜。ありがとうございます。」
緊張を解すためにも少し頭の悪そうな女を演じる事にした。
そのおかげか、この大学院生さんは本当によく喋った。だが学歴を鼻にかけている訳でもないし、当たり障りない会話を楽しんでくれていた。
…途中までは。
「えへへ、俺すげぇタイプ〜!マジで付き合いたい!」
酔いと香水の影響だろうか。随分荒れだした。
「ホントですか〜?
そんな事言って、皆に言ってるんでしょう?」
「そんな事ない!本気だよ!」
そう言って両手を握りしめてきた。
「こんなお店辞めて、俺と付き合ってよ!
俺将来有望だし!東都大学だから、良い所勤められるんだよ!」
「そういうウザ絡みはやめましょうね。」
昴が少し威圧的に男から手を剥がさせて私の肩をグッと寄せた。
「す、すいません昴さん。」
男は慌てて私から少し距離をとった。
…なんか昴の事、恐がっているように見える。
「水、貰えますか?」
「少しお待ち下さいね。」
昴が水を受け取ると男に渡した。
「1口飲むと良い。」
「うっす。」
男が水を飲み込んだ瞬間、目をつぶって背もたれに勢いよく倒れ込んだ。
「!?」
「shhh…。大丈夫、寝ているだけだ。」
「ちょっ、睡眠薬盛ったでしょ!」
「すまない、2人で話をしたかったんだ。」
「はぁー…。」
深いため息をつくと満面の作り笑顔をした。
怪しまれないように普通に接しないと。
「そろそろグラスが空になりそうですが、何にされますか?」
「そうだな、アルマn」
「ビール、ビール追加でぇ!!」
昴の声をかき消すようにボーイに声をかけた。
「馬鹿じゃないの!こんな犯罪組織が経営するような所で、バカ高い酒呑もうとしないで!!」
小声で怒鳴った。
「いやぁ、すまない。公式にナマエに貢げると思うとついな。」
「アルマンド頼もうとしたでしょ!!いったいいくらすると思ってんの!」
「良いやつで100万。」
「……。」
「俺は100万払っても構わないが。
…怒られそうだから中間の25まn」
「絶ッッッッ対にやめて?マジで。」
「…了解…。」
払ったお金の大半は犯罪組織に流れていく。
昴にそんなお金は払って欲しくない。
「ずっと気になっていたんですが…随分甘ったるい匂いの香水ですね。」
「あぁ、これ?お店指定の香水でね。昴ってこういう甘ったるい匂い、キライでしょ?
気持ち悪くなったら困るから、あんまり近づきすぎないほうが。」
「いや、その香りは嫌いではない。むしろ興奮する。」
その言葉に思い切り顔を歪ませてしまった。
「…昴って、薬に耐性ないの?もしかして、FBIってそういうのやってないの…?」
「フフッ。冗談ですよ。やはり媚薬入りの香水なんですね。大丈夫ですよ、耐性あるので別に効いている訳ではないんです。
ただ、君の香りだと思うと少し反応してしまうだけで。」
ダメだ、昴といるとポーカーフェイスが崩れてしまいそうになる。なんとか、なんとか別の話をしなければ…。あ、そうだ!
「そういえばその連れの人、昴の事を恐がってなかった?」
「そうですか?」
「院内で知り合ったの?」
「いや、たまたま東都大から近い所を歩いていたらガラの悪そうな奴らに金をたかられていたので助けたんです。たまたま同じ所の大学院生だと分かると連絡先交換したいとしつこく迫られて…。
まぁたまには学生らしい事をするのも良いかと思って、飲み会の帰りにここに寄ったんです。」
「なるほど、ハシゴしてきた訳ね。
それで、ここに来た理由は?」
「着飾っている君を見たかった。」
「…は?それだけ?」
「えぇ。
少し胸、盛ってますね。」
「殴るよ?」
見る所がそこ?
盛るのは仕方ないでしょうが!
胸元があいてるドレスだから、少し寄せてあつめて盛らないと見栄えが悪いの!!
内心叫ぶ。
…というか、そもそもなんで盛ってんのバレてんの。
「失礼。つい気になって。」
「もう!仕事の邪魔するなら帰って?」
「冷たいな。で、この1ヶ月で進展は?」
「どうでしょうね。」
「ないのか。」
「そ、そんな事…ッ」悔しいけど進展はあまりない。
「頑張って下さい。…また、来ますね。」
もう来なくて良いですー!!
昴相手だと仕事になりません!!
昴はさっさと会計すると、連れの男を担いで出ていった。
私が入って1週間後、風見さんもボーイとして入ってきた。
風見さん自身、降谷さんと比べて自分は駄目だと落ち込んでいる事があるが、そもそも降谷さんの無茶ぶりに答えられる程に行動力や実力があり凄いと思う。
店に入ってきた当日、一日で仕事を覚えて完璧にタスクをこなす優秀ぶりだった。
私も優秀な同僚が身近にいると思うと安心して仕事が出来るというものだ。
ここ1ヶ月の潜入期間、風見さんと一緒に調べたが店内に盗聴器と監視カメラが複数ある以外は特別怪しい点は見られなかった。
女の子が失踪するという事もなかったし、特に事件もない。
手始めに店長の事を調べたが、きちんとヘアメイクの資格を持っていたし前科もなし、経歴に不審な所はない。
ただ、時折売上やキャストの女性について経営者と話をしているようだった。
経営者からの電話は不定期で、店長のスマホに非通知でかかってくるとの事。
恐らくそいつが黒幕だろう。
ただ不用意に店長のスマホを奪って調べるというのも得策ではない。
…どうすべきか。
身体にピッタリと張り付いたピンクのドレス、ハーフアップにした髪はクルクルと綺麗に巻かれていた。
「あら〜!今日も可愛いわねぇ。」
「店長、いつも可愛くしてくれてありがとう。」
「いいのよぉー。そもそも私の技術じゃなくて、顔が元々可愛いからよぉ。
今日も頑張ってね!いってらっしゃい!」
筋骨隆々なオネェ店長は今日も変わらず笑顔で送り出してくれる。
この人は何だか、悪い人ではなさそうなんだよなぁ。ただの私の勘だけど。
そもそも何故犯罪組織が経営するこのお店に来たのだろうか。その事を知らないのだろうか。
いや、私が少し情に絆されているだけで、何か悪い人物との関わりがある可能性もゼロではない。
メイクルームから出て、廊下に並ぶ女性達の写真をまじまじと見つめる。
左から3番目が私。何度見ても慣れない。
…気取った顔。
私はこの1ヶ月でナンバー3にまでのし上がった。
「レイちゃーん、今日のパンツ何色〜?」
「何色だと思います〜?」
「教えてよー!」
「えー。……黒のTバック♡」
色っぽく客の耳元で囁く。
「うわー!!見たいなー。」
「ダメですよ。」
男は鼻の下を伸ばして下半身を少し隆起させている。
私がつけている媚薬入り香水のせいだろう。
この店指定の香水は毎日つけさせられる。
こういう客が続出するから内心嫌だ。
「服越しに触ってもいいー?」
「ダメ。」
蔑んだ眼差しで見ると男は喜んだ。
「いいねぇ〜。その顔!あ〜…そのピンヒールで踏まれたいぃ。」
「は?そういうお店行ったらどうですか?」
「冷たいなぁ。そういうのが魅力だけどね。ゾクゾクしちゃう❤︎」
マジでキモイわ。
男の反応に毎度鳥肌が立ちつつ、のらりくらり話を合わせる。いや、かわす。
接客において、ポアロの降谷さんを参考にしつつ
客一人一人に対して合ったキャラクターを演じた。
目線や仕草・会話の内容・身につけているもの等から相手が言って欲しそうな言葉や表情をした。
…そうは言っても演技に限界はあるし、降谷さんみたいに完璧ではない。当然上手く行かない事もある。
あーあ、私がもし降谷さんのようなスキルがあったらあっという間に一位になっていただろうに。
まぁ、別にトップになる必要はない。
そこそこ売り上げて、海外に売り飛ばしてもやっていけそうだと上の奴らに思われれば良い。
そう、私は囮だ。私を誘拐してもらって、犯人や売り飛ばす手順を知る必要がある。
今の状況では犯罪組織の全容がほとんど分からないし証拠もない。逮捕も出来ない。
「新規のお客様4名です。」
客を送り出してバックヤードに戻ろうとすると風見の声が店内に響いた。
…ほんの少しだけ風見さんの声色に違和感を感じる。何か客に問題でもあるんだろうか。
「4じゃキツイから、2・2でわかれようぜー。」
「OK。〜さん、俺と座ろ!」
途切れ途切れに客の声が聞こえる。
「レイちゃん2卓行ける?」
「はい。いってきます。」
最近ではピンヒールも慣れたもの。
カツカツと音を立てて客のテーブルの横に立った。
「初めまして。来店ありがとうございます、レイで…す…。」
客として来ていた人物に驚いた。
客として座っていたのは、ピンクがかったような茶髪の…。
「レイさん、ですか。大変可愛らしいですね。」
「うわ、当たりじゃん!こんなすっげぇ美人来るなんて!昴さん、もしかして常連なの?」
「いえ、初めて来ました。しかし噂でとても美しい人がいると聞いていましたが…これ程とは。」
「ねぇねぇ、レイちゃん俺たちの間に座ってよ!」
な・ん・で!!
沖矢昴がここに!?
私がこの店にいるの知ってるじゃん!!
何故来た!?
荒ぶる心をなんとか落ち着けて、椅子に座る。
昴と一緒に来たもう1人は、同じ東都大学の大学院生らしい。
「何呑みます〜?」
「俺、高いのはちょっと。…ビールとか?」
「僕もビールで良いですよ。」
「ビール瓶お願いします!」
さっさと酒を呑ませて帰らそう。
「俺、こういうお店初めてで…。緊張しちゃうな。」
「大丈夫。ここは思ってる事を言って、楽しく話をする所だよ。」
「じゃあ遠慮なく!レイちゃんって顔めっちゃ綺麗っすね!」
「ぇへへ〜。ありがとうございます。」
緊張を解すためにも少し頭の悪そうな女を演じる事にした。
そのおかげか、この大学院生さんは本当によく喋った。だが学歴を鼻にかけている訳でもないし、当たり障りない会話を楽しんでくれていた。
…途中までは。
「えへへ、俺すげぇタイプ〜!マジで付き合いたい!」
酔いと香水の影響だろうか。随分荒れだした。
「ホントですか〜?
そんな事言って、皆に言ってるんでしょう?」
「そんな事ない!本気だよ!」
そう言って両手を握りしめてきた。
「こんなお店辞めて、俺と付き合ってよ!
俺将来有望だし!東都大学だから、良い所勤められるんだよ!」
「そういうウザ絡みはやめましょうね。」
昴が少し威圧的に男から手を剥がさせて私の肩をグッと寄せた。
「す、すいません昴さん。」
男は慌てて私から少し距離をとった。
…なんか昴の事、恐がっているように見える。
「水、貰えますか?」
「少しお待ち下さいね。」
昴が水を受け取ると男に渡した。
「1口飲むと良い。」
「うっす。」
男が水を飲み込んだ瞬間、目をつぶって背もたれに勢いよく倒れ込んだ。
「!?」
「shhh…。大丈夫、寝ているだけだ。」
「ちょっ、睡眠薬盛ったでしょ!」
「すまない、2人で話をしたかったんだ。」
「はぁー…。」
深いため息をつくと満面の作り笑顔をした。
怪しまれないように普通に接しないと。
「そろそろグラスが空になりそうですが、何にされますか?」
「そうだな、アルマn」
「ビール、ビール追加でぇ!!」
昴の声をかき消すようにボーイに声をかけた。
「馬鹿じゃないの!こんな犯罪組織が経営するような所で、バカ高い酒呑もうとしないで!!」
小声で怒鳴った。
「いやぁ、すまない。公式にナマエに貢げると思うとついな。」
「アルマンド頼もうとしたでしょ!!いったいいくらすると思ってんの!」
「良いやつで100万。」
「……。」
「俺は100万払っても構わないが。
…怒られそうだから中間の25まn」
「絶ッッッッ対にやめて?マジで。」
「…了解…。」
払ったお金の大半は犯罪組織に流れていく。
昴にそんなお金は払って欲しくない。
「ずっと気になっていたんですが…随分甘ったるい匂いの香水ですね。」
「あぁ、これ?お店指定の香水でね。昴ってこういう甘ったるい匂い、キライでしょ?
気持ち悪くなったら困るから、あんまり近づきすぎないほうが。」
「いや、その香りは嫌いではない。むしろ興奮する。」
その言葉に思い切り顔を歪ませてしまった。
「…昴って、薬に耐性ないの?もしかして、FBIってそういうのやってないの…?」
「フフッ。冗談ですよ。やはり媚薬入りの香水なんですね。大丈夫ですよ、耐性あるので別に効いている訳ではないんです。
ただ、君の香りだと思うと少し反応してしまうだけで。」
ダメだ、昴といるとポーカーフェイスが崩れてしまいそうになる。なんとか、なんとか別の話をしなければ…。あ、そうだ!
「そういえばその連れの人、昴の事を恐がってなかった?」
「そうですか?」
「院内で知り合ったの?」
「いや、たまたま東都大から近い所を歩いていたらガラの悪そうな奴らに金をたかられていたので助けたんです。たまたま同じ所の大学院生だと分かると連絡先交換したいとしつこく迫られて…。
まぁたまには学生らしい事をするのも良いかと思って、飲み会の帰りにここに寄ったんです。」
「なるほど、ハシゴしてきた訳ね。
それで、ここに来た理由は?」
「着飾っている君を見たかった。」
「…は?それだけ?」
「えぇ。
少し胸、盛ってますね。」
「殴るよ?」
見る所がそこ?
盛るのは仕方ないでしょうが!
胸元があいてるドレスだから、少し寄せてあつめて盛らないと見栄えが悪いの!!
内心叫ぶ。
…というか、そもそもなんで盛ってんのバレてんの。
「失礼。つい気になって。」
「もう!仕事の邪魔するなら帰って?」
「冷たいな。で、この1ヶ月で進展は?」
「どうでしょうね。」
「ないのか。」
「そ、そんな事…ッ」悔しいけど進展はあまりない。
「頑張って下さい。…また、来ますね。」
もう来なくて良いですー!!
昴相手だと仕事になりません!!
昴はさっさと会計すると、連れの男を担いで出ていった。