次の日も朝から車で送ってもらい、職場に足を踏み入れた。
…なんだか騒がしい。
「やっと来たか！この資料読み込んですぐ支度しなさい。」
どうやら大きい事件があったらしい。
私は通勤時間が皆よりは長い方なので、風見さんが気を使って早めに招集させなかったんだろう。
申し訳ない。
さっと資料を読み込んでトレンチコートを羽織り駐車場へ向かった。
風見さんの運転する車の助手席に座って更に資料を読み込んだ。
「なかなか大変な現場だが気を引き締めるぞ。きちんと防護服着ろよ。」
「分かりました。」

その後は怒涛だった。
捜査し、解決した後は後始末に追われる。
風見さんの車に乗り込んだ時点で昴さんにしばらく連絡出来ない、そちらに行けないとメールをしておいた私GJ。

ようやく落ち着いてきたのは3日後。
正直三徹でボロボロだ。
シャワーは毎日浴びていたものの、顔はすっぴんで髪はリンスなしだからボサボサ。1番は目の隈が酷い。
大抵眠気は1日目が酷かったが、その後はハイになっているのか最早眠気は感じない。
ブラックコーヒーを浴びるように飲みながら最後の仕事をする。

部屋を見回すと皆同じ状況だった。
男達はシャワーをろくに浴びていないので部屋が男臭い。私にまで臭いがうつりそうだ。
思わず香水をふりかけた。
隣の席の男が「ここは花畑か…？天国か？」と訳の分からない事を言ってとうとう意識を失った。
…盛大にいびきをかいている。
いやお前さっき仮眠してたじゃん。こっちは仮眠なんぞとってないぞ。
イラッとしてたら風見さんが男を椅子ごと廊下に放り出した。
「いびきがうruさかったのでtaすかりました。」
上手く口が回らない。
「大丈夫か？だから仮眠しろと言ってるのに。もう休めよ。」
「風見すｧﾝ…大丈夫れす。」
「もうそれで終わりか？…終わったら3日くらい休みを取っておく。」
「そoんな、皆たいhenなのに。」
「そんな誤変換みたいな喋り方している奴に心配されたくない。」
自分じゃ大丈夫なつもりだがとうに限界を超えていたらしい。舌が鉛のようだ。
さっさと終わらせ、皆に頭を下げて職場を後にした。

家に…家に帰らなきゃ。
仕事が終わったと思ったら完全に緊張の糸が切れた。
足が思うように動かない。
視界が霞む。
門の警備員が心底心配そうに私を見ていた。
大丈夫、と手を挙げようとしたがそれすらする力が残っていない。
タクシー…。呼ば…な…きゃ…。
車道の方に向かう途中で意識を失った。