ナマエがしっかり寝た事を確認し、カバンからメモとペンを取り出した。
お礼と電話番号を書いてテーブルに置いてそっと玄関を出た。
夜風が少し寒い位だが火照った身体には丁度良かった。

次の日に火災の原因が判明し放火犯が逮捕された所で江戸川コナン君に工藤邸を勧められて住める事になった。
言われた住所に行ってみると思ったよりも随分と広い家だった。
男1人で住むには広すぎる…。

そう思っていたが１ヶ月も経つと随分慣れてきた。
なかなか忙しいのか、1度しかナマエから電話がなかった。こちらからかけるのも迷惑だろう。

夕方頃買い物を終え家に着いた途端、電話が鳴った。
彼女かもしれないと期待して電話を取ったが違った。

「やぁボウヤ。どうした？」
「昴さん…ちょっと気になることがあって電話したんだけど…。」
「なんだ？」
「…組織の人かもしれない女性が赤井さんを探してる。」
「…その女の見た目は？」
「黒髪でストレート、目の色がグレー。見た目はハーフみたいだった。名前はナマエ、
それに…苗字が…ライって…。」

恐らく彼女だろう。
情報が得たくてあのボウヤに近付いたのか。
ボウヤにはなんと言うべきか…。

「…こちらでも調べてみるよ。適度に接触して多少の情報を与えれば納得して去っていくんじゃないか？」
「情報って…何を言えば…。」
「赤井秀一の死ぬ前の行動は別に言っても構わない。恐らく死ぬ前の行動が知りたいだけだろう。」
「赤井さんが生きてると疑ってるかもしれないのに言って大丈夫なの！？」
「…しかし何も情報を与えなければ彼女はボウヤに延々とついてまわる事になる。嫌だろ？」
「でも…。」
「それくらい知られても問題はない。何かあっても俺とボウヤならなんとかなるはずだ。」
「…分かった。」不服そうな返答が返ってきた。