朝起きたら沖矢さんはもう居なかった。
テーブルのメモには"ありがとうございました"と一言書いてあり、その下に電話番号が記されていた。
そういえば連絡先聞いてなかったな。
後で電話してみよう。

念の為盗聴器などが設置されていないか確認した。
問題ない。まぁ沖矢さんはそんな人ではないだろう。

朝食を食べ終わって支度をしていると電話が鳴った。
降谷さんだ。
「もしもし。何か分かりました？」
「赤井が最後に触れた携帯の持ち主である少年がいただろ？やはり何か事情を知っていると僕は踏んでいる。
現在毛利探偵事務所という所で居候しているらしい。」
「へぇ…親とは住んでないんですね。」
「そのようだ。親は海外にいるらしい。」
「その少年、何歳ですか？」
「小学校1年らしいから6〜7歳だろうな。」
「そんな小さい子…なんで海外に連れて行かないんでしょうね。」
「それは分からないが。僕はその少年に近付く為にその探偵事務所を開いている、毛利小五郎に接触を試みるつもりだ。」
「どうやって…？」
「弟子にでもしてもらうさ。それとその下の階は喫茶店になっているから、そこでバイトをして様子を伺うよ。」
「降谷さん、喫茶店の店員さんになるんですか？似合いそう。名物店員になりますね。」
「こら、からかうなよ。」
満更でもなさそうな声だ。
「それと潜入中は安室透という名前を使う。間違っても降谷と呼ぶなよ。」
「分かりました。安室さん。」
「それで良い。何かあったらまた連絡する。」
「私もその喫茶店行っても良いですか？」
「…まぁ良いけど、邪魔はするなよ。」
「しませんよ。私もついでにその少年に接触出来るかもしれませんし。」
「…分かった。１ヶ月以内には潜入する。またな。」

降谷零にバーボンに安室透。トリプルフェイスとは大変そうだな。
私も頑張ろ。

警視庁へ向かい、今朝の事を風見に伝える。
「風見さんも喫茶店行きません？」
「オレは行かない。なるべく邪魔はしたくない。」
「そう。」

そして１ヶ月後、その喫茶店に行く事にした。