映像を見ると、確かに殺されていた。
発砲と共に血が頭から吹き出していた。
しかし頭を真正面から撃ち抜かれて殺されているようだった。
おかしい。だとしたらあの遺体は銃創の位置が違う。
赤井秀一の遺体は別にあるのか？
だとしたら誰があの時遺体をすり替えた？
殺された後に車が燃えるまでそんなに時間はない。

"まさか、ここまでとはな。"
最後の彼の言葉が頭を反芻する。
普通なら自分の命がここまでである事を嘆く言葉だろうが…。他にも意図がある気がする。


ブツブツと呟きながら道を歩いていた。
ああでもない、こうでもないと考えを巡らすうちについ視野が狭くなっていたらしい。
「うわ！」
思いっきり誰かにぶつかってしまった。
反動でコーヒーを思い切りその人にぶちまけてしまった。
「ご、ごめんなさい！」
男性の白いシャツはみるみる黒く染まった。
「いえ、僕もよそ見をしていましたから過失は50:50です。怪我はありませんか？」
「私は全然大丈夫ですが、貴方のシャツが！
本当にごめんなさい！弁償します！クリーニング代か服の分のお金支払います！」
「いえ、弁償頂かなくて大丈夫です。僕もつい考え事をしてろくに前を見ていませんでしたから。」
「そういう訳には…。」
「…では、次に会った時にお願いしますね。」
「えっ…ちょっと待…」
そう言うとスタスタと早足でどこかへ行ってしまった。
あー…本当に申し訳ない。
次、と言われたがまた会えるのだろうか。

ピンクがかった茶髪に、糸目でメガネをかけた彼に。