Put on a happy face
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走っているとすぐに彼女を見つけた。
歩道に犯人らしき男と一緒にいた。
名前を呼びながら車を転げるように降りて反対側の道路へ走った。2人の目線がこちらを向く。
「こっちへ来るな!」
「えっ……!?」
彼女の怒りを含んだ叫びと共に目の前から強い風圧と熱風が襲う。衝撃で立っていられず急いで地面に伏せた。
「ッ……!」
ゆっくり起き上がる。
薄目を開けると目の前には火柱が上がっていた。
焦げ臭い、焼ける臭いが鼻をつく。
爆発。轟轟と燃える赤い炎。黒い煙。
目の前で松田君が亡くなった時の場面がフラッシュバックする。
手足が震え、血の気が引いて吐き気がする。
やっぱり私、呪われてる…。私は死神…。
「佐藤さん!?」
後ろから来た渉が震える私の肩を支えてくれた。それでも上手く足に力が入らなくて立てない。
「まさか……!佐藤さん、ナマエさんも巻き込まれたんですか!佐藤さん!!」
何も言えない。言葉が全く出ない。
口を動かせど、漏れ出てくるのは空気だけ。
「佐藤さん、ゆっくり息をして下さい!
少し後ろを向きましょう。」
後ろを向いて何度か深呼吸をした。
おかげで脳にようやく酸素が行って視界が冴えてきた。そうよ、私は警察官。しっかりしないと。
急に後ろからゴトンと重く乾いた音がした。
驚いて勢いよく振り返ると何事もなかったようにピンピンしたナマエさんがいた。
「佐藤さん、怪我はないですか?」
地面には2つの消火器が置いてあった。そのうちの1つのコックを外し噴射し始めた。
白い粉が煙のように目の前を立ち込める。
「高木さんも手伝ってください!」
「は、はい!」
唖然とする私を置いて2人は燃えている犯人を鎮火した。残ったのは黒焦げの犯人。
助からないのは明らかだ。
「佐藤さん、気分はどうですか?怪我は?」
「無事でよかった…ッ!本当によかった!」
私の顔を覗き込む彼女を見て酷く安心して涙が溢れた。泣きじゃくる私をナマエさんは優しく抱きしめながら背中を摩ってくれた。
落ち着いて顔を上げた頃には捜査一課や機動隊等の面々が到着していた。
「心配をおかけしてすみませんでした。
佐藤さん、本当に怪我ないですよね?」
「私は大丈夫。貴女こそ怪我はないの…?爆発に巻き込まれたのに…。」
「犯人に爆弾がついてるのは分かってましたから。
最初から挙動不審過ぎましたし。」
「どういう事?」
「私が到着した時点で犯人は誰も傷つけていなかった。空を切るように刃物を振り回していたんです。
まるで誰かを待っているようでした。
恐らく狙いは私でしょう。
私を見た瞬間、少し嬉しそうでした。
犯人は刃物位では私を殺せない事は分かっていたと思います。刃物を振り落としてもそこまで抵抗はしていなかった。
だから犯人の服の中をすぐ確認しました。
案の定爆弾が身体中グルグル巻きでした。
まぁその爆弾、失敗作でしたが。」
「失敗作…?」
「明らかに配線を間違えてました。あれじゃあ最大威力が出ないですね。せいぜい犯人と周辺1mを燃やす位でしょう。実際そうでしたし。」
粉々になった爆弾の破片をいくつかつまみ上げていた。
「爆弾に詳しいのね。」
「えぇ、昔上司にみっちり教わったので。」
そう言ってニヤリを笑う顔を見て何故か松田君の顔が頭に浮かんだ。
「…松田陣平という人、知ってるかしら?」
自分でも唐突におかしな質問をしていると思った。けれど聞かずにはいられなかった。
「…以前こちらの刑事さんだった方ですよね?
爆破事件で亡くなった…。」
「会った事ある?」
「一度、遠目から見た事があります。」
「それじゃあ松田君の同期の人も知ってる?」
「…数名は。何が言いたいんでしょうか?」
「…フルヤ レイって」その名前を言った瞬間唐突に厳しい顔をした。
「Need not to know。」
【need to knowの原則】。
情報は知る必要のある人のみに伝え、知る必要のない人には伝えないという原則。
私達に知る必要はないという事。
「そうよね…。ごめんなさい。松田君を知ってるかもしれない人が気になって…。」
「…一つだけ、教えられます。私の爆弾に関する知識は、元々松田陣平さんのものです。彼が亡くなっているとしても、彼の想いを引き継いでいる者は幾人もいるでしょう。
誰かが忘れない限り、彼は生きているんじゃないでしょうか。佐藤さんも含め、各々の中で。」
真っ直ぐな眼差しに射抜かれた。
その眼にどこか懐かしい感じがした。
「貴女って…爆弾について話をしている時の目がほんの少しだけ松田君に似てる。」
「えっ?」
「どの辺が、って聞かれたら分からないんだけど。なんとなく。」自分で言っておきながら訳が分からなくて思わず笑ってしまった。
隣にいる渉は心底心配そうな顔をして私を見つめていた。
「さて、仕事仕事!!ほら、忙しくなるわよ!!残念ながらスーパーには行けなさそうね。
お父様に連絡しておきなさい!」
「分かりました。その前に栄養ドリンク買いたいので薬局へ行ってきても良いですか?」
「勿論。少し休んでから戻って来なさい。気をつけてね。」
「はい。行ってきます。」
「…新しい私たちの仲間は凄くカッコイイわね。ホント、悔しいくらい。」
「そうですね。僕達も負けてられませんよ?」
お互い顔を見合わせて笑った。
私だって負けないんだから。
歩道に犯人らしき男と一緒にいた。
名前を呼びながら車を転げるように降りて反対側の道路へ走った。2人の目線がこちらを向く。
「こっちへ来るな!」
「えっ……!?」
彼女の怒りを含んだ叫びと共に目の前から強い風圧と熱風が襲う。衝撃で立っていられず急いで地面に伏せた。
「ッ……!」
ゆっくり起き上がる。
薄目を開けると目の前には火柱が上がっていた。
焦げ臭い、焼ける臭いが鼻をつく。
爆発。轟轟と燃える赤い炎。黒い煙。
目の前で松田君が亡くなった時の場面がフラッシュバックする。
手足が震え、血の気が引いて吐き気がする。
やっぱり私、呪われてる…。私は死神…。
「佐藤さん!?」
後ろから来た渉が震える私の肩を支えてくれた。それでも上手く足に力が入らなくて立てない。
「まさか……!佐藤さん、ナマエさんも巻き込まれたんですか!佐藤さん!!」
何も言えない。言葉が全く出ない。
口を動かせど、漏れ出てくるのは空気だけ。
「佐藤さん、ゆっくり息をして下さい!
少し後ろを向きましょう。」
後ろを向いて何度か深呼吸をした。
おかげで脳にようやく酸素が行って視界が冴えてきた。そうよ、私は警察官。しっかりしないと。
急に後ろからゴトンと重く乾いた音がした。
驚いて勢いよく振り返ると何事もなかったようにピンピンしたナマエさんがいた。
「佐藤さん、怪我はないですか?」
地面には2つの消火器が置いてあった。そのうちの1つのコックを外し噴射し始めた。
白い粉が煙のように目の前を立ち込める。
「高木さんも手伝ってください!」
「は、はい!」
唖然とする私を置いて2人は燃えている犯人を鎮火した。残ったのは黒焦げの犯人。
助からないのは明らかだ。
「佐藤さん、気分はどうですか?怪我は?」
「無事でよかった…ッ!本当によかった!」
私の顔を覗き込む彼女を見て酷く安心して涙が溢れた。泣きじゃくる私をナマエさんは優しく抱きしめながら背中を摩ってくれた。
落ち着いて顔を上げた頃には捜査一課や機動隊等の面々が到着していた。
「心配をおかけしてすみませんでした。
佐藤さん、本当に怪我ないですよね?」
「私は大丈夫。貴女こそ怪我はないの…?爆発に巻き込まれたのに…。」
「犯人に爆弾がついてるのは分かってましたから。
最初から挙動不審過ぎましたし。」
「どういう事?」
「私が到着した時点で犯人は誰も傷つけていなかった。空を切るように刃物を振り回していたんです。
まるで誰かを待っているようでした。
恐らく狙いは私でしょう。
私を見た瞬間、少し嬉しそうでした。
犯人は刃物位では私を殺せない事は分かっていたと思います。刃物を振り落としてもそこまで抵抗はしていなかった。
だから犯人の服の中をすぐ確認しました。
案の定爆弾が身体中グルグル巻きでした。
まぁその爆弾、失敗作でしたが。」
「失敗作…?」
「明らかに配線を間違えてました。あれじゃあ最大威力が出ないですね。せいぜい犯人と周辺1mを燃やす位でしょう。実際そうでしたし。」
粉々になった爆弾の破片をいくつかつまみ上げていた。
「爆弾に詳しいのね。」
「えぇ、昔上司にみっちり教わったので。」
そう言ってニヤリを笑う顔を見て何故か松田君の顔が頭に浮かんだ。
「…松田陣平という人、知ってるかしら?」
自分でも唐突におかしな質問をしていると思った。けれど聞かずにはいられなかった。
「…以前こちらの刑事さんだった方ですよね?
爆破事件で亡くなった…。」
「会った事ある?」
「一度、遠目から見た事があります。」
「それじゃあ松田君の同期の人も知ってる?」
「…数名は。何が言いたいんでしょうか?」
「…フルヤ レイって」その名前を言った瞬間唐突に厳しい顔をした。
「Need not to know。」
【need to knowの原則】。
情報は知る必要のある人のみに伝え、知る必要のない人には伝えないという原則。
私達に知る必要はないという事。
「そうよね…。ごめんなさい。松田君を知ってるかもしれない人が気になって…。」
「…一つだけ、教えられます。私の爆弾に関する知識は、元々松田陣平さんのものです。彼が亡くなっているとしても、彼の想いを引き継いでいる者は幾人もいるでしょう。
誰かが忘れない限り、彼は生きているんじゃないでしょうか。佐藤さんも含め、各々の中で。」
真っ直ぐな眼差しに射抜かれた。
その眼にどこか懐かしい感じがした。
「貴女って…爆弾について話をしている時の目がほんの少しだけ松田君に似てる。」
「えっ?」
「どの辺が、って聞かれたら分からないんだけど。なんとなく。」自分で言っておきながら訳が分からなくて思わず笑ってしまった。
隣にいる渉は心底心配そうな顔をして私を見つめていた。
「さて、仕事仕事!!ほら、忙しくなるわよ!!残念ながらスーパーには行けなさそうね。
お父様に連絡しておきなさい!」
「分かりました。その前に栄養ドリンク買いたいので薬局へ行ってきても良いですか?」
「勿論。少し休んでから戻って来なさい。気をつけてね。」
「はい。行ってきます。」
「…新しい私たちの仲間は凄くカッコイイわね。ホント、悔しいくらい。」
「そうですね。僕達も負けてられませんよ?」
お互い顔を見合わせて笑った。
私だって負けないんだから。