Put on a happy face
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デスクに案内され荷物を置き、目の前の人物にとりあえず笑顔で軽く会釈をした。
彼は私の顔を見るとすぐに眉間にシワを寄せ無言で目線を手元に落とした。
歓迎されないのは分かっていたが実際無視されるとちょっとばかり傷つくな。
「こら、田山君!無視しない!挨拶くらいしなさい!」
佐藤刑事が怒ったおかげで田山と呼ばれた男はしぶしぶ、「よろしく」と言って会釈してくれた。
「佐藤さん、ありがとうございました。でも歓迎されてないのは分かっているので、大丈夫ですよ。」
「あなたが大丈夫でも、私は大丈夫じゃない!
目の前でこんなイジメみたいな態度とっている奴がいたら、私がムカつくの!
いい?今度こういう事があったら私に言いなさい。」
何度か関わった中で、佐藤さんはしっかりとしていて芯が強い、熱血系だと思ったけど案の定だ。
本当に正義感が強いんだろうな。
同じ警察官になった、高校時代の唯一の友を思い出した。彼女と似たようなものを感じて少し懐かしくなった。
「ありがとうございます。」
「何笑ってるのよ。」
「いえ……。嬉しくて。」
その日は佐藤刑事の後ろについて周り、一日の流れや書類の書き方など仕事を教わった。他の人も仏頂面ながら一応色々教えてくれた。
当然だが公安の人達との態度の違いに寂しい気持ちになった。とはいえ捜査一課の方とは仲良くなる気はない。プライベートもなるべく明かさないつもりだ。
私は黒の組織に大きく関わってしまったために、何時どこで命を狙われるか分からない。
捜査一課の方々は拷問耐性・薬剤耐性はないだろう。
だからもし、私と一緒に捕まったら相当苦しい思いをさせてしまう上、最悪命を落とすことになりかねない。
だから巻き込んでしまわないよう、なるべく捜査以外で一緒に居ることは避けるつもりだ。
仕事の内容は違えど、書類はかなり似ていた。
ただ、所々違うので書き方をその都度聞くことになる。全部説明してもらうのは少し申し訳ない気分になった。何せ色々種類がある為にかなりの時間を使わせてしまう。
「この書類の書き方聞いてもいいですか?」
「あぁ、これね。私これ、結構複雑で嫌いなのよ。ゆっくり説明するわね。
ーって感じかな。説明するのも大変だわ。
伝わっているかしら?」
「大丈夫です、ここはこうして、〜って事ですね。」
「さすがね……。私、この書類理解するまで数ヶ月かかったわ。」
「佐藤さんの説明が分かりやすいからですよ。ありがとうございます。」
「また分からなくなったらいつでも聞いてちょうだい。同じ事、何度も聞いても良いからね。」
本当に佐藤さんは優しい。
高木さんや、その他の人達が惚れるのも分かるなー。
高木刑事、良い人を恋人にしたねぇ。
「ん?ボクの顔に何かついてます?」
「なんでもないです。」
ーーー
捜査一課に配属されてから1ヶ月ほど経った。
毎日忙しくてあっという間だった。
相変わらず私の扱いは良くなく、捜査一課の人達からは距離を置かれていた。
まぁ、気にせず自分のペースでやらせてもらっている。そんな日々の中、久しぶりに定時で帰れそうな日の事。
「ねぇ、今日仕事後に時間ある?」
「何でしょうか?」
「歓迎会、してなかったなと思って。どうかしら?
私と高木君の3人だけなんだけど……。」
「歓迎会は結構です。」
「あっ……そ、そう……?」
「高木さんとのデートのお邪魔している気分になりそうなので。」冗談ぽく笑うと佐藤さんが明らかに動揺した。
「えっ、何で知って……!誰から聞いたの?」
「以前、コナン君から…。」
「あの子……!」
余計なこと言わなくていいのに、と佐藤さんがブツクサ文句を言い始めた。
あまり知られたくなかったのだろうか?
別に隠すことないのに、お似合いだし。
「ナマエさんは恋人いないの?」
「恋人 は いません。」夫はいるけど。
「えっ、こんな美人なのに……!あ、でも仕事が忙しいと、それどころじゃない時あるわよね。」
「そうですね……。」
苦笑いしながら書類をクリップでとめた。
「あ、それ纏め終わったら今日はもう終わりで大丈夫よ。私も帰るつもりだし。」
「分かりました。」
そう言った瞬間スマホが震え、LINEの通知が表示された。
"すまない、人参だけ買い忘れた。出来たら帰りに買ってきてくれないか?"
「あら、ご家族と一緒に住んでいるの?」
佐藤さんに通知を見られた。
名前の部分には『S』としか表示されていないので誰かは分からないはず。
「おっ…………お父さんです!一緒には住んでいないんですけど、マンションの目の前が実家なのでよく料理を作って持ってきてくれるんです!」
「あら、お父さんが料理?素敵ね。」
シュウが聞いたら"いつから俺は君の父親になったのかな?"とキレられそうだ。
シュウ、ごめん。
とりあえず誤魔化せた。佐藤さんは何も疑うことなく納得してくれた。
それ以上何も聞かれたくなかったので、さっさと警視庁を出た。
時刻は17時半。まだまだ晩御飯には余裕がある。
さて、人参を買うべく歩いて警視庁から10分のスーパーへとたどり着いた。
しかしスーパーに入ってすぐ、スマホが震えた。
佐藤さんからだ。
電話に出ると、佐藤さんの焦った声が聞こえてきた。
近隣で通り魔が出ていると。
しかも現場はこのスーパーから凄く近いらしい。
「分かりました。向かいます。」
「待って!危ないから待機よ!!!今、皆で向かってるから!絶対に一人で行っちゃダメよ!!」
「問題ありません。」
電話をプツリと切ってカゴを元に戻し、全速力で走った。電話の先で、佐藤さんが必死に叫んでいるのが聞こえたような気がしたけど、被害を最小限にするのが優先だ。
スーパーの目の前の通りを走って、大通り沿いを右に曲がった。まっすぐ走っていると前から悲鳴と共に大勢の人が走ってきた。
あれだ、間違い無い。
逃げる人だかりの先には黒いコートを着てフードを被った人物が見えた。
犯人の目は血走り、何かを叫んでいた。
荒れ狂うようにナイフを振り回していたものの、幸い目的なく振り回しているようで今の所は誰も傷つけていない。
群衆はとうに私の後方へと逃げた。
広い歩道の真ん中にポツンといる状況になる。
おかげで流石に数メートル先からでも私が目の前に立ちはだかっている事に気付いたらしい。
喜びなのか怒りなのか分からない表情のままナイフを振りかざす。
当然犯人との距離はまだまだ遠い。
それなのにバタバタとナイフを振り回し暴れていた。眼鏡が落ちても気にせずこっちへ向かって走ってきている。その姿は哀れとしか言いようがない。
「止まれ!!」
一度叫んだが当然止まらない。勿論想定内。
さて………制圧しますか。
犯人の腕を下から叩きあげ、ナイフを手から吹き飛ばし、同時に犯人の顔面に容赦なく拳を入れた。
手から離れたナイフは遠くの茂みに投げ込んだ。
「ぎゃあああっ!!!」
犯人は顔面を抑えて後ろへよろめいた。
指の隙間から鼻血がダラダラと流れていた。
「よくも…よくもぉぉ!!」
「諦めた方が身のためですよ。抵抗するようなら次は腕を折ります。」
組織仕込みの殺気を放ち、截拳道の構えをとる。
それを見て流石に犯人は目を丸くし、次の瞬間には観念したのかその場に座り込んだ。
「……分かった。もうしない。だから許してくれ……。」
「パトカーが来るまでそこにいて下さい。」
「はい……。」
手錠をかけその場にしゃがみ込ませた。
大人しく渡したティッシュで鼻をおさえている。
その間に軽く身体検査をした。
「正直に答えろ。これは」
私が声をかけた瞬間、赤いRX-7が近くに止まった。その中から佐藤さんが慌てたように車から出てきて、私の名前を呼びながら駆け寄ろうとしていた。
犯人は私が佐藤さんを見ているのに気付いた。
その隙に犯人が不審な動きをした。
「こっちへ来るな!」
「えっ……!?」
彼は私の顔を見るとすぐに眉間にシワを寄せ無言で目線を手元に落とした。
歓迎されないのは分かっていたが実際無視されるとちょっとばかり傷つくな。
「こら、田山君!無視しない!挨拶くらいしなさい!」
佐藤刑事が怒ったおかげで田山と呼ばれた男はしぶしぶ、「よろしく」と言って会釈してくれた。
「佐藤さん、ありがとうございました。でも歓迎されてないのは分かっているので、大丈夫ですよ。」
「あなたが大丈夫でも、私は大丈夫じゃない!
目の前でこんなイジメみたいな態度とっている奴がいたら、私がムカつくの!
いい?今度こういう事があったら私に言いなさい。」
何度か関わった中で、佐藤さんはしっかりとしていて芯が強い、熱血系だと思ったけど案の定だ。
本当に正義感が強いんだろうな。
同じ警察官になった、高校時代の唯一の友を思い出した。彼女と似たようなものを感じて少し懐かしくなった。
「ありがとうございます。」
「何笑ってるのよ。」
「いえ……。嬉しくて。」
その日は佐藤刑事の後ろについて周り、一日の流れや書類の書き方など仕事を教わった。他の人も仏頂面ながら一応色々教えてくれた。
当然だが公安の人達との態度の違いに寂しい気持ちになった。とはいえ捜査一課の方とは仲良くなる気はない。プライベートもなるべく明かさないつもりだ。
私は黒の組織に大きく関わってしまったために、何時どこで命を狙われるか分からない。
捜査一課の方々は拷問耐性・薬剤耐性はないだろう。
だからもし、私と一緒に捕まったら相当苦しい思いをさせてしまう上、最悪命を落とすことになりかねない。
だから巻き込んでしまわないよう、なるべく捜査以外で一緒に居ることは避けるつもりだ。
仕事の内容は違えど、書類はかなり似ていた。
ただ、所々違うので書き方をその都度聞くことになる。全部説明してもらうのは少し申し訳ない気分になった。何せ色々種類がある為にかなりの時間を使わせてしまう。
「この書類の書き方聞いてもいいですか?」
「あぁ、これね。私これ、結構複雑で嫌いなのよ。ゆっくり説明するわね。
ーって感じかな。説明するのも大変だわ。
伝わっているかしら?」
「大丈夫です、ここはこうして、〜って事ですね。」
「さすがね……。私、この書類理解するまで数ヶ月かかったわ。」
「佐藤さんの説明が分かりやすいからですよ。ありがとうございます。」
「また分からなくなったらいつでも聞いてちょうだい。同じ事、何度も聞いても良いからね。」
本当に佐藤さんは優しい。
高木さんや、その他の人達が惚れるのも分かるなー。
高木刑事、良い人を恋人にしたねぇ。
「ん?ボクの顔に何かついてます?」
「なんでもないです。」
ーーー
捜査一課に配属されてから1ヶ月ほど経った。
毎日忙しくてあっという間だった。
相変わらず私の扱いは良くなく、捜査一課の人達からは距離を置かれていた。
まぁ、気にせず自分のペースでやらせてもらっている。そんな日々の中、久しぶりに定時で帰れそうな日の事。
「ねぇ、今日仕事後に時間ある?」
「何でしょうか?」
「歓迎会、してなかったなと思って。どうかしら?
私と高木君の3人だけなんだけど……。」
「歓迎会は結構です。」
「あっ……そ、そう……?」
「高木さんとのデートのお邪魔している気分になりそうなので。」冗談ぽく笑うと佐藤さんが明らかに動揺した。
「えっ、何で知って……!誰から聞いたの?」
「以前、コナン君から…。」
「あの子……!」
余計なこと言わなくていいのに、と佐藤さんがブツクサ文句を言い始めた。
あまり知られたくなかったのだろうか?
別に隠すことないのに、お似合いだし。
「ナマエさんは恋人いないの?」
「恋人 は いません。」夫はいるけど。
「えっ、こんな美人なのに……!あ、でも仕事が忙しいと、それどころじゃない時あるわよね。」
「そうですね……。」
苦笑いしながら書類をクリップでとめた。
「あ、それ纏め終わったら今日はもう終わりで大丈夫よ。私も帰るつもりだし。」
「分かりました。」
そう言った瞬間スマホが震え、LINEの通知が表示された。
"すまない、人参だけ買い忘れた。出来たら帰りに買ってきてくれないか?"
「あら、ご家族と一緒に住んでいるの?」
佐藤さんに通知を見られた。
名前の部分には『S』としか表示されていないので誰かは分からないはず。
「おっ…………お父さんです!一緒には住んでいないんですけど、マンションの目の前が実家なのでよく料理を作って持ってきてくれるんです!」
「あら、お父さんが料理?素敵ね。」
シュウが聞いたら"いつから俺は君の父親になったのかな?"とキレられそうだ。
シュウ、ごめん。
とりあえず誤魔化せた。佐藤さんは何も疑うことなく納得してくれた。
それ以上何も聞かれたくなかったので、さっさと警視庁を出た。
時刻は17時半。まだまだ晩御飯には余裕がある。
さて、人参を買うべく歩いて警視庁から10分のスーパーへとたどり着いた。
しかしスーパーに入ってすぐ、スマホが震えた。
佐藤さんからだ。
電話に出ると、佐藤さんの焦った声が聞こえてきた。
近隣で通り魔が出ていると。
しかも現場はこのスーパーから凄く近いらしい。
「分かりました。向かいます。」
「待って!危ないから待機よ!!!今、皆で向かってるから!絶対に一人で行っちゃダメよ!!」
「問題ありません。」
電話をプツリと切ってカゴを元に戻し、全速力で走った。電話の先で、佐藤さんが必死に叫んでいるのが聞こえたような気がしたけど、被害を最小限にするのが優先だ。
スーパーの目の前の通りを走って、大通り沿いを右に曲がった。まっすぐ走っていると前から悲鳴と共に大勢の人が走ってきた。
あれだ、間違い無い。
逃げる人だかりの先には黒いコートを着てフードを被った人物が見えた。
犯人の目は血走り、何かを叫んでいた。
荒れ狂うようにナイフを振り回していたものの、幸い目的なく振り回しているようで今の所は誰も傷つけていない。
群衆はとうに私の後方へと逃げた。
広い歩道の真ん中にポツンといる状況になる。
おかげで流石に数メートル先からでも私が目の前に立ちはだかっている事に気付いたらしい。
喜びなのか怒りなのか分からない表情のままナイフを振りかざす。
当然犯人との距離はまだまだ遠い。
それなのにバタバタとナイフを振り回し暴れていた。眼鏡が落ちても気にせずこっちへ向かって走ってきている。その姿は哀れとしか言いようがない。
「止まれ!!」
一度叫んだが当然止まらない。勿論想定内。
さて………制圧しますか。
犯人の腕を下から叩きあげ、ナイフを手から吹き飛ばし、同時に犯人の顔面に容赦なく拳を入れた。
手から離れたナイフは遠くの茂みに投げ込んだ。
「ぎゃあああっ!!!」
犯人は顔面を抑えて後ろへよろめいた。
指の隙間から鼻血がダラダラと流れていた。
「よくも…よくもぉぉ!!」
「諦めた方が身のためですよ。抵抗するようなら次は腕を折ります。」
組織仕込みの殺気を放ち、截拳道の構えをとる。
それを見て流石に犯人は目を丸くし、次の瞬間には観念したのかその場に座り込んだ。
「……分かった。もうしない。だから許してくれ……。」
「パトカーが来るまでそこにいて下さい。」
「はい……。」
手錠をかけその場にしゃがみ込ませた。
大人しく渡したティッシュで鼻をおさえている。
その間に軽く身体検査をした。
「正直に答えろ。これは」
私が声をかけた瞬間、赤いRX-7が近くに止まった。その中から佐藤さんが慌てたように車から出てきて、私の名前を呼びながら駆け寄ろうとしていた。
犯人は私が佐藤さんを見ているのに気付いた。
その隙に犯人が不審な動きをした。
「こっちへ来るな!」
「えっ……!?」