Put on a happy face
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今、緊張で心臓が口から出そう。
シュウがイギリスへ行って1か月後、婚姻届を提出した。
私の両親は勿論大喜びしてくれた。
本当はメアリーさんにもご挨拶してからの方が良いのではと言ったのだが、小さくなったままでは会いたくないとの事だった。
その上メアリーさんが挨拶など気にするな、さっさと提出して来いと言っていたそうなので遠慮なく提出させてもらった。
そしてつい1週間前、APTXの影響で小さくなっていたメアリーさんはようやく元に戻る事が出来た。
自分の苗字も赤井になった所で、元に戻れたお祝いも兼ねてきちんと赤井秀一のお母様のメアリーさんに会いに行くことになったのだ。
「ねぇ、手土産これで本当にいいの?」
「あぁ。母さんは紅茶が好きだからな。」
私が組織にいた頃、唯一の癒しとして足繁く通った紅茶専門店。
そこで購入した1番良い茶葉を贈ることにした。
それともうひとつの袋に入っているのは、昔メアリーさんに借りた赤くて白いレースのついたハンカチ。
"次に会った時に"と言っていたが、こんなにも後になるとは思わなかった。
タワーマンションの一室。
シュウが慣れたようにオートロックを開けてマンションへと入っていくのを後ろから着いて行った。
「どうしよ……大丈夫かな?ねぇ、服変じゃない?」
「大丈夫だ。」
エレベーターに乗っている間もそわそわしっぱなしだった私に苦笑いしながらシュウはポンと頭を撫でてくれた。
部屋の前に着き、インターホンを押すとすぐにドアが開いた。私を見るなりメアリーさんは優しい笑みを浮かべて抱きしめてくれた。
「あぁ良かった、生きていてくれて良かった。」
「メアリーさん……!」
「貴女が公安に入った事は、ずっと前から知っていた。実は貴女の両親とはずっと定期的に連絡を取っていたのよ。
実際、貴女が無事かこの目で見るまでは心配だった。……あぁ、本当に良かった。
…昔よりも随分と逞しくなったわね。顔つきも随分と変わった。あんなにか弱かったのに。」
「気にかけて頂いていたなんて嬉しいです。
ありがとうございます。
久しぶりにお会いできて嬉しいです!」
笑顔でメアリーさんをみると目を細めて笑ってくれた。笑う顔はシュウとそっくりだけれど、また別の美しさがある。
シュウとメアリーさんの顔は本当にそっくりなのだけれど、メアリーさんは華やかさと上品さが軍を抜いていて、シュウは男の色気や芯の強さがはっきりと現れていると思う。
シュウが女性として産まれていたらメアリーさんのようだったのかなと思ってしまった。
そうだったら私、女として確実に負けだな、なんてくだらない事を考えてしまった。
「俺との再会よりも随分嬉しそうだな。
母さんのそんな顔、久しぶりに見た。」
「当たり前でしょう!お前は自業自得だ!
アメリカ国籍にしたり、死んだ事になったり、
かと思えば今度は日本国籍にしたり!
戸籍をめちゃくちゃにして!この馬鹿息子が!
…そもそもお前の事だから、何処かで生きているだろうと思っていた。
だから再会した所でさほど感動もない。」
メアリーさんの凶悪な顔に苦笑いをしつつ、
手に持っていた紅茶を手渡した。
「あの…これ良かったら。
紅茶、気に入ってもらえたら嬉しいです。」
「嬉しいわ!私、紅茶大好きよ。」
聖母の笑みに戻ったメアリーさんに招かれてようやくマンションの中へと入った。
リビングに通されて、ベージュで本革の高そうなソファーに座った。
思った通りフカフカ過ぎてお尻が沈んだ。
「メアリーさん、あの……。
昔借りたハンカチもその袋に入ってます。
あの時は助けて下さり、そして慰めて下さって本当にありがとうございました。
私、メアリーさんみたいになりたくて今まで頑張ってきました。」
「あの時の……。ずっと持っていてくれたのね。
ありがとう。これはね、務武さん……夫から貰ったものなのよ。」
メアリーさんが懐かしむように笑い、目を伏せた。
「そんな大切なもの……!
ずっと私が持っていてすみません!」
「いいのよ。ナマエさん。
貴女に持っていて欲しかったの。
私のエゴだけど、秀一の事、忘れないでいて欲しかった。純粋に、貴女の事を思っている人がいた事を忘れないで欲しかった。」
「……私は1度だって秀一さんのこと、忘れたことなかったです。
私は高校のあの頃の思い出がなかったらきっとロクな人間になってなかったです。」
「そんな事ないわよ、あの二人の娘だし。」
メアリーさんが意味深に笑った。
「真純と秀吉は?」
「もうそろそろ帰ってくるわよ。
ケーキとチキンを買ってから戻ると言っていたけど、随分とはしゃいでいたようだから他にも買ってくるんじゃないかしら。」
そう言った途端に玄関が開き賑やかな声が聞こえた。
「ナマエ姉来てる〜?」
「真純!!ケーキが傾いてる!」
秀吉君の焦る声が聞こえた。
真純ちゃんに続いて入ってきた秀吉君の手には袋いっぱいにお菓子やお惣菜が入っているようだ。
重そうにテーブルに荷物を置くと、ドンという重い音が響いた。
秀吉君の手は真っ赤になっていたから、よっぽど重かったんだろうな。
「久しぶり!お邪魔してます。」
「シュウ兄にナマエ姉〜ッ!」
真純ちゃんが私とシュウに勢いよく抱きついてきた。シュウは受け止めたが、私には勢いが強すぎて背中が背もたれに突っ込んだ。
幸い高級なソファーがその衝撃をいとも簡単に受け止めてくれた。
うん、凄く背中がフカッてした。
「おい、危ないだろう。」
「ごめーん!嬉しくなっちゃって!」
シュウは呆れたようにため息をついたが、
メアリーさんは微笑ましそうにクスリと笑っていた。
「随分沢山買ってきたのね。」
「真純があれもこれもって言うからさ。
まぁ僕も食べたくて買ったから良いけどね。
そういえば真純、手洗いうがいは?」
「あっ、今やる!」
秀吉に窘められて真純ちゃんが慌てて洗面所へと駆け込んだ。
「いやー重かった!手と腕がちぎれそうだったよ!」
「秀吉、お前はもう少し鍛えた方が良い。
今度特訓してやろうか?」
シュウがニヤリと笑うと秀吉君が青ざめた。
「僕は頭脳戦しか向いてないからいいよ!大丈夫!
それに最近少しは筋トレしてるんだよ?」
「ホォー?なら腹筋50回と、腕立て伏せ50回指1本でやってみろ。」
「無理だよ!」
微笑ましいやりとりに自然と笑みが溢れた。
こんな平和な光景が見れる日が来るなんて思ってもいなかった。
赤井家の楽しげな会話を聞きながら、こんな穏やかな時間が過ごせることを噛み締めた。
「これで由美姉とパパがいたら完璧なのにな。」
その言葉にメアリーさんの顔がほんのり暗くなった。
「真純、皿出すの手伝いなさい。」
それを隠すようにメアリーさんは真純ちゃんに強めに声をかけた。
「はーい!」
「あっ、私も何かお手伝いします!」
「じゃあこのお惣菜をレンジで温めてくれる?」
メアリーさんの言葉に立ち上がった時、インターホンが鳴った。メアリーさんが警戒しながらインターホンに声をかける。
「はい。」
「宅配便です。」
その声を聞いて何故かメアリーさんは拳銃を取り出し、私達に叫んだ。
「秀一!皆を奥の部屋に連れて行け!
何かあったら後はお前に任せる!
予備の銃の場所は分かるな!?」
そう言って急いで玄関へと走っていった。
真純ちゃんと秀吉君は状況が分からず、当然パニックになっていた。
私もよく分からないが、とにかく今にも泣き出しそうな真純ちゃんを慰めた。
しかし指示されたシュウはのんびりしていた。
「大丈夫だ、何も起きはしない。
そのまま座っていろ。」
そう言って後を追って玄関へと行ってしまった。
心配だったが、何かを知っているようだったし、シュウなら大丈夫だろう。
シュウがイギリスへ行って1か月後、婚姻届を提出した。
私の両親は勿論大喜びしてくれた。
本当はメアリーさんにもご挨拶してからの方が良いのではと言ったのだが、小さくなったままでは会いたくないとの事だった。
その上メアリーさんが挨拶など気にするな、さっさと提出して来いと言っていたそうなので遠慮なく提出させてもらった。
そしてつい1週間前、APTXの影響で小さくなっていたメアリーさんはようやく元に戻る事が出来た。
自分の苗字も赤井になった所で、元に戻れたお祝いも兼ねてきちんと赤井秀一のお母様のメアリーさんに会いに行くことになったのだ。
「ねぇ、手土産これで本当にいいの?」
「あぁ。母さんは紅茶が好きだからな。」
私が組織にいた頃、唯一の癒しとして足繁く通った紅茶専門店。
そこで購入した1番良い茶葉を贈ることにした。
それともうひとつの袋に入っているのは、昔メアリーさんに借りた赤くて白いレースのついたハンカチ。
"次に会った時に"と言っていたが、こんなにも後になるとは思わなかった。
タワーマンションの一室。
シュウが慣れたようにオートロックを開けてマンションへと入っていくのを後ろから着いて行った。
「どうしよ……大丈夫かな?ねぇ、服変じゃない?」
「大丈夫だ。」
エレベーターに乗っている間もそわそわしっぱなしだった私に苦笑いしながらシュウはポンと頭を撫でてくれた。
部屋の前に着き、インターホンを押すとすぐにドアが開いた。私を見るなりメアリーさんは優しい笑みを浮かべて抱きしめてくれた。
「あぁ良かった、生きていてくれて良かった。」
「メアリーさん……!」
「貴女が公安に入った事は、ずっと前から知っていた。実は貴女の両親とはずっと定期的に連絡を取っていたのよ。
実際、貴女が無事かこの目で見るまでは心配だった。……あぁ、本当に良かった。
…昔よりも随分と逞しくなったわね。顔つきも随分と変わった。あんなにか弱かったのに。」
「気にかけて頂いていたなんて嬉しいです。
ありがとうございます。
久しぶりにお会いできて嬉しいです!」
笑顔でメアリーさんをみると目を細めて笑ってくれた。笑う顔はシュウとそっくりだけれど、また別の美しさがある。
シュウとメアリーさんの顔は本当にそっくりなのだけれど、メアリーさんは華やかさと上品さが軍を抜いていて、シュウは男の色気や芯の強さがはっきりと現れていると思う。
シュウが女性として産まれていたらメアリーさんのようだったのかなと思ってしまった。
そうだったら私、女として確実に負けだな、なんてくだらない事を考えてしまった。
「俺との再会よりも随分嬉しそうだな。
母さんのそんな顔、久しぶりに見た。」
「当たり前でしょう!お前は自業自得だ!
アメリカ国籍にしたり、死んだ事になったり、
かと思えば今度は日本国籍にしたり!
戸籍をめちゃくちゃにして!この馬鹿息子が!
…そもそもお前の事だから、何処かで生きているだろうと思っていた。
だから再会した所でさほど感動もない。」
メアリーさんの凶悪な顔に苦笑いをしつつ、
手に持っていた紅茶を手渡した。
「あの…これ良かったら。
紅茶、気に入ってもらえたら嬉しいです。」
「嬉しいわ!私、紅茶大好きよ。」
聖母の笑みに戻ったメアリーさんに招かれてようやくマンションの中へと入った。
リビングに通されて、ベージュで本革の高そうなソファーに座った。
思った通りフカフカ過ぎてお尻が沈んだ。
「メアリーさん、あの……。
昔借りたハンカチもその袋に入ってます。
あの時は助けて下さり、そして慰めて下さって本当にありがとうございました。
私、メアリーさんみたいになりたくて今まで頑張ってきました。」
「あの時の……。ずっと持っていてくれたのね。
ありがとう。これはね、務武さん……夫から貰ったものなのよ。」
メアリーさんが懐かしむように笑い、目を伏せた。
「そんな大切なもの……!
ずっと私が持っていてすみません!」
「いいのよ。ナマエさん。
貴女に持っていて欲しかったの。
私のエゴだけど、秀一の事、忘れないでいて欲しかった。純粋に、貴女の事を思っている人がいた事を忘れないで欲しかった。」
「……私は1度だって秀一さんのこと、忘れたことなかったです。
私は高校のあの頃の思い出がなかったらきっとロクな人間になってなかったです。」
「そんな事ないわよ、あの二人の娘だし。」
メアリーさんが意味深に笑った。
「真純と秀吉は?」
「もうそろそろ帰ってくるわよ。
ケーキとチキンを買ってから戻ると言っていたけど、随分とはしゃいでいたようだから他にも買ってくるんじゃないかしら。」
そう言った途端に玄関が開き賑やかな声が聞こえた。
「ナマエ姉来てる〜?」
「真純!!ケーキが傾いてる!」
秀吉君の焦る声が聞こえた。
真純ちゃんに続いて入ってきた秀吉君の手には袋いっぱいにお菓子やお惣菜が入っているようだ。
重そうにテーブルに荷物を置くと、ドンという重い音が響いた。
秀吉君の手は真っ赤になっていたから、よっぽど重かったんだろうな。
「久しぶり!お邪魔してます。」
「シュウ兄にナマエ姉〜ッ!」
真純ちゃんが私とシュウに勢いよく抱きついてきた。シュウは受け止めたが、私には勢いが強すぎて背中が背もたれに突っ込んだ。
幸い高級なソファーがその衝撃をいとも簡単に受け止めてくれた。
うん、凄く背中がフカッてした。
「おい、危ないだろう。」
「ごめーん!嬉しくなっちゃって!」
シュウは呆れたようにため息をついたが、
メアリーさんは微笑ましそうにクスリと笑っていた。
「随分沢山買ってきたのね。」
「真純があれもこれもって言うからさ。
まぁ僕も食べたくて買ったから良いけどね。
そういえば真純、手洗いうがいは?」
「あっ、今やる!」
秀吉に窘められて真純ちゃんが慌てて洗面所へと駆け込んだ。
「いやー重かった!手と腕がちぎれそうだったよ!」
「秀吉、お前はもう少し鍛えた方が良い。
今度特訓してやろうか?」
シュウがニヤリと笑うと秀吉君が青ざめた。
「僕は頭脳戦しか向いてないからいいよ!大丈夫!
それに最近少しは筋トレしてるんだよ?」
「ホォー?なら腹筋50回と、腕立て伏せ50回指1本でやってみろ。」
「無理だよ!」
微笑ましいやりとりに自然と笑みが溢れた。
こんな平和な光景が見れる日が来るなんて思ってもいなかった。
赤井家の楽しげな会話を聞きながら、こんな穏やかな時間が過ごせることを噛み締めた。
「これで由美姉とパパがいたら完璧なのにな。」
その言葉にメアリーさんの顔がほんのり暗くなった。
「真純、皿出すの手伝いなさい。」
それを隠すようにメアリーさんは真純ちゃんに強めに声をかけた。
「はーい!」
「あっ、私も何かお手伝いします!」
「じゃあこのお惣菜をレンジで温めてくれる?」
メアリーさんの言葉に立ち上がった時、インターホンが鳴った。メアリーさんが警戒しながらインターホンに声をかける。
「はい。」
「宅配便です。」
その声を聞いて何故かメアリーさんは拳銃を取り出し、私達に叫んだ。
「秀一!皆を奥の部屋に連れて行け!
何かあったら後はお前に任せる!
予備の銃の場所は分かるな!?」
そう言って急いで玄関へと走っていった。
真純ちゃんと秀吉君は状況が分からず、当然パニックになっていた。
私もよく分からないが、とにかく今にも泣き出しそうな真純ちゃんを慰めた。
しかし指示されたシュウはのんびりしていた。
「大丈夫だ、何も起きはしない。
そのまま座っていろ。」
そう言って後を追って玄関へと行ってしまった。
心配だったが、何かを知っているようだったし、シュウなら大丈夫だろう。