Put on a happy face
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【※実際の場所とは異なります。】
神社を出て、再び仲見世通りを歩く。
流石にお煎餅だけではお腹はもたず、グーグーと腹の虫は空腹をアピールする。
丁度目の前に、先程通った海鮮丼のお店があった。
店内に入るといらっしゃいませーと年配のおばちゃんの明るく朗らかな声が聞こえた。
振り返ってこちらを見たおばちゃんは私達を見るなり少々動揺していた。
「トゥー?」
指で2を形作っていたので、慌てて"日本語で大丈夫です!"と声をかけると心底ほっとした顔をした。
「あぁよかった。この間来た外国人の方がね、全然何言ってるか分からなくてね…。
英語も少しは勉強してるんだけど、どうもこの歳だと耳がねぇ〜。
説明は全部日本語で大丈夫かい?」
「勿論日本語で大丈夫ですよ。私も彼も。」
苦笑いで答えた。
隣の恋人は真顔のまま何も返答せず突っ立っていた。空いている席にどうぞ、との事だったのでぼーっとしているシュウを引っ張って奥に座る。
確かに目の前の彼・赤井秀一は佇まいが日本人離れしている。身長は180cm代後半、すらりと長い手足に彫りの深い造形。
その上真っ黒なサングラスをかけているから、威圧感からおばちゃんが動揺したのも頷ける。
「ねぇシュウ、他のお客少ないしサングラス外して。
お店の人がびっくりしちゃう。
それにもう少し愛想の良い顔してよ。」
話しかけてようやく"あぁ。"と一言言って外した。
「すまない。君に見惚れていたのと、何食べようか考えていたから全く話を聞いていなかった。
店員がどうした?」
どうやら言っている事は真実らしい。
ぽかんとした顔で私を見つめてきたのが証拠。
「もうっ!何言ってんの!」
思わず笑いながらメニューを手渡した。
「私は特選海鮮刺身盛り合わせと生しらす丼のセットにするけど、シュウは何食べる?」
「んー…。俺もそれが良いかと思っていたんだが、
生しらす丼が食えるか不安だ。」
「そう?名物だし、きっと美味しいよ?」
少々迷うように唸りながらメニューを眺めていた。
それもそうだな、と言いつつも何故か眉間にシワを寄せていた。
どうやらいつも加熱されて食べている魚を生で食べるのは少々不安らしい。
それにいつもと違って透明で透き通ったような見た目をしている魚の群衆達を口にするのが少し不憫だと言い出した。
「なにそれ、可愛い。」思わず吹き出した。
彼の思考回路が可愛くて仕方がない。
でもここは生しらすが有名。
食べないとむしろ損だと思う。
「食べられなかったら私が貰うから大丈夫。
生しらすどかして刺身を乗せれば良いし。」
笑いを堪えて安心させるように微笑むと、納得したのか注文が決まったようだ。
「すみません!」
声をかけると先程のおばちゃんが来てくれた。
自分と同じものを二つ注文する。
「はい。少々お待ちくださいね。今お冷とおしぼり持ってきますからね。」
「はい、ありがとうございます。」
「……レディ、先程は愛想が悪くて失礼した。
何を頼むか考えていたのと…
目の前の恋人に夢中でね。」
シュウがおばちゃんに少し微笑んで声をかけた。
「あっらー!いいのよぉ。
うふふふ…レディだなんて呼ばれたの、初めてよ!
嬉しくなっちゃうわ〜。」
おばちゃんは目を輝かせ頬を赤らめながら去っていった。
無自覚女たらし……。
呆れた目線を送るが本人は気づいてない様子。
暫くすると注文した品が来た。
テーブルには豪華な刺身の盛り合わせと、美しい半透明な生のしらすが乗った丼が置かれる。
運ばれてきたご飯の上に乗っかっているキラキラ輝く色にも目を引くが、その量の多さにも驚かされた。
「「いただきます。」」
刺身にわさびと醤油をつけて口いっぱいに頬張る。
さすが新鮮な魚介類だけあってどれも美味しい。
次に丼へ。付属の焼きあごだし醤油タレをかけ、生卵とあえる。
木製のスプーンで口に含むと、出汁と甘さのあるタレに濃厚な生しらすが混ざって絶品だった。
口に入れた瞬間、美味しすぎてにやける。
ちらりとシュウを見ると"不憫だ"等と言ってた割には終始無言でガツガツ食べている。
群衆は見るも無惨にシュウの胃袋の中だ。
あっという間に食べ終え、本人は至って満足そうな表情をしていた。
満腹感と、幸せそうな顔をする恋人に和みつつ食後の熱々の緑茶を啜った。
「これ、スグそこの店で買った漬物よ!食べてみて、美味しいから!まぁ、緑茶の付け合わせにはおかしいかもしれないけどね。」
小鉢にのった漬物を数切れ出してくれた。
「……旨いな。酒のつまみにもなりそうだ。」
「だろう?いやー、お兄さん。カッコイイねぇ。
実は海外の俳優さんだったりするのかい?
ここにはお忍びで、とか?」
「いや、俳優ではない。アメリカ国籍ではあるが。」
「あらそう。俳優さんだったらサイン貰おうと思ったのに。まぁでも俳優さんでなくても眼福だわ〜。
普通の人でこんなイケメンいるのねぇー。
悪いんだけど、せっかくだからお二人の写真撮って店に飾らせて貰えないかねぇ?」
「目立たない所へ1枚だけなら。」
「えっ、私はちょっと…。」
「少し位良いだろう。」
「でも、」
公安は恋人や家族と写真を撮ることは出来ない。
シュウだって知ってるはずなのに。
「気になるなら君はサングラスでもかけていればいい。」
私の部屋に置いていたはずのサングラスを手渡された。
「随分用意周到だこと。」
店員のおばちゃんが"はい、チーズ"という合図と共にシャッター音が響いた。
その後シュウのスマホでももう1枚撮影された。
会計をして店を出る。
「そう怒るなよ。」
「分かってる?壊滅したのもついこの間!私達の立場もあるし、リスキーだよ!」
「大丈夫だ。君はろくに顔写ってない。」
「私じゃなくて、シュウが」
「俺が残党ごときに殺られるとでも?」
「それは……。でも、万が一……。」
「観光地にきて俺の写真を見つけたくらいで俺をどうにか出来るとは思えんがな。」
「それはそうだけど。」
「もっと気楽に楽しんでくれよ。そんな顔が見たくて連れてきたんじゃない。
次は温泉だぞ。」
「うん……。」
「さっき撮った写真送ってやるから。」
大人になって初めてのツーショット。
出来ればサングラスで顔を隠すことなく彼と撮りたかったなぁ。
シュウが昔にかなり近いくらいとびきり良い笑顔をしていた。その顔が見れただけでも今回来たかいがあるなぁと思ってしまった。
こっそりスマホのロック画面にした。
神社を出て、再び仲見世通りを歩く。
流石にお煎餅だけではお腹はもたず、グーグーと腹の虫は空腹をアピールする。
丁度目の前に、先程通った海鮮丼のお店があった。
店内に入るといらっしゃいませーと年配のおばちゃんの明るく朗らかな声が聞こえた。
振り返ってこちらを見たおばちゃんは私達を見るなり少々動揺していた。
「トゥー?」
指で2を形作っていたので、慌てて"日本語で大丈夫です!"と声をかけると心底ほっとした顔をした。
「あぁよかった。この間来た外国人の方がね、全然何言ってるか分からなくてね…。
英語も少しは勉強してるんだけど、どうもこの歳だと耳がねぇ〜。
説明は全部日本語で大丈夫かい?」
「勿論日本語で大丈夫ですよ。私も彼も。」
苦笑いで答えた。
隣の恋人は真顔のまま何も返答せず突っ立っていた。空いている席にどうぞ、との事だったのでぼーっとしているシュウを引っ張って奥に座る。
確かに目の前の彼・赤井秀一は佇まいが日本人離れしている。身長は180cm代後半、すらりと長い手足に彫りの深い造形。
その上真っ黒なサングラスをかけているから、威圧感からおばちゃんが動揺したのも頷ける。
「ねぇシュウ、他のお客少ないしサングラス外して。
お店の人がびっくりしちゃう。
それにもう少し愛想の良い顔してよ。」
話しかけてようやく"あぁ。"と一言言って外した。
「すまない。君に見惚れていたのと、何食べようか考えていたから全く話を聞いていなかった。
店員がどうした?」
どうやら言っている事は真実らしい。
ぽかんとした顔で私を見つめてきたのが証拠。
「もうっ!何言ってんの!」
思わず笑いながらメニューを手渡した。
「私は特選海鮮刺身盛り合わせと生しらす丼のセットにするけど、シュウは何食べる?」
「んー…。俺もそれが良いかと思っていたんだが、
生しらす丼が食えるか不安だ。」
「そう?名物だし、きっと美味しいよ?」
少々迷うように唸りながらメニューを眺めていた。
それもそうだな、と言いつつも何故か眉間にシワを寄せていた。
どうやらいつも加熱されて食べている魚を生で食べるのは少々不安らしい。
それにいつもと違って透明で透き通ったような見た目をしている魚の群衆達を口にするのが少し不憫だと言い出した。
「なにそれ、可愛い。」思わず吹き出した。
彼の思考回路が可愛くて仕方がない。
でもここは生しらすが有名。
食べないとむしろ損だと思う。
「食べられなかったら私が貰うから大丈夫。
生しらすどかして刺身を乗せれば良いし。」
笑いを堪えて安心させるように微笑むと、納得したのか注文が決まったようだ。
「すみません!」
声をかけると先程のおばちゃんが来てくれた。
自分と同じものを二つ注文する。
「はい。少々お待ちくださいね。今お冷とおしぼり持ってきますからね。」
「はい、ありがとうございます。」
「……レディ、先程は愛想が悪くて失礼した。
何を頼むか考えていたのと…
目の前の恋人に夢中でね。」
シュウがおばちゃんに少し微笑んで声をかけた。
「あっらー!いいのよぉ。
うふふふ…レディだなんて呼ばれたの、初めてよ!
嬉しくなっちゃうわ〜。」
おばちゃんは目を輝かせ頬を赤らめながら去っていった。
無自覚女たらし……。
呆れた目線を送るが本人は気づいてない様子。
暫くすると注文した品が来た。
テーブルには豪華な刺身の盛り合わせと、美しい半透明な生のしらすが乗った丼が置かれる。
運ばれてきたご飯の上に乗っかっているキラキラ輝く色にも目を引くが、その量の多さにも驚かされた。
「「いただきます。」」
刺身にわさびと醤油をつけて口いっぱいに頬張る。
さすが新鮮な魚介類だけあってどれも美味しい。
次に丼へ。付属の焼きあごだし醤油タレをかけ、生卵とあえる。
木製のスプーンで口に含むと、出汁と甘さのあるタレに濃厚な生しらすが混ざって絶品だった。
口に入れた瞬間、美味しすぎてにやける。
ちらりとシュウを見ると"不憫だ"等と言ってた割には終始無言でガツガツ食べている。
群衆は見るも無惨にシュウの胃袋の中だ。
あっという間に食べ終え、本人は至って満足そうな表情をしていた。
満腹感と、幸せそうな顔をする恋人に和みつつ食後の熱々の緑茶を啜った。
「これ、スグそこの店で買った漬物よ!食べてみて、美味しいから!まぁ、緑茶の付け合わせにはおかしいかもしれないけどね。」
小鉢にのった漬物を数切れ出してくれた。
「……旨いな。酒のつまみにもなりそうだ。」
「だろう?いやー、お兄さん。カッコイイねぇ。
実は海外の俳優さんだったりするのかい?
ここにはお忍びで、とか?」
「いや、俳優ではない。アメリカ国籍ではあるが。」
「あらそう。俳優さんだったらサイン貰おうと思ったのに。まぁでも俳優さんでなくても眼福だわ〜。
普通の人でこんなイケメンいるのねぇー。
悪いんだけど、せっかくだからお二人の写真撮って店に飾らせて貰えないかねぇ?」
「目立たない所へ1枚だけなら。」
「えっ、私はちょっと…。」
「少し位良いだろう。」
「でも、」
公安は恋人や家族と写真を撮ることは出来ない。
シュウだって知ってるはずなのに。
「気になるなら君はサングラスでもかけていればいい。」
私の部屋に置いていたはずのサングラスを手渡された。
「随分用意周到だこと。」
店員のおばちゃんが"はい、チーズ"という合図と共にシャッター音が響いた。
その後シュウのスマホでももう1枚撮影された。
会計をして店を出る。
「そう怒るなよ。」
「分かってる?壊滅したのもついこの間!私達の立場もあるし、リスキーだよ!」
「大丈夫だ。君はろくに顔写ってない。」
「私じゃなくて、シュウが」
「俺が残党ごときに殺られるとでも?」
「それは……。でも、万が一……。」
「観光地にきて俺の写真を見つけたくらいで俺をどうにか出来るとは思えんがな。」
「それはそうだけど。」
「もっと気楽に楽しんでくれよ。そんな顔が見たくて連れてきたんじゃない。
次は温泉だぞ。」
「うん……。」
「さっき撮った写真送ってやるから。」
大人になって初めてのツーショット。
出来ればサングラスで顔を隠すことなく彼と撮りたかったなぁ。
シュウが昔にかなり近いくらいとびきり良い笑顔をしていた。その顔が見れただけでも今回来たかいがあるなぁと思ってしまった。
こっそりスマホのロック画面にした。