If story … 別ルート【完結】
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バイトを初めて1ヶ月半が経過した。
ここ2週間程、妙な視線を感じ始めていた。
最近常連のお客さんの顔も覚えてきて仕事は楽しいけれども、少しずつ疲れが出てきているのかもしれない。きっとそのせいで何気ない事も妙に気になってしまっているだけだろう。
なので昴には特に何も言わなかった。
しかしこの視線が決定的になる事件があった。
この日はいつも閉店までいるバイトの人が急遽体調不良で来られなくなり、バイトの時間が延長になった。
閉店後に片付けなどをしていたら気付いたら21時半過ぎていた。
昴にはバイト時間が伸びそうな事だけは昼間の時間に既に伝えてある。
帰る時間になったら連絡するとだけ言ってあったので、電車に乗る時にでもLINEしようかな。
そう思いながら帰り道、店長と別れて一人で駅へと向かった。
ここは夜は人通りが随分少ない。
駅まで15分と少し離れている為だろう。
歩いていると後ろから足音がした。
何気なく歩いていたが曲がり角をわざと何ヶ所も曲がってもついてくるようだった。
足早に歩けば相手も早くなるし、遅くすれば遅くなる。
これは…やっぱり後をつけられている。
とりあえず昴に帰る事と、なんだか後をつけられている事をLINEしたら数秒後には電話が鳴った。
「ナマエ、絶対に電話は切らないで下さいね。」
エンジン音が電話口から聞こえる。
「うん、でもちょっと充電が怪しい…。もう3%位しかない。」
「分かりました。すぐに向かっているのでなるべく大通りに出てください。」
「ここら辺にないよ…人通りが少ない細い道ばっかりだもん。」
「周囲には誰かいませんか?」
「…いない…。」
「チッ…。とりあえず怪しまれないようにいきなり走ったりせず、ゆっくり歩いて下さい。」
「分かった。あ、ヤバい充電が」
…充電が切れてしまった。モバイルバッテリーは持っていない。
昨日の夜充電し損ねたのは失敗だったな。
とりあえずゆっくり駅まで向かう。
近くの公園の横を通った時、後ろから走ってくる足音がした。
「ヒッ!」振り返ると、帽子を被ってマスクをした男に口をハンカチで抑えられて無理やり公園のトイレの方に連れていかれそうになる。
爪で引っ掻いたり精一杯抵抗したものの、流石に男の力には勝てず、引きずられた。
男子トイレの個室に無理やり入れられると、
口にハンカチを押し込まれ手錠を嵌められた。
「んっ!んー!!!」
「殺されたくなかったら静かにしろ。俺にはこれがあるんだぞ。」
銃を突きつけられた。えっ、何?ホンモノ?
疑っているとニヤニヤと銃をこれみよがしに見せつけられた。怖い。銃の事はよく分からないけど、まるで本物みたい…。
殺されるかもしれないと思うと、震えがとまらなかった。…でも一番気がかりなのは昴の事。
もし助けに来たら…殺されちゃうかもしれない。
それだけは、絶対に嫌!!
そう思うともはや抵抗する気は起きなかった。
それを相手も感じたのかニヤリと笑うと口のハンカチを取られて無理やりキスをされた。
気持ち悪い。
唇に力を入れてなんとか舌は入れさせなかった。
昴とは違うタバコの臭いが、嫌でも別の人とキスをしているという事を自覚させられる。
気持ち悪すぎて涙が出てきた。
服に手をかけられた瞬間、ドアが蹴破られて犯人に衝突した。
犯人は怒りの形相で銃を手にかけて発砲した。
弾は昴の頬を軽くかすめて後ろの窓ガラスを破壊した。
「ホォー?良いものを持ってるな。
良い事を教えてやろう。…弾丸1発で痙攣1つ起こさず人間を即死させるには、狙う場所は1つ。
鼻先を狙ってみろ。
…まぁ、お前にその技量があるならな。」
「昴、何言ってるの!逃げて!危ないから、早く!」
「じゃ…邪魔をするな!ヤった後でこの子と一緒に死ぬつもりなんだ!これ以上はた、弾が足りなくなる!」
「…それは困るな。彼女と一緒に死んで良いのは生憎俺だけなんだ。」
昴が犯人の顔面を殴って銃を奪い、犯人がふらついている瞬間に銃に何かしていた。
そして手に持った銃を犯人の鼻先に突きつけた。
「見せてやろう。一瞬であの世に送りたい時は…ここに突きつけて…撃つ。」
犯人は尻もちをついて震え、両手を上げた。
「や、やめてくれ!!この女は返すから!!ごめんなさい!!」
「俺の女を酷い目にあわせたことを後悔させてやる。…死ね。」昴が目を見開いて犯人を見つめた。
「ヒイィッ!」
「昴!」
昴が、引き金を…引いた。
怖くてギュッと目をつぶっているしかなかった。
…しかしいつまで経っても何も音はしない。
ゆっくり目を開けると犯人は泡を吹いて伸びていた。
昴は平然とどこかへ電話している。
「…頼んだよ、降谷君。」
「…すばる…。」
「ナマエ、今警察が来ますから。
怖かったですね。手錠外しますから。」
どこから持ってきたのか針金を使ってさっさと手錠を外した。
「こ…怖かったぁぁ!」
泣きながら昴に思い切り抱きついた。
「よしよし、もう大丈夫ですからね。」
左手に銃を持ったまま抱きしめられる。
「すばる…頬から血が…。」
自分のカバンからハンカチを出して頬に当てた。
「あぁ、すみません…。」
「…この銃は…昴を撃った後、弾はもう入ってなかったの?」
「いいえ。入ってましたよ。」
「だって昴が撃っても弾が…。」
「弾はここです。」昴が右手を開いてみせると銃弾が3つあった。
「えっ!?」
「犯人から奪った時に弾は抜き取りました。本当なら殺したい程憎いですが、流石にそういう訳にはいきませんからね。
とりあえず銃の出処を聞かなければならないですし。…あぁ、そろそろ警察が来たようです。」
警察が到着し犯人は伸びたまま連行された。
昴は警察に何かを見せると銃と弾を手渡した。
「大丈夫でしたか?犯人に何をされましたか?」
警察に事情を聞かれた。
「キス…されました。」
「怖かったですね。ご無事でなによりでした。
今つけている口紅はお持ちですか?」
「あ、あります…。どうぞ。」
「同じものが犯人の口に付着していると思うので鑑定のためにお借りしますね。」
「大丈夫です、よろしくお願いします。」
詳しい事情聴取はまだ後日になった。
まだ身体の震えが止まらない。
昴が乗ってきたマスタングに乗り込み、自分の腕で身体をギュッと抱きしめた。
昴が悲しそうな顔でブランケットをかけてくれた。
車が発進した後、ずっと気になっていた事を聞いた。
「ねぇ…昴ってなんで銃が使えるの?」
「…お答え出来ません。」
「そうやって…なんでいつも教えてくれないの?
なんではぐらかすの?
それに…さっきの昴、別人みたいだった。
まるであっちが素、みたいだった。」
「あれは…怒りに任せて話をしていたからです。」
「でも、俺って言ってたし。」
「状況によって一人称くらい変わるでしょう。」
「それと…本来はいない存在ってどういう意味?
昴って…二重人格なの?」
「二重人格?……まぁ…そんなようなものですかね。あの時聞いていたんですね…。」
「嘘つき。のらりくらりとかわして…。」
ブランケットを頭まで被って静かに泣いた。
もうどうしたら良いか分からなかった。
ここ2週間程、妙な視線を感じ始めていた。
最近常連のお客さんの顔も覚えてきて仕事は楽しいけれども、少しずつ疲れが出てきているのかもしれない。きっとそのせいで何気ない事も妙に気になってしまっているだけだろう。
なので昴には特に何も言わなかった。
しかしこの視線が決定的になる事件があった。
この日はいつも閉店までいるバイトの人が急遽体調不良で来られなくなり、バイトの時間が延長になった。
閉店後に片付けなどをしていたら気付いたら21時半過ぎていた。
昴にはバイト時間が伸びそうな事だけは昼間の時間に既に伝えてある。
帰る時間になったら連絡するとだけ言ってあったので、電車に乗る時にでもLINEしようかな。
そう思いながら帰り道、店長と別れて一人で駅へと向かった。
ここは夜は人通りが随分少ない。
駅まで15分と少し離れている為だろう。
歩いていると後ろから足音がした。
何気なく歩いていたが曲がり角をわざと何ヶ所も曲がってもついてくるようだった。
足早に歩けば相手も早くなるし、遅くすれば遅くなる。
これは…やっぱり後をつけられている。
とりあえず昴に帰る事と、なんだか後をつけられている事をLINEしたら数秒後には電話が鳴った。
「ナマエ、絶対に電話は切らないで下さいね。」
エンジン音が電話口から聞こえる。
「うん、でもちょっと充電が怪しい…。もう3%位しかない。」
「分かりました。すぐに向かっているのでなるべく大通りに出てください。」
「ここら辺にないよ…人通りが少ない細い道ばっかりだもん。」
「周囲には誰かいませんか?」
「…いない…。」
「チッ…。とりあえず怪しまれないようにいきなり走ったりせず、ゆっくり歩いて下さい。」
「分かった。あ、ヤバい充電が」
…充電が切れてしまった。モバイルバッテリーは持っていない。
昨日の夜充電し損ねたのは失敗だったな。
とりあえずゆっくり駅まで向かう。
近くの公園の横を通った時、後ろから走ってくる足音がした。
「ヒッ!」振り返ると、帽子を被ってマスクをした男に口をハンカチで抑えられて無理やり公園のトイレの方に連れていかれそうになる。
爪で引っ掻いたり精一杯抵抗したものの、流石に男の力には勝てず、引きずられた。
男子トイレの個室に無理やり入れられると、
口にハンカチを押し込まれ手錠を嵌められた。
「んっ!んー!!!」
「殺されたくなかったら静かにしろ。俺にはこれがあるんだぞ。」
銃を突きつけられた。えっ、何?ホンモノ?
疑っているとニヤニヤと銃をこれみよがしに見せつけられた。怖い。銃の事はよく分からないけど、まるで本物みたい…。
殺されるかもしれないと思うと、震えがとまらなかった。…でも一番気がかりなのは昴の事。
もし助けに来たら…殺されちゃうかもしれない。
それだけは、絶対に嫌!!
そう思うともはや抵抗する気は起きなかった。
それを相手も感じたのかニヤリと笑うと口のハンカチを取られて無理やりキスをされた。
気持ち悪い。
唇に力を入れてなんとか舌は入れさせなかった。
昴とは違うタバコの臭いが、嫌でも別の人とキスをしているという事を自覚させられる。
気持ち悪すぎて涙が出てきた。
服に手をかけられた瞬間、ドアが蹴破られて犯人に衝突した。
犯人は怒りの形相で銃を手にかけて発砲した。
弾は昴の頬を軽くかすめて後ろの窓ガラスを破壊した。
「ホォー?良いものを持ってるな。
良い事を教えてやろう。…弾丸1発で痙攣1つ起こさず人間を即死させるには、狙う場所は1つ。
鼻先を狙ってみろ。
…まぁ、お前にその技量があるならな。」
「昴、何言ってるの!逃げて!危ないから、早く!」
「じゃ…邪魔をするな!ヤった後でこの子と一緒に死ぬつもりなんだ!これ以上はた、弾が足りなくなる!」
「…それは困るな。彼女と一緒に死んで良いのは生憎俺だけなんだ。」
昴が犯人の顔面を殴って銃を奪い、犯人がふらついている瞬間に銃に何かしていた。
そして手に持った銃を犯人の鼻先に突きつけた。
「見せてやろう。一瞬であの世に送りたい時は…ここに突きつけて…撃つ。」
犯人は尻もちをついて震え、両手を上げた。
「や、やめてくれ!!この女は返すから!!ごめんなさい!!」
「俺の女を酷い目にあわせたことを後悔させてやる。…死ね。」昴が目を見開いて犯人を見つめた。
「ヒイィッ!」
「昴!」
昴が、引き金を…引いた。
怖くてギュッと目をつぶっているしかなかった。
…しかしいつまで経っても何も音はしない。
ゆっくり目を開けると犯人は泡を吹いて伸びていた。
昴は平然とどこかへ電話している。
「…頼んだよ、降谷君。」
「…すばる…。」
「ナマエ、今警察が来ますから。
怖かったですね。手錠外しますから。」
どこから持ってきたのか針金を使ってさっさと手錠を外した。
「こ…怖かったぁぁ!」
泣きながら昴に思い切り抱きついた。
「よしよし、もう大丈夫ですからね。」
左手に銃を持ったまま抱きしめられる。
「すばる…頬から血が…。」
自分のカバンからハンカチを出して頬に当てた。
「あぁ、すみません…。」
「…この銃は…昴を撃った後、弾はもう入ってなかったの?」
「いいえ。入ってましたよ。」
「だって昴が撃っても弾が…。」
「弾はここです。」昴が右手を開いてみせると銃弾が3つあった。
「えっ!?」
「犯人から奪った時に弾は抜き取りました。本当なら殺したい程憎いですが、流石にそういう訳にはいきませんからね。
とりあえず銃の出処を聞かなければならないですし。…あぁ、そろそろ警察が来たようです。」
警察が到着し犯人は伸びたまま連行された。
昴は警察に何かを見せると銃と弾を手渡した。
「大丈夫でしたか?犯人に何をされましたか?」
警察に事情を聞かれた。
「キス…されました。」
「怖かったですね。ご無事でなによりでした。
今つけている口紅はお持ちですか?」
「あ、あります…。どうぞ。」
「同じものが犯人の口に付着していると思うので鑑定のためにお借りしますね。」
「大丈夫です、よろしくお願いします。」
詳しい事情聴取はまだ後日になった。
まだ身体の震えが止まらない。
昴が乗ってきたマスタングに乗り込み、自分の腕で身体をギュッと抱きしめた。
昴が悲しそうな顔でブランケットをかけてくれた。
車が発進した後、ずっと気になっていた事を聞いた。
「ねぇ…昴ってなんで銃が使えるの?」
「…お答え出来ません。」
「そうやって…なんでいつも教えてくれないの?
なんではぐらかすの?
それに…さっきの昴、別人みたいだった。
まるであっちが素、みたいだった。」
「あれは…怒りに任せて話をしていたからです。」
「でも、俺って言ってたし。」
「状況によって一人称くらい変わるでしょう。」
「それと…本来はいない存在ってどういう意味?
昴って…二重人格なの?」
「二重人格?……まぁ…そんなようなものですかね。あの時聞いていたんですね…。」
「嘘つき。のらりくらりとかわして…。」
ブランケットを頭まで被って静かに泣いた。
もうどうしたら良いか分からなかった。