第2章<完結>
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当日、待ち合わせ場所に到着した。
私達は飲み物をクーラーボックスに入れ持参。
皆はそれぞれお菓子を持ち寄った。
昴は膝上丈の黒い無地のズボンタイプの水着に、グレーと白のバイカラーのパーカーを着ている。
勿論いつも通り首まで隠れる程パーカーのチャックを上げている。
「昴さんもう着替えてるんですか?」(園)
「えぇ、皆さんが着替えている間にあちらでパラソルを借りて設置しようと思いまして。」
「助かります!すみません。」(蘭)
「いえいえ。あくまでも僕は付き添い。
なんでも言ってくださいね。
あと、もし皆さんが絡まれたりしていたら助けに行きますので。」
「僕がいるから大丈夫だよ!子供連れで声はかけないでしょ。」
「そうですね。」
皆で車に乗り、1時間半位で隣県の海へ到着する。
真純ちゃんは先に着いていたようで駐車場で待ってくれていた。
「世良ちゃんお待たせ!昴さん、運転ありがとうございました。」
蘭ちゃんと園子ちゃんがそれぞれお礼を言う。
「いえいえ。……それにしても、思ったより人は多いようですが。」
「何でだろう、割と穴場らしいんだけど。…ねぇ、随分海の家に人だかり出来てない?」
園子ちゃんが訝しむ。
「着替えたら見に行ってみようよ!」(世)
思ったより更衣室は混んでなかったので、すぐに着替えて戻ると昴がパラソルを立て終わった所だった。
コナン君が"僕ここにいるから海の家見てきたら?"と言ってくれたので蘭ちゃんとコナン君に荷物を見ててもらうことにした。
海の家へ近づくと随分と女性客が多い事に気付いた。
「…なんでしょうね、女性客にサービスでもしているんでしょうか?」
よく見ると女性客はお店の外から一点を穴が空くほど見つめている。実際に買っている客は少ない。
ん?あれは…
「お待たせしました、焼きそばです。ありがとうございました。」
「あむ兄!?」
「安室さん?!」園子ちゃんも驚いている。
「あれ、皆さん偶然ですね。
…沖矢さんも、以前はどうも。」
沖矢を見つけた瞬間顔が暗くなる。
露骨に顔に出すぎでは?二人が会ったのは家に来た以来な気がする。
…厳密に言うとあれは父だったけど。
「お久しぶりですね、安室さん。」
「なんでここにいるんだ?」
真純ちゃんが不思議そうに訪ねる。
「ここはポアロの店長の知り合いの店でね、どうしても人手が足りないからって今日だけ手伝っているんだよ。」
蘭と園子・真純が安室と話をしている間、昴がパーカーを脱ぎ上半身裸になる。
すると案の定少し驚いた顔をして安室が昴の首元をジロジロ見ていた。
ちなみに周りの女性客もうっとりと昴を見ていた。
いやいや、昴…疑いを晴らす為とはいえ堂々としすぎ。
今日は海に濡れると困るので私が変装させている為、変声機もないしどれだけ水に濡れても変装は取れない。
「せっかく来ましたし僕達も何か買いましょうか。僕が奢りますよ。」
「やったー!じゃぁ僕焼きそば!」
「ありがとうございます!私も焼きそば!」
「私も焼きそばかな。…コナン君と蘭ちゃんの分も焼きそば買おう。」
「では安室さん、焼きそば6個で。」
昴が声をかけると"ありがとうございます"と言いつつ、安室の顔は引き攣っている。
それからさっさと厨房に行ってしまった。
「そういえば昴さんってすっごい鍛えてるのね!
インドア派かと思ってた。
真さんも凄いけど昴さんもなかなか…負けてないわ。」
「そうですか?研究とかで煮詰まるとよく運動してるので、そのおかげかも知れません。」
「何か格闘技とかやってるのか?」
「いや、特に何も。」昴が誤魔化す。
「お待たせしました、焼きそばです。」
焼きそばのパックを二つのビニール袋に入れて安室が差し出し昴が支払いをする。
改めて安室は昴のことを上から下までジロジロと見ている。
「…僕の首には変声機なんてものはありませんよ?」
「……そのようですね。」
悔しそうな顔をしながらさっさと次の客に声をかけていた。
海の家から出てコナン君と蘭ちゃんに焼きそばを手渡し、皆で焼きそばを食べた。
皆のお腹が満たされた後は、ビーチボールで遊んだり、借りたバナナボートに乗ったりして楽しんだ。
遊び疲れてパラソルに休憩しに戻ると昴が手を振る。
「おかえりなさい。…あの、付き添いのつもりだったんですが少々30分ほど出てきても良いですか?」
「もちろんです!」
「もちろんだよ。」
「どこ行くの?」気になって聞いてみた。
「このパラソルを借りた所で、サーフボードを貸してくれるようなので久々にサーフィンがしたいと思いまして。」
「えっ、昴さんサーフィン出来るの!?」皆驚く。
私も知らなかった。
「えぇ。こう見えてスポーツ全般好きなんです。海のスポーツ含めてね。」財布から現金を抜き取りポケットに入れると私に財布とメガネを預けて行ってしまった。
「なぁ、昴さんってメガネなくても見えるのか?」
真純ちゃんが不思議そうに訪ねる。
「うん、遠いものは見えないけど、そこそこの距離なら見えてるよ。」伊達眼鏡だとは言えない。
少しすると奥の方に昴が見えた。
サーフィンを楽しんでいるようだ。
…おお、高い波にものってる。流石だなー。
皆で飲み物を飲みながら昴を観察して楽しんだ。
およそ30分位してずぶ濡れで帰ってきた。
ウェットスーツを着なかったので濡れてしまったらしい。
髪がオールバックになってる。
その様子を見て真純ちゃんが妙に凝視していた。
「すみません、タオルを忘れてしまいました。」
タオルを渡すとわしゃわしゃと髪を拭いて髪型を戻しメガネをかける。
そのあとまったりしながら全員日焼け止めを塗り直した。昴は終始コナン君と話をしている。
「あっ、私御手洗に。」「私も!」
園子ちゃんが言うと蘭ちゃんも一緒に行ってしまった。真純ちゃんと話をしていたのだが、しばらく経ってもなかなか戻ってこない。
「遅いねー。」
「ん?あれ、園子君と蘭君じゃないか?」
「あ、そうかも?」
随分遠くにあるトイレの方を見ると、どうやら2人は絡まれているらしい。
真純ちゃんが僕が行く!というのを止めて昴が救出に行った。
「すみません、彼女らは僕の連れですのでナンパは御遠慮下さい。」
「なんだテメェ引っ込んでろ!」
柄の悪そうな3人がキレる。いかにもなヤンキー。
俺は空手経験者だぜー?どうなっても知らねぇぞ?と脅しをかけてきた。
彼女達を後ろに追いやって、二人には見えないよう目を少し開けジークンドーのフィンガージャブの構えをとった。
1人の男が空手経験者とは思えない程なよっとしたパンチを繰り出す中、いち早く動いて相手の目の寸前で手を止める。
後ろの2人に聞こえない程度の小声で「うせろ。」と殺気を放つと全員悲鳴をあげて逃げていった。
「昴さんがいて良かった!ありがとうございます。」
「いえいえ。何もされてませんか?大丈夫ですか?」
「大丈夫です!それにいざとなったら蘭強いですから!」
「あぁ、そうでしたね。でも何かあっては大変ですから、次に何かあったら周囲に助けを求めるかこちら側の誰かに連絡して下さい。」
その様子を遠くから真純ちゃんは見てしまっていた。
「截拳道!?」
「世良の姉ちゃんどうしたの?」
「…ううん、なんでもない。なんか、昴さんって僕の知り合いに似ている気がして。」
「昴さんが?」
「うん、もういないハズなのにね…。」
目を伏し目がちにして自分に言い聞かせるように呟く。
きっと、シュウの事を考えているんだろう。
真純ちゃんに真実を今は言えないのがもどかしい。
それからすぐに全員パラソルに戻ってきた。
「せっかくだから皆で散策しましょ。」
園子ちゃんの提案で端から端まで歩いてみることにした。
荷物は空のクーラーボックスくらいしかないし、
貴重品は各自が持っているから問題はなかった。
左から、右へ3分の1くらい行ったところで、突然誰かの叫び声が聞こえた。
「子供が溺れてるぞ!」
その声を聞いた瞬間昴はパーカーを脱ぎ捨ててメガネを私の方に投げた。
そのまま浅瀬を走って行き海へ飛び込む。
少し沖の方で浮き輪から外れてしまったらしい小学校低学年くらいの男の子が泳げずにもがいていた。
ものの数秒で昴が男の子を少し持ち上げ、力を抜いて横になるように促す。男の子は目をつぶって仰向けに浮かんだ状態のまま昴に引っ張られて浅瀬に着いた。
すぐにライフガードの人が男の子を掴みタオルで包んで状態を確認する。
幸い溺れてすぐに助かったので、ほとんど海水も飲んでおらず大事には至ってないようだ。良かった。
「昴、はい。メガネ。」
「ありがとう。」
「昴さんカッコイイ!ヒーローみたいね。」
園子ちゃんがキャーキャー言っていて、その後ろで蘭ちゃんがほっとした顔をしていた。
皆安心した顔をしているのに何故か真純ちゃんだけが酷い顔をしていた。
嬉しいような悲しいような、酷く動揺した顔。
「真純ちゃん、どうしたの?大丈夫?」
「…目…。」と一言呟くと、ごめん、用事を思い出した!帰るねと言って急いで更衣室へ走って行ってしまった。
…まずいことになったかもしれない。
私にメガネを投げた瞬間、不覚にも昴は目を開けてしまっていた。
数少ない緑の目、翠眼である昴と赤井秀一。
特徴的な隈は消していたが截拳道も使えるし、同一人物かもしれないと疑うには十分だ。
大丈夫だろうと思って目の色を変えなかった。
油断していた。私のせいだ…。
とりあえず帰ったら今後どうするか話をしよう。
真純ちゃんも帰ってしまったし、段々暗くもなりそうだったので全員帰路に着いた。
私達は飲み物をクーラーボックスに入れ持参。
皆はそれぞれお菓子を持ち寄った。
昴は膝上丈の黒い無地のズボンタイプの水着に、グレーと白のバイカラーのパーカーを着ている。
勿論いつも通り首まで隠れる程パーカーのチャックを上げている。
「昴さんもう着替えてるんですか?」(園)
「えぇ、皆さんが着替えている間にあちらでパラソルを借りて設置しようと思いまして。」
「助かります!すみません。」(蘭)
「いえいえ。あくまでも僕は付き添い。
なんでも言ってくださいね。
あと、もし皆さんが絡まれたりしていたら助けに行きますので。」
「僕がいるから大丈夫だよ!子供連れで声はかけないでしょ。」
「そうですね。」
皆で車に乗り、1時間半位で隣県の海へ到着する。
真純ちゃんは先に着いていたようで駐車場で待ってくれていた。
「世良ちゃんお待たせ!昴さん、運転ありがとうございました。」
蘭ちゃんと園子ちゃんがそれぞれお礼を言う。
「いえいえ。……それにしても、思ったより人は多いようですが。」
「何でだろう、割と穴場らしいんだけど。…ねぇ、随分海の家に人だかり出来てない?」
園子ちゃんが訝しむ。
「着替えたら見に行ってみようよ!」(世)
思ったより更衣室は混んでなかったので、すぐに着替えて戻ると昴がパラソルを立て終わった所だった。
コナン君が"僕ここにいるから海の家見てきたら?"と言ってくれたので蘭ちゃんとコナン君に荷物を見ててもらうことにした。
海の家へ近づくと随分と女性客が多い事に気付いた。
「…なんでしょうね、女性客にサービスでもしているんでしょうか?」
よく見ると女性客はお店の外から一点を穴が空くほど見つめている。実際に買っている客は少ない。
ん?あれは…
「お待たせしました、焼きそばです。ありがとうございました。」
「あむ兄!?」
「安室さん?!」園子ちゃんも驚いている。
「あれ、皆さん偶然ですね。
…沖矢さんも、以前はどうも。」
沖矢を見つけた瞬間顔が暗くなる。
露骨に顔に出すぎでは?二人が会ったのは家に来た以来な気がする。
…厳密に言うとあれは父だったけど。
「お久しぶりですね、安室さん。」
「なんでここにいるんだ?」
真純ちゃんが不思議そうに訪ねる。
「ここはポアロの店長の知り合いの店でね、どうしても人手が足りないからって今日だけ手伝っているんだよ。」
蘭と園子・真純が安室と話をしている間、昴がパーカーを脱ぎ上半身裸になる。
すると案の定少し驚いた顔をして安室が昴の首元をジロジロ見ていた。
ちなみに周りの女性客もうっとりと昴を見ていた。
いやいや、昴…疑いを晴らす為とはいえ堂々としすぎ。
今日は海に濡れると困るので私が変装させている為、変声機もないしどれだけ水に濡れても変装は取れない。
「せっかく来ましたし僕達も何か買いましょうか。僕が奢りますよ。」
「やったー!じゃぁ僕焼きそば!」
「ありがとうございます!私も焼きそば!」
「私も焼きそばかな。…コナン君と蘭ちゃんの分も焼きそば買おう。」
「では安室さん、焼きそば6個で。」
昴が声をかけると"ありがとうございます"と言いつつ、安室の顔は引き攣っている。
それからさっさと厨房に行ってしまった。
「そういえば昴さんってすっごい鍛えてるのね!
インドア派かと思ってた。
真さんも凄いけど昴さんもなかなか…負けてないわ。」
「そうですか?研究とかで煮詰まるとよく運動してるので、そのおかげかも知れません。」
「何か格闘技とかやってるのか?」
「いや、特に何も。」昴が誤魔化す。
「お待たせしました、焼きそばです。」
焼きそばのパックを二つのビニール袋に入れて安室が差し出し昴が支払いをする。
改めて安室は昴のことを上から下までジロジロと見ている。
「…僕の首には変声機なんてものはありませんよ?」
「……そのようですね。」
悔しそうな顔をしながらさっさと次の客に声をかけていた。
海の家から出てコナン君と蘭ちゃんに焼きそばを手渡し、皆で焼きそばを食べた。
皆のお腹が満たされた後は、ビーチボールで遊んだり、借りたバナナボートに乗ったりして楽しんだ。
遊び疲れてパラソルに休憩しに戻ると昴が手を振る。
「おかえりなさい。…あの、付き添いのつもりだったんですが少々30分ほど出てきても良いですか?」
「もちろんです!」
「もちろんだよ。」
「どこ行くの?」気になって聞いてみた。
「このパラソルを借りた所で、サーフボードを貸してくれるようなので久々にサーフィンがしたいと思いまして。」
「えっ、昴さんサーフィン出来るの!?」皆驚く。
私も知らなかった。
「えぇ。こう見えてスポーツ全般好きなんです。海のスポーツ含めてね。」財布から現金を抜き取りポケットに入れると私に財布とメガネを預けて行ってしまった。
「なぁ、昴さんってメガネなくても見えるのか?」
真純ちゃんが不思議そうに訪ねる。
「うん、遠いものは見えないけど、そこそこの距離なら見えてるよ。」伊達眼鏡だとは言えない。
少しすると奥の方に昴が見えた。
サーフィンを楽しんでいるようだ。
…おお、高い波にものってる。流石だなー。
皆で飲み物を飲みながら昴を観察して楽しんだ。
およそ30分位してずぶ濡れで帰ってきた。
ウェットスーツを着なかったので濡れてしまったらしい。
髪がオールバックになってる。
その様子を見て真純ちゃんが妙に凝視していた。
「すみません、タオルを忘れてしまいました。」
タオルを渡すとわしゃわしゃと髪を拭いて髪型を戻しメガネをかける。
そのあとまったりしながら全員日焼け止めを塗り直した。昴は終始コナン君と話をしている。
「あっ、私御手洗に。」「私も!」
園子ちゃんが言うと蘭ちゃんも一緒に行ってしまった。真純ちゃんと話をしていたのだが、しばらく経ってもなかなか戻ってこない。
「遅いねー。」
「ん?あれ、園子君と蘭君じゃないか?」
「あ、そうかも?」
随分遠くにあるトイレの方を見ると、どうやら2人は絡まれているらしい。
真純ちゃんが僕が行く!というのを止めて昴が救出に行った。
「すみません、彼女らは僕の連れですのでナンパは御遠慮下さい。」
「なんだテメェ引っ込んでろ!」
柄の悪そうな3人がキレる。いかにもなヤンキー。
俺は空手経験者だぜー?どうなっても知らねぇぞ?と脅しをかけてきた。
彼女達を後ろに追いやって、二人には見えないよう目を少し開けジークンドーのフィンガージャブの構えをとった。
1人の男が空手経験者とは思えない程なよっとしたパンチを繰り出す中、いち早く動いて相手の目の寸前で手を止める。
後ろの2人に聞こえない程度の小声で「うせろ。」と殺気を放つと全員悲鳴をあげて逃げていった。
「昴さんがいて良かった!ありがとうございます。」
「いえいえ。何もされてませんか?大丈夫ですか?」
「大丈夫です!それにいざとなったら蘭強いですから!」
「あぁ、そうでしたね。でも何かあっては大変ですから、次に何かあったら周囲に助けを求めるかこちら側の誰かに連絡して下さい。」
その様子を遠くから真純ちゃんは見てしまっていた。
「截拳道!?」
「世良の姉ちゃんどうしたの?」
「…ううん、なんでもない。なんか、昴さんって僕の知り合いに似ている気がして。」
「昴さんが?」
「うん、もういないハズなのにね…。」
目を伏し目がちにして自分に言い聞かせるように呟く。
きっと、シュウの事を考えているんだろう。
真純ちゃんに真実を今は言えないのがもどかしい。
それからすぐに全員パラソルに戻ってきた。
「せっかくだから皆で散策しましょ。」
園子ちゃんの提案で端から端まで歩いてみることにした。
荷物は空のクーラーボックスくらいしかないし、
貴重品は各自が持っているから問題はなかった。
左から、右へ3分の1くらい行ったところで、突然誰かの叫び声が聞こえた。
「子供が溺れてるぞ!」
その声を聞いた瞬間昴はパーカーを脱ぎ捨ててメガネを私の方に投げた。
そのまま浅瀬を走って行き海へ飛び込む。
少し沖の方で浮き輪から外れてしまったらしい小学校低学年くらいの男の子が泳げずにもがいていた。
ものの数秒で昴が男の子を少し持ち上げ、力を抜いて横になるように促す。男の子は目をつぶって仰向けに浮かんだ状態のまま昴に引っ張られて浅瀬に着いた。
すぐにライフガードの人が男の子を掴みタオルで包んで状態を確認する。
幸い溺れてすぐに助かったので、ほとんど海水も飲んでおらず大事には至ってないようだ。良かった。
「昴、はい。メガネ。」
「ありがとう。」
「昴さんカッコイイ!ヒーローみたいね。」
園子ちゃんがキャーキャー言っていて、その後ろで蘭ちゃんがほっとした顔をしていた。
皆安心した顔をしているのに何故か真純ちゃんだけが酷い顔をしていた。
嬉しいような悲しいような、酷く動揺した顔。
「真純ちゃん、どうしたの?大丈夫?」
「…目…。」と一言呟くと、ごめん、用事を思い出した!帰るねと言って急いで更衣室へ走って行ってしまった。
…まずいことになったかもしれない。
私にメガネを投げた瞬間、不覚にも昴は目を開けてしまっていた。
数少ない緑の目、翠眼である昴と赤井秀一。
特徴的な隈は消していたが截拳道も使えるし、同一人物かもしれないと疑うには十分だ。
大丈夫だろうと思って目の色を変えなかった。
油断していた。私のせいだ…。
とりあえず帰ったら今後どうするか話をしよう。
真純ちゃんも帰ってしまったし、段々暗くもなりそうだったので全員帰路に着いた。