第2章<完結>
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「「ただいま。」」
「おかえりなさいませー!」
「おかえりー!」
家に帰るとハティとスコールが家中綺麗にしてくれていた。
「わ!掃除してくれたの?ありがとうー!!」
2人にギュッと抱きつく。
「ナマエ様、昴さんに怒られますよ。」
「狼とはいえ見た目男だからな。」
後ろをちらりと見ると昴が少し困った顔をしていたのでしぶしぶ離れる。
「今の所灰原さんに怪しい影はありませんでした。交代でつきっきりで見ておりましたので確実です。」
「そうですか、ありがとうございます。」
「昴さん、折り入ってご相談があるんですが。」
ハティが真剣な顔で昴に尋ねる。
「なんでしょうか?」
「ナマエ様と一緒に実家へ帰って貰えますか?」
「…は?!ハティ、何言ってんの!」
「どういう意図で…でしょうか?」
「彼氏として挨拶して来いよ!」
スコールがニコニコしながら言う。
「お付き合いされている方がどういった方なのか、
お父様は大変気にしておられました。
沖矢昴としては以前変装しましたので姿はご存知ですが、赤井秀一としては何も存じません。
そして何よりも言いたいのは…
FBIにナマエ様が入ってから、未だ実家には1度も帰ってきませんでした!!
…たまには顔を見せてあげて欲しいのです。」
ハティがメソメソと嘘泣きをしながら言う。
「あと4日位こっちにいるからよ、行ってこいよ。
灰原さんは俺達が見ておくから。」
「組織だろうがなんだろうが何が来ても余裕ですから。ね?我々は世界中どこでもすぐに移動出来ますし、何かあったら誰もいない無人島にでも逃げますから。」
そう言って今度は可愛らしく尋ねるハティ。
「…ジェイムズに聞いてみます。」
昴が怪訝な顔をして電話をする。
電話後
「…構わないそうだ。ハティとスコールの事も伝えたが、時々キャメルが様子を見るらしい。」
昴の顔色が少し悪くなった。
「ぇ。」
確かにジェイムズはハティとスコールの事を知っているから信頼しているのかもしれないけど。
「ね?いつ行きます?ちょうど荷物は纏めているでしょう?着替えだけ入れ替えれば行けるはずですよね。」
「そうだな。」昴の顔が強ばる。
「今18時でしょ、今から仮眠して、支度して何か食べて0時に出発すれば向こうは午後4時…。」
「今から飛行機のチケットとるのか?」
「いや、ハティに乗っていく。」
目に見えて昴が狼狽えた。
「大丈夫、すぐだから。」
「移動手段が全く理解出来ないんだが。乗るとは?」
「百聞は一見にしかず。さ、寝よ。誰かさんのせいで今日寝不足なんだからね!」
昨日の夜は初日に昴が買った"オモチャ"で散々イジめられて弄ばれた。
あれは酷かった。楽しそうに笑うあの笑みは大魔王と呼ぶのに相応しかった。
…思い出したくない、寝よ。
23時半に起きて下に行くと、美味しそうなサンドイッチが出来ていた。
「ポアロの彼のサンドイッチには負けますがどうぞ!」
「えっ、ポアロ行ったの?」
「ナマエ様が安室さんと仲良くされているようでしたので、どんな方がチェックに。
なかなかのイケメンですね!」
「どこまで私の記憶覗いたの、もう!」
「安室さんが手を肩や腰に回した所など。」
ガタッと昴が椅子から勢いよく立ち上がった。
「それは聞いていないぞ!どういう事だ。」
「凄い語弊があるよ!
ハロちゃんを構っていたノリで、2人共わんちゃんみたいに撫でたりしただけ!
それでふざけて向こうもじゃれてきただけだよ!」
「お前は油断し過ぎじゃないのか!
安室君は君の事狙ってるかもしれないだろ。
思えば餌付けされていたじゃないか。
なんでそんなイチャイチャしているんだ。」
「イチャイチャ?!餌付け!?
朝ごはん作って料理の話ししてただけでしょ!
そんなんじゃない!」
「フン。向こうはどう思ってるか。」
「ハムサンドが冷めますよ。喧嘩はやめてくださいよ。」
「変な事言うからでしょ!」
イライラしながらサンドイッチを手に取った。
うん、美味しい。
昴から赤井秀一の姿に戻し、支度をした。
「元に戻るのは3日ぶりだな。」
「泊まっている間ずっと沖矢昴だったもんね。」
「さっき俺、家に戻って実家帰ること言っておいたからよ。心配すんな!」
「えっ、行って帰ってきたのか?」
「俺ら世界中好きに移動できるからよ。」
「ええ、ですから一瞬でイギリスに行けますよ!」
「そもそも俺は本当に一緒に行ってもいいんだろうか…。こういうのは結婚の挨拶とかの時では。
プロポーズすらしていないぞ。」
「それを待っていたら何年先になるか分からないじゃないですか!」
「そうかもしれないが…。」
シュウは私の親に会う緊張と、移動の緊張でなんとも微妙な顔をしている。
「さて、荷物は大丈夫ですね。では一旦私達の姿を誰にも見えないようにしておきますね。…それでは外に出てください。」
外に出ると開けた所でハティは四つん這いになり、
ググーっと身体を伸ばすようにして白い狼の姿になると徐々に大きくなった。
ネコバスが居たらこんな感じだろうかと思うくらい大人10人くらい余裕で乗れるサイズになる。
見た目的にはもののけ姫の親だろうか。
尻尾から登り、首の後ろまで来て横になった。
「シュウも横になると良いよ。フワフワだよ〜!
もっふもふ。」
背中をめいいっぱい撫でるとハティは身震いをした。
「こら、あまり撫でないで下さい。くすぐったいです。そんな事をしていると振り落としてしまいますよ。」
「随分大きいな。」
しっぽに足をかけて軽々登ってくると荷物を抱えて隣に座った。
「行きますよ。」
「…着きましたよ。」
「まだ瞬き1回くらいだが?…景色が変わっている…。」
「早いねぇー。着いたよ。」
空が明るい。
シュウは驚きすぎてキョロキョロと辺りを見回している。
「ここはうちの庭。あれが家。」
「…随分大きい家だな。城みたいにも見える。」
「そう?」
「では私は日本へ戻りますので。2日後お迎えに参ります。では。」
そういうとジャンプして空に消えた。
「あいつは何なんだ。」
「神様の遣いみたいものだから、あの二人。」
「お父さんが神の生まれ変わりだと言っていたが…俺みたいなただの人間が会ってもいいのか?」
「お父さんは今ただの人間だからね。
まぁ魔法使いだけど。」
玄関のドアが勢いよく開いたかと思うと両親がこっちに走ってきた。
「ナマエ〜!おかえりー!久しぶりだなー!
あ、君が赤井くんだねぇ!」
凄い勢いで出てきたと思うと私とシュウに思いっきりハグをした。
「はじめまして…赤井秀一です。
突然ナマエさんと一緒に来てすみません。」
「赤井君、いつもナマエが世話になってるね。来る事はスコールから聞いていたよ。いつでも大歓迎だよ。」
「ちょっとパパ、いきなり抱きついたら赤井さんびっくりしちゃうわよ。はじめまして。母です。」
「いやぁー。赤井君、随分イケメンだねぇ!
沖矢君の時もイケメンだけど、種類の違うイケメンだね。あ、僕は父です。お父さんって呼んでくれて良いからね!」
「私もお母さんでいいわよー。」
「はい。お父さん、お母さん、よろしくお願いします。」笑みは引きつっていて凄くぎこちない。
「はいはい、お父さん離れて。シュウにベタベタしないで。戸惑ってるでしょ。」
「ヤキモチかい?ん?仲良しだねぇ。」
「は?何言ってんの。」
「二人ともやめなさい。さ、赤井さん入って。」
「お邪魔します。」
玄関はとても広いホールになっている。
リビングは2階上がって左手奥の部屋だ。
両親と向かい合ってソファーに座る。
「秀一君と呼んでもいいかい?」(父)
「私も秀一君って呼ぶわね。」(母)
「好きに呼んでください。
お二人共、本当に両親かと疑うくらい若く見えますね…。お母さんはナマエさんにそっくりだ。」
「あらやだ!これでも60代後半なのよー。」
「僕もだよ。まぁ普通の人より寿命長いからね、僕達。」
「60代…!?どう見ても20代だ…。」
「そうかい?嬉しいな。
……秀一君、突然だが…ずっと聞きたかった事がある。
まぁどうなるかは誰にも分からない事だが、いつかナマエと結婚する気はあるのかい?」
「いずれはそのつもりです。
ただ、俺は死んだ事になっています。
ご存知か分かりませんが、黒の組織というものを追っています。
それが壊滅出来れば自分の生存を明るみに出来、籍を入れられます。
ですから…それまで、ナマエさんが待っていてくれるのなら。」
「それくらい待てるよ。」
「…本当は僕達もその組織壊滅に介入してやりたい所だが、マグルの事件に僕達が関与する訳には行かないんだ。法律のこともあるけど…あまり唐突に未来を変えることが出来ない。すまないね。」
「いえ、それに関しては我々FBIの仕事ですから。」
「さて、結婚を考えているなら告げよう。
…僕と妻は契約を結んでいる。
信じられないと思うが僕とナマエは神の子孫だ。だからこの人間体から解放される時、つまりは死んだら神界に行かなくてはならない。ナマエもだ。」
「…死んだら離れ離れという事ですか。」
「いいや、逆だ。結婚する時契約が必要だ。その契約をもってすると何があっても離れられない。
つまりは死んでもそのままの君らの姿で神界へ行く事になる。
死後もなお夫婦でいると言うことだ。」
「そうですか、それならよかったです。」
「…秀一君、死後も神界でやらねばならない事が出てくるかもしれない。なかなか大変な仕事が山積みなんだ。」
「やらなければならない事が色々あるのは今も同じです。色々とタスクをこなす事には慣れています。」
「そうか。それならば向こうに行っても問題ないだろうな。
それと結婚して契約後ある程度経つと、歳を取らなくなる。見た目はね。身体は少しずつ老化するけど、それもゆっくりだから寿命も倍くらいにはなるんだ。
…だからいつか不審がられる。
"いつまでも歳を取らない"とね。
そうなるといつかFBIから離れなくてはならないかもしれない。」
「今FBIにいるのは父を探したいという事と、黒の組織を壊滅したい、ある少女を助けたい。
それが叶えば別にFBIに固執している訳ではありません。
両親共FBIではありませんから。人知れず探偵業でもやりますよ。他にもやりたい事が今後見つかるかも知れませんし。」
「そうか、それが聞けてよかった。…いい人を見つけたな、ナマエ。」
「うん。私にはもったいない位の人だよ。」
「あと、万が一別れたら君のナマエに関する記憶は全て消させて貰うからね。
そしてナマエをFBIから連れ戻す。
勿論君の周囲の人物からも記憶を消すつもりだ。」
「分かりました。それは有り得ませんので大丈夫です。」
そこまで言われると嬉しいよりもちょっと照れる。
「さ、重い話はなしだ!あまり休んでないんだろう?ちょっと寝てくると良い。
実は申し訳ないと思ったけど、心配だったから君の記憶全部見させてもらった。
…前日寝不足だとナマエが騒いでいた記憶を見てしまってね。」
「お父さん!なにやってんの勝手に!
見られたくない記憶もあるんだけど?!」
冗談ではない、父親にそんなベッドシーンを知られたくはない。
「そうだな、ごめんごめん。おそらく見られたくない所の記憶は消しとくよ。」
自分に忘却術をかけて一部の記憶を消した。
「…何を忘れたのかは分からないが、多分大丈夫だろう。さ、寝室使って良いからね。」
部屋が沢山あるのに同じ部屋に入れられた。
「両親とも優しそうな人達だな。」
「うん。怒ると怖いけどね。シュウの事、気に入ってたみたい。じゃなければこんな着いて早々こんな重い話しないもん。」
「そうか。それは良かった。」
話をしていると何度も欠伸が出て止まらない。
「そろそろ寝よう。眠いだろう。…おやすみ。」
「おやすみなさい。」
2日間どう過ごそうかな。
一緒に行きたい所が色々ある。
何処へ行くか考える前に眠りに落ちた。
「おかえりなさいませー!」
「おかえりー!」
家に帰るとハティとスコールが家中綺麗にしてくれていた。
「わ!掃除してくれたの?ありがとうー!!」
2人にギュッと抱きつく。
「ナマエ様、昴さんに怒られますよ。」
「狼とはいえ見た目男だからな。」
後ろをちらりと見ると昴が少し困った顔をしていたのでしぶしぶ離れる。
「今の所灰原さんに怪しい影はありませんでした。交代でつきっきりで見ておりましたので確実です。」
「そうですか、ありがとうございます。」
「昴さん、折り入ってご相談があるんですが。」
ハティが真剣な顔で昴に尋ねる。
「なんでしょうか?」
「ナマエ様と一緒に実家へ帰って貰えますか?」
「…は?!ハティ、何言ってんの!」
「どういう意図で…でしょうか?」
「彼氏として挨拶して来いよ!」
スコールがニコニコしながら言う。
「お付き合いされている方がどういった方なのか、
お父様は大変気にしておられました。
沖矢昴としては以前変装しましたので姿はご存知ですが、赤井秀一としては何も存じません。
そして何よりも言いたいのは…
FBIにナマエ様が入ってから、未だ実家には1度も帰ってきませんでした!!
…たまには顔を見せてあげて欲しいのです。」
ハティがメソメソと嘘泣きをしながら言う。
「あと4日位こっちにいるからよ、行ってこいよ。
灰原さんは俺達が見ておくから。」
「組織だろうがなんだろうが何が来ても余裕ですから。ね?我々は世界中どこでもすぐに移動出来ますし、何かあったら誰もいない無人島にでも逃げますから。」
そう言って今度は可愛らしく尋ねるハティ。
「…ジェイムズに聞いてみます。」
昴が怪訝な顔をして電話をする。
電話後
「…構わないそうだ。ハティとスコールの事も伝えたが、時々キャメルが様子を見るらしい。」
昴の顔色が少し悪くなった。
「ぇ。」
確かにジェイムズはハティとスコールの事を知っているから信頼しているのかもしれないけど。
「ね?いつ行きます?ちょうど荷物は纏めているでしょう?着替えだけ入れ替えれば行けるはずですよね。」
「そうだな。」昴の顔が強ばる。
「今18時でしょ、今から仮眠して、支度して何か食べて0時に出発すれば向こうは午後4時…。」
「今から飛行機のチケットとるのか?」
「いや、ハティに乗っていく。」
目に見えて昴が狼狽えた。
「大丈夫、すぐだから。」
「移動手段が全く理解出来ないんだが。乗るとは?」
「百聞は一見にしかず。さ、寝よ。誰かさんのせいで今日寝不足なんだからね!」
昨日の夜は初日に昴が買った"オモチャ"で散々イジめられて弄ばれた。
あれは酷かった。楽しそうに笑うあの笑みは大魔王と呼ぶのに相応しかった。
…思い出したくない、寝よ。
23時半に起きて下に行くと、美味しそうなサンドイッチが出来ていた。
「ポアロの彼のサンドイッチには負けますがどうぞ!」
「えっ、ポアロ行ったの?」
「ナマエ様が安室さんと仲良くされているようでしたので、どんな方がチェックに。
なかなかのイケメンですね!」
「どこまで私の記憶覗いたの、もう!」
「安室さんが手を肩や腰に回した所など。」
ガタッと昴が椅子から勢いよく立ち上がった。
「それは聞いていないぞ!どういう事だ。」
「凄い語弊があるよ!
ハロちゃんを構っていたノリで、2人共わんちゃんみたいに撫でたりしただけ!
それでふざけて向こうもじゃれてきただけだよ!」
「お前は油断し過ぎじゃないのか!
安室君は君の事狙ってるかもしれないだろ。
思えば餌付けされていたじゃないか。
なんでそんなイチャイチャしているんだ。」
「イチャイチャ?!餌付け!?
朝ごはん作って料理の話ししてただけでしょ!
そんなんじゃない!」
「フン。向こうはどう思ってるか。」
「ハムサンドが冷めますよ。喧嘩はやめてくださいよ。」
「変な事言うからでしょ!」
イライラしながらサンドイッチを手に取った。
うん、美味しい。
昴から赤井秀一の姿に戻し、支度をした。
「元に戻るのは3日ぶりだな。」
「泊まっている間ずっと沖矢昴だったもんね。」
「さっき俺、家に戻って実家帰ること言っておいたからよ。心配すんな!」
「えっ、行って帰ってきたのか?」
「俺ら世界中好きに移動できるからよ。」
「ええ、ですから一瞬でイギリスに行けますよ!」
「そもそも俺は本当に一緒に行ってもいいんだろうか…。こういうのは結婚の挨拶とかの時では。
プロポーズすらしていないぞ。」
「それを待っていたら何年先になるか分からないじゃないですか!」
「そうかもしれないが…。」
シュウは私の親に会う緊張と、移動の緊張でなんとも微妙な顔をしている。
「さて、荷物は大丈夫ですね。では一旦私達の姿を誰にも見えないようにしておきますね。…それでは外に出てください。」
外に出ると開けた所でハティは四つん這いになり、
ググーっと身体を伸ばすようにして白い狼の姿になると徐々に大きくなった。
ネコバスが居たらこんな感じだろうかと思うくらい大人10人くらい余裕で乗れるサイズになる。
見た目的にはもののけ姫の親だろうか。
尻尾から登り、首の後ろまで来て横になった。
「シュウも横になると良いよ。フワフワだよ〜!
もっふもふ。」
背中をめいいっぱい撫でるとハティは身震いをした。
「こら、あまり撫でないで下さい。くすぐったいです。そんな事をしていると振り落としてしまいますよ。」
「随分大きいな。」
しっぽに足をかけて軽々登ってくると荷物を抱えて隣に座った。
「行きますよ。」
「…着きましたよ。」
「まだ瞬き1回くらいだが?…景色が変わっている…。」
「早いねぇー。着いたよ。」
空が明るい。
シュウは驚きすぎてキョロキョロと辺りを見回している。
「ここはうちの庭。あれが家。」
「…随分大きい家だな。城みたいにも見える。」
「そう?」
「では私は日本へ戻りますので。2日後お迎えに参ります。では。」
そういうとジャンプして空に消えた。
「あいつは何なんだ。」
「神様の遣いみたいものだから、あの二人。」
「お父さんが神の生まれ変わりだと言っていたが…俺みたいなただの人間が会ってもいいのか?」
「お父さんは今ただの人間だからね。
まぁ魔法使いだけど。」
玄関のドアが勢いよく開いたかと思うと両親がこっちに走ってきた。
「ナマエ〜!おかえりー!久しぶりだなー!
あ、君が赤井くんだねぇ!」
凄い勢いで出てきたと思うと私とシュウに思いっきりハグをした。
「はじめまして…赤井秀一です。
突然ナマエさんと一緒に来てすみません。」
「赤井君、いつもナマエが世話になってるね。来る事はスコールから聞いていたよ。いつでも大歓迎だよ。」
「ちょっとパパ、いきなり抱きついたら赤井さんびっくりしちゃうわよ。はじめまして。母です。」
「いやぁー。赤井君、随分イケメンだねぇ!
沖矢君の時もイケメンだけど、種類の違うイケメンだね。あ、僕は父です。お父さんって呼んでくれて良いからね!」
「私もお母さんでいいわよー。」
「はい。お父さん、お母さん、よろしくお願いします。」笑みは引きつっていて凄くぎこちない。
「はいはい、お父さん離れて。シュウにベタベタしないで。戸惑ってるでしょ。」
「ヤキモチかい?ん?仲良しだねぇ。」
「は?何言ってんの。」
「二人ともやめなさい。さ、赤井さん入って。」
「お邪魔します。」
玄関はとても広いホールになっている。
リビングは2階上がって左手奥の部屋だ。
両親と向かい合ってソファーに座る。
「秀一君と呼んでもいいかい?」(父)
「私も秀一君って呼ぶわね。」(母)
「好きに呼んでください。
お二人共、本当に両親かと疑うくらい若く見えますね…。お母さんはナマエさんにそっくりだ。」
「あらやだ!これでも60代後半なのよー。」
「僕もだよ。まぁ普通の人より寿命長いからね、僕達。」
「60代…!?どう見ても20代だ…。」
「そうかい?嬉しいな。
……秀一君、突然だが…ずっと聞きたかった事がある。
まぁどうなるかは誰にも分からない事だが、いつかナマエと結婚する気はあるのかい?」
「いずれはそのつもりです。
ただ、俺は死んだ事になっています。
ご存知か分かりませんが、黒の組織というものを追っています。
それが壊滅出来れば自分の生存を明るみに出来、籍を入れられます。
ですから…それまで、ナマエさんが待っていてくれるのなら。」
「それくらい待てるよ。」
「…本当は僕達もその組織壊滅に介入してやりたい所だが、マグルの事件に僕達が関与する訳には行かないんだ。法律のこともあるけど…あまり唐突に未来を変えることが出来ない。すまないね。」
「いえ、それに関しては我々FBIの仕事ですから。」
「さて、結婚を考えているなら告げよう。
…僕と妻は契約を結んでいる。
信じられないと思うが僕とナマエは神の子孫だ。だからこの人間体から解放される時、つまりは死んだら神界に行かなくてはならない。ナマエもだ。」
「…死んだら離れ離れという事ですか。」
「いいや、逆だ。結婚する時契約が必要だ。その契約をもってすると何があっても離れられない。
つまりは死んでもそのままの君らの姿で神界へ行く事になる。
死後もなお夫婦でいると言うことだ。」
「そうですか、それならよかったです。」
「…秀一君、死後も神界でやらねばならない事が出てくるかもしれない。なかなか大変な仕事が山積みなんだ。」
「やらなければならない事が色々あるのは今も同じです。色々とタスクをこなす事には慣れています。」
「そうか。それならば向こうに行っても問題ないだろうな。
それと結婚して契約後ある程度経つと、歳を取らなくなる。見た目はね。身体は少しずつ老化するけど、それもゆっくりだから寿命も倍くらいにはなるんだ。
…だからいつか不審がられる。
"いつまでも歳を取らない"とね。
そうなるといつかFBIから離れなくてはならないかもしれない。」
「今FBIにいるのは父を探したいという事と、黒の組織を壊滅したい、ある少女を助けたい。
それが叶えば別にFBIに固執している訳ではありません。
両親共FBIではありませんから。人知れず探偵業でもやりますよ。他にもやりたい事が今後見つかるかも知れませんし。」
「そうか、それが聞けてよかった。…いい人を見つけたな、ナマエ。」
「うん。私にはもったいない位の人だよ。」
「あと、万が一別れたら君のナマエに関する記憶は全て消させて貰うからね。
そしてナマエをFBIから連れ戻す。
勿論君の周囲の人物からも記憶を消すつもりだ。」
「分かりました。それは有り得ませんので大丈夫です。」
そこまで言われると嬉しいよりもちょっと照れる。
「さ、重い話はなしだ!あまり休んでないんだろう?ちょっと寝てくると良い。
実は申し訳ないと思ったけど、心配だったから君の記憶全部見させてもらった。
…前日寝不足だとナマエが騒いでいた記憶を見てしまってね。」
「お父さん!なにやってんの勝手に!
見られたくない記憶もあるんだけど?!」
冗談ではない、父親にそんなベッドシーンを知られたくはない。
「そうだな、ごめんごめん。おそらく見られたくない所の記憶は消しとくよ。」
自分に忘却術をかけて一部の記憶を消した。
「…何を忘れたのかは分からないが、多分大丈夫だろう。さ、寝室使って良いからね。」
部屋が沢山あるのに同じ部屋に入れられた。
「両親とも優しそうな人達だな。」
「うん。怒ると怖いけどね。シュウの事、気に入ってたみたい。じゃなければこんな着いて早々こんな重い話しないもん。」
「そうか。それは良かった。」
話をしていると何度も欠伸が出て止まらない。
「そろそろ寝よう。眠いだろう。…おやすみ。」
「おやすみなさい。」
2日間どう過ごそうかな。
一緒に行きたい所が色々ある。
何処へ行くか考える前に眠りに落ちた。