第2章<完結>
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お泊まり会最終日。
チェックアウトして、園子ちゃんにお礼を言った。
一応夕方頃には最後に集まってから解散する事にした。
ホテルは本当に良かった。いつかまた、今度はきちんとお金を払ってでも泊まりたい。
今日はそれぞれ別行動なので、昴と一緒にショッピングモールへデートに行く事にした。
正直昨日の遊園地を楽しみすぎて疲れてしまって、ゆっくりしたかったのが主な理由。
私の服も見つつ、昴の服も探す事にした。
「なかなか半袖でハイネックって見つからないんですよね。」
「うーん。暑いからなかなか夏にハイネック着る人居ないよねー。やっぱりネットで買う方が良いのかなー。
ん?ここは?」
「スポーツ用品店ですか。」
「スポーツウェアならファスナーを上げて首まで覆えるかも。」
「そうかもしれませんね。見てみます。」
案の定良さそうなものを見つけたようで、数点購入していた。
その後も色々と気になる店を見てまわって
(主に私のものだが)お昼ご飯はビュッフェに行った。
「取りに行くのが面倒だ…。」というので好きそうなものを盛って昴に渡す。
私は肉と、デザート多めで!
…だって、美味しそうなケーキとかアイスとか沢山あるんだもん。
ローストビーフとかステーキとか、目移りするものばかり。この際お腹の肉は気にしない!
食べたいものを食べる!
「ナマエはよくそれだけ好きなのもの食べていて太らないな。」
「いやいや、それは…私のお腹周りの事情を承知で言ってます?」
「知っているが、大した事ないだろう。」
「…昴ってあんまり大量に食べる事少ないよね。仕事で疲れてヘトヘトになっている時は随分食べるけど。」
「煙草吸っていると味覚が落ちるからかもしれないな。だがナマエの料理は旨いのは分かる。」
「禁煙したら?」
「…耳が痛い。これでもかなり減らしたんだが。」
「あっ、これ美味しいー!」
「そうか。良かったな。沢山食え。」
「うん。デザートも甘すぎなくて良い。」
レストランから出ると、煙草吸ってくると言い喫煙所に行ってしまった。
【赤井秀一視点】
喫煙所を出ようとした時にたまたまトイレから出たらしいジョディに遭遇した。
「シュ…じゃなくて、昴。何してるの?」
「デートだ。」
そういうとジョディは少し傷ついた顔をする。
「…ねぇ、あの頃に戻れないの?私達。」
「俺達が付き合っていたのはFBIに入ってほんの数ヶ月。随分と前の事だろ。」
「シ…昴にとってはかなり前の事かもしれないけど、私はずっとー」
「それ以上は言うな。すまないが、君の気持ちには答えられない。」
「ナマエちゃんでしょ、貴方の恋人。よっぽど大切なのね。
ねぇ…なんであの子には生きている事言ったのに、私には教えてくれなかったの?
せめてそれくらい言ってくれても…。」
「教えたんじゃない。ヒントを与えて、探させたんだ。」
「私にはヒントくれなかったじゃない。」
「デパートでぶつかった時に少しヒントは与えただろ。それに君はその後ちゃんと気付いた。
そもそも、君達は身分が割れている。
現に安室君達公安に襲われて散々な目にあっただろう。あれ以前に生存を教えていたらリスクが高かった。」
「そうね…。あの子、とても良い子よね。仕事早いし、動きも的確。私もあの子は好感が持てる。」
「そうだな。」
「あの子の何処が好き…?」
「どこだろうな…。強いていえば、俺の事を理解してサポートしてくれる所か。あとどれだけ離れていても問題がない点か。」
「わ、私だってサポート出来るわ!離れていても大丈夫って、それ本当に貴方の事が好きなの?」
「何が言いたい?」
薄目を開けてジョディを見る。
「ちょっと、怒らないでよ。だって、女性のほとんどは付き合ったらなるべく一緒に居たいものよ。
…あの子は不安にならないのかしら?
一緒にいなかった時期も随分とあったんでしょ?
…どうなのかしら。」
「…そんなにナマエが気になるか?」
「気になるわよ、あんな若い子で大丈夫か。
4つも下でしょ?」
「フン。そこまで言うなら俺への気持ちが本当か試してやろう。」
ナマエならば、言葉にしなくても俺の意図を読み取れるはず。
ジョディにその事を見せつけてやりたかった。
遠くに丁度ナマエが見えたので、腕を組ませて近づく。
「久しぶり、ナマエちゃん。」
「ジョディ、久しぶりね。」
腕を組んでいる事に少々怪訝な顔をするも笑顔で答える。
「ナマエ…別れてくれないか。
…君の事を色々話していたんだ。
今迄思う所があった。俺はジョディを選ぶ。」
「年が近い方が色々と理解はあると思うわ。それに私の方が部署が同じで一緒に居られる時間は長いしサポート出来るわ。」
無言で俺の顔をじっと見つめる。
俺の左腕を掴むとじっと目を見つめ"何ふざけてるの?"と笑った。
「…本気だ。」
少し目を開けてわざと嫌悪感を剥き出しにする。
「ふうーん。」それでも尚ケロッとしている。流石だ。
「…ねぇ、昴。ふざけるのいい加減にして。
デートが嫌なら直接言えばいいでしょ。
ジョディ、貴女とは時々仕事で一緒になったけど、こんな人だとは思っていなかったわ。
悪いけど他を当たってくれる?
貴女はまだ自分しか見えていない。
…私を試そうなんて1億年早いわ。」
そういうとジョディを引き剥がしてかなりの殺気を放った。思わぬ殺気に少し怯えている。
だが殺気はほんの一瞬で消し、その後ニッコリ微笑むと俺を引っ張って離れた。
「… ナマエ。」
「なにー?」
「試すような事をしてすまない。」
「…ジョディって、昴の事好きだったんだね。
気づかなかった。申し訳ない事してたかな。
ヘラヘラと昴との事答えてたからきっと不安になったんでしょ。私で大丈夫かって。」
「…実はかなり昔付き合っていたんだ。
君と出会うよりも少し前の事だ。」
「そうだったの…。」
「何故嘘だとバレたんだ?」
「表情とかは本当だったけど、初めの一言ほんの少しだけ違和感があった。
あと、その後ちょっと心を覗いちゃった。
ごめん、ちょっとズルした。」
エヘヘと笑うナマエを見て少しほっとした。
時折、心のどこかで寂しさを感じていたのかもしれない。
俺が潜入などで色々と他の女の子とデートしたり、会えない時間が増えてもケロッとしていると言うか、動じず平然としていた。
寂しいだとか会いたいとか言われた事は1度も無く、普段から仕事に対しては弱音を吐くことはほとんどなかった。
俺は彼女にとって本当に必要なのか。
彼女の強さに単に甘えてるだけではないか?と自問自答した事もあった。
今回の事で、彼女の俺への気持ちは本当だろうと改めて思い、二度と試すような事はしないと誓った。
【ジョディ視点】
ずっとシュウが好きだった。死んだと聞いた時は身が引き裂かれるような思いだったし、生きていると分かった時は本当に嬉しかった。
あの時別れた原因はただ、お互い仕事に死ぬ気で打ち込みたいと思ったからだった。
だから落ち着いたらまた付き合えば良いと思っていた。
そしたら…潜入前にナマエちゃんに取られた。
いや…とうに別れているし、取られたという表現は適切ではないかもしれないけど、ヨリを戻すつもりでいたから納得出来なかった。
ずっと後悔していた。
あの時意地でも別れなければよかった。
私だけを見ていて欲しかった。
……もしかして、自分しか見えていないってそういう事?シュウの事が好きという想いで、シュウの事を考えていないという事を見透かされていたのかもしれない。
あんな上辺だけの言葉を並べただけでは騙せないのはなんとなく分かっていた。
でも、それにしても何一つ動揺していなかった。
恋人から一番愛されているという揺るぎない自信。
自分の方が誰よりも恋人を理解しているという自信。
それは私には一生持てない自信かもしれない。
きっと彼女には何をしても勝てないだろう。
今回はっきりとシュウにフラれたんだ。
なんだか清々した気持ちでショッピングモールを出た。
【ナマエ視点】
喫煙所へ行くと言っていたのに全然戻ってこない。
何が"本数減らした"よ。
トイレ近くの喫煙所が見える付近に立って戻ってくるのを待っていると、腕を組んだジョディと昴が見えた。
少しドキッとして、胸がザワついた。
その時、昔の事を思い出した。
昔、シュウがホストクラブに潜入した事があった。
ホストのスタッフ内で覚醒剤が出回っており、客にも薬を売りつけているという噂があった。
元々そこは日本からアメリカへ進出したお店だった。
キャストも日本人や日系アメリカ人など多かったので、日本人の血を引いていて、顔が良いシュウが潜入には適任だろうと言う事で選ばれた。
まぁ、本人は乗り気ではなかったけど。
シュウはホストになってからあっという間に順位を上げた。そして1ヶ月も経たないうちにトップに君臨した。
…まるでアイドルのようだった。
ホストクラブ周辺の店にお客の女の子と店外デートをしていると周囲に人集りが出来た。入ったお店の外では多くの女の子が店の外から覗き込み、キャーキャー言っていた。
ホストクラブ内ではシュウ目当てで多くの女の子が訪れ、私も客として時々潜入していたが私の席に来る事はめったになかった。
恋人であるはずなのに、ほとんど関われない日々が続いた。
それにお客を調べる必要もあったから、シュウは他の女の子とよく同伴もしていた。
…ホテルへは行かなかったことがせめてもの救い。
結局その店は、店長が下っ端のホスト数人とそのごく一部の客に対し覚醒剤を売りお金を巻き上げていた事が判明した。
摘発されたものの、お店は幸運にも潰れてはいない。シュウが入る前にトップだった男がお店を立て直す事が決まり、今でも店はあるらしい。
何故か今、その事件が頭をよぎったのだった。
昴が別れて欲しいと告げた時、言葉に違和感はあった。それ以上にホスト潜入時代を思い出した事が違和感だった。
…あ、気づいちゃった……。
"女の子はシュウが好きだったけど、シュウはその女の子が好きだった訳では無い。"
あの時と同じ状況かもしれない。
昴の腕を掴んで気持ちを探った。
…案の定私を試しているらしい。
くだらない。何故シュウもそれに乗っかっているのか。とりあえずジョディを一喝し昴を連れ去った。
昴は謝っていたが、私が何か不安にさせる要素が多少はあったのかもしれない。
ジョディに言われたからといって試してくるような単純な男ではないはずだ。
…今度は色々と、自分から誘ってみようかな…。
嫌な予感しかしないけど。
夕方頃集まったら和葉ちゃんと服部君が喧嘩していた。
「平次のポケットからお菓子が出てきて、ちょーだい言うても意地でもくれんねん!」
「お菓子やないって言うとるやろ!」
昴は何かピンときたようで、和葉ちゃんにコソコソと耳打ちすると、和葉ちゃんは顔を耳まで赤くして途端に静かになった。
後で聞いたら、棒付きキャンディーに似せたパッケージのコンドームだったらしい。
"実は僕も買ったんです、あげましょうか?"と言われて渡されたが、確かに見た目だけは可愛いしお菓子に見えるなと思った。
「返す。可愛いけど、ゴムを持ち歩く習慣ないから。」
「そうですか。じゃあ僕が持っておきます。
…使いたくなったらいつでも言ってくださいね?」
「…じゃあ、後でね。」
そう言うと目に見えて昴が驚いた。
「…ここが外ではなかったら今すぐ襲っていた。
後でたっぷり可愛がらせて貰うとしよう。
今日のお詫びもかねて、気持ちよくしてやる。」
「…やっぱり、私から誘いたくないな…。」
「なんだ、誘ってくれるつもりだったのか?それは嬉しいな。家に着いたら俺を誘惑してくれ。」
あまりにも嬉しそうなのでたまには頑張ってみようと思った。
チェックアウトして、園子ちゃんにお礼を言った。
一応夕方頃には最後に集まってから解散する事にした。
ホテルは本当に良かった。いつかまた、今度はきちんとお金を払ってでも泊まりたい。
今日はそれぞれ別行動なので、昴と一緒にショッピングモールへデートに行く事にした。
正直昨日の遊園地を楽しみすぎて疲れてしまって、ゆっくりしたかったのが主な理由。
私の服も見つつ、昴の服も探す事にした。
「なかなか半袖でハイネックって見つからないんですよね。」
「うーん。暑いからなかなか夏にハイネック着る人居ないよねー。やっぱりネットで買う方が良いのかなー。
ん?ここは?」
「スポーツ用品店ですか。」
「スポーツウェアならファスナーを上げて首まで覆えるかも。」
「そうかもしれませんね。見てみます。」
案の定良さそうなものを見つけたようで、数点購入していた。
その後も色々と気になる店を見てまわって
(主に私のものだが)お昼ご飯はビュッフェに行った。
「取りに行くのが面倒だ…。」というので好きそうなものを盛って昴に渡す。
私は肉と、デザート多めで!
…だって、美味しそうなケーキとかアイスとか沢山あるんだもん。
ローストビーフとかステーキとか、目移りするものばかり。この際お腹の肉は気にしない!
食べたいものを食べる!
「ナマエはよくそれだけ好きなのもの食べていて太らないな。」
「いやいや、それは…私のお腹周りの事情を承知で言ってます?」
「知っているが、大した事ないだろう。」
「…昴ってあんまり大量に食べる事少ないよね。仕事で疲れてヘトヘトになっている時は随分食べるけど。」
「煙草吸っていると味覚が落ちるからかもしれないな。だがナマエの料理は旨いのは分かる。」
「禁煙したら?」
「…耳が痛い。これでもかなり減らしたんだが。」
「あっ、これ美味しいー!」
「そうか。良かったな。沢山食え。」
「うん。デザートも甘すぎなくて良い。」
レストランから出ると、煙草吸ってくると言い喫煙所に行ってしまった。
【赤井秀一視点】
喫煙所を出ようとした時にたまたまトイレから出たらしいジョディに遭遇した。
「シュ…じゃなくて、昴。何してるの?」
「デートだ。」
そういうとジョディは少し傷ついた顔をする。
「…ねぇ、あの頃に戻れないの?私達。」
「俺達が付き合っていたのはFBIに入ってほんの数ヶ月。随分と前の事だろ。」
「シ…昴にとってはかなり前の事かもしれないけど、私はずっとー」
「それ以上は言うな。すまないが、君の気持ちには答えられない。」
「ナマエちゃんでしょ、貴方の恋人。よっぽど大切なのね。
ねぇ…なんであの子には生きている事言ったのに、私には教えてくれなかったの?
せめてそれくらい言ってくれても…。」
「教えたんじゃない。ヒントを与えて、探させたんだ。」
「私にはヒントくれなかったじゃない。」
「デパートでぶつかった時に少しヒントは与えただろ。それに君はその後ちゃんと気付いた。
そもそも、君達は身分が割れている。
現に安室君達公安に襲われて散々な目にあっただろう。あれ以前に生存を教えていたらリスクが高かった。」
「そうね…。あの子、とても良い子よね。仕事早いし、動きも的確。私もあの子は好感が持てる。」
「そうだな。」
「あの子の何処が好き…?」
「どこだろうな…。強いていえば、俺の事を理解してサポートしてくれる所か。あとどれだけ離れていても問題がない点か。」
「わ、私だってサポート出来るわ!離れていても大丈夫って、それ本当に貴方の事が好きなの?」
「何が言いたい?」
薄目を開けてジョディを見る。
「ちょっと、怒らないでよ。だって、女性のほとんどは付き合ったらなるべく一緒に居たいものよ。
…あの子は不安にならないのかしら?
一緒にいなかった時期も随分とあったんでしょ?
…どうなのかしら。」
「…そんなにナマエが気になるか?」
「気になるわよ、あんな若い子で大丈夫か。
4つも下でしょ?」
「フン。そこまで言うなら俺への気持ちが本当か試してやろう。」
ナマエならば、言葉にしなくても俺の意図を読み取れるはず。
ジョディにその事を見せつけてやりたかった。
遠くに丁度ナマエが見えたので、腕を組ませて近づく。
「久しぶり、ナマエちゃん。」
「ジョディ、久しぶりね。」
腕を組んでいる事に少々怪訝な顔をするも笑顔で答える。
「ナマエ…別れてくれないか。
…君の事を色々話していたんだ。
今迄思う所があった。俺はジョディを選ぶ。」
「年が近い方が色々と理解はあると思うわ。それに私の方が部署が同じで一緒に居られる時間は長いしサポート出来るわ。」
無言で俺の顔をじっと見つめる。
俺の左腕を掴むとじっと目を見つめ"何ふざけてるの?"と笑った。
「…本気だ。」
少し目を開けてわざと嫌悪感を剥き出しにする。
「ふうーん。」それでも尚ケロッとしている。流石だ。
「…ねぇ、昴。ふざけるのいい加減にして。
デートが嫌なら直接言えばいいでしょ。
ジョディ、貴女とは時々仕事で一緒になったけど、こんな人だとは思っていなかったわ。
悪いけど他を当たってくれる?
貴女はまだ自分しか見えていない。
…私を試そうなんて1億年早いわ。」
そういうとジョディを引き剥がしてかなりの殺気を放った。思わぬ殺気に少し怯えている。
だが殺気はほんの一瞬で消し、その後ニッコリ微笑むと俺を引っ張って離れた。
「… ナマエ。」
「なにー?」
「試すような事をしてすまない。」
「…ジョディって、昴の事好きだったんだね。
気づかなかった。申し訳ない事してたかな。
ヘラヘラと昴との事答えてたからきっと不安になったんでしょ。私で大丈夫かって。」
「…実はかなり昔付き合っていたんだ。
君と出会うよりも少し前の事だ。」
「そうだったの…。」
「何故嘘だとバレたんだ?」
「表情とかは本当だったけど、初めの一言ほんの少しだけ違和感があった。
あと、その後ちょっと心を覗いちゃった。
ごめん、ちょっとズルした。」
エヘヘと笑うナマエを見て少しほっとした。
時折、心のどこかで寂しさを感じていたのかもしれない。
俺が潜入などで色々と他の女の子とデートしたり、会えない時間が増えてもケロッとしていると言うか、動じず平然としていた。
寂しいだとか会いたいとか言われた事は1度も無く、普段から仕事に対しては弱音を吐くことはほとんどなかった。
俺は彼女にとって本当に必要なのか。
彼女の強さに単に甘えてるだけではないか?と自問自答した事もあった。
今回の事で、彼女の俺への気持ちは本当だろうと改めて思い、二度と試すような事はしないと誓った。
【ジョディ視点】
ずっとシュウが好きだった。死んだと聞いた時は身が引き裂かれるような思いだったし、生きていると分かった時は本当に嬉しかった。
あの時別れた原因はただ、お互い仕事に死ぬ気で打ち込みたいと思ったからだった。
だから落ち着いたらまた付き合えば良いと思っていた。
そしたら…潜入前にナマエちゃんに取られた。
いや…とうに別れているし、取られたという表現は適切ではないかもしれないけど、ヨリを戻すつもりでいたから納得出来なかった。
ずっと後悔していた。
あの時意地でも別れなければよかった。
私だけを見ていて欲しかった。
……もしかして、自分しか見えていないってそういう事?シュウの事が好きという想いで、シュウの事を考えていないという事を見透かされていたのかもしれない。
あんな上辺だけの言葉を並べただけでは騙せないのはなんとなく分かっていた。
でも、それにしても何一つ動揺していなかった。
恋人から一番愛されているという揺るぎない自信。
自分の方が誰よりも恋人を理解しているという自信。
それは私には一生持てない自信かもしれない。
きっと彼女には何をしても勝てないだろう。
今回はっきりとシュウにフラれたんだ。
なんだか清々した気持ちでショッピングモールを出た。
【ナマエ視点】
喫煙所へ行くと言っていたのに全然戻ってこない。
何が"本数減らした"よ。
トイレ近くの喫煙所が見える付近に立って戻ってくるのを待っていると、腕を組んだジョディと昴が見えた。
少しドキッとして、胸がザワついた。
その時、昔の事を思い出した。
昔、シュウがホストクラブに潜入した事があった。
ホストのスタッフ内で覚醒剤が出回っており、客にも薬を売りつけているという噂があった。
元々そこは日本からアメリカへ進出したお店だった。
キャストも日本人や日系アメリカ人など多かったので、日本人の血を引いていて、顔が良いシュウが潜入には適任だろうと言う事で選ばれた。
まぁ、本人は乗り気ではなかったけど。
シュウはホストになってからあっという間に順位を上げた。そして1ヶ月も経たないうちにトップに君臨した。
…まるでアイドルのようだった。
ホストクラブ周辺の店にお客の女の子と店外デートをしていると周囲に人集りが出来た。入ったお店の外では多くの女の子が店の外から覗き込み、キャーキャー言っていた。
ホストクラブ内ではシュウ目当てで多くの女の子が訪れ、私も客として時々潜入していたが私の席に来る事はめったになかった。
恋人であるはずなのに、ほとんど関われない日々が続いた。
それにお客を調べる必要もあったから、シュウは他の女の子とよく同伴もしていた。
…ホテルへは行かなかったことがせめてもの救い。
結局その店は、店長が下っ端のホスト数人とそのごく一部の客に対し覚醒剤を売りお金を巻き上げていた事が判明した。
摘発されたものの、お店は幸運にも潰れてはいない。シュウが入る前にトップだった男がお店を立て直す事が決まり、今でも店はあるらしい。
何故か今、その事件が頭をよぎったのだった。
昴が別れて欲しいと告げた時、言葉に違和感はあった。それ以上にホスト潜入時代を思い出した事が違和感だった。
…あ、気づいちゃった……。
"女の子はシュウが好きだったけど、シュウはその女の子が好きだった訳では無い。"
あの時と同じ状況かもしれない。
昴の腕を掴んで気持ちを探った。
…案の定私を試しているらしい。
くだらない。何故シュウもそれに乗っかっているのか。とりあえずジョディを一喝し昴を連れ去った。
昴は謝っていたが、私が何か不安にさせる要素が多少はあったのかもしれない。
ジョディに言われたからといって試してくるような単純な男ではないはずだ。
…今度は色々と、自分から誘ってみようかな…。
嫌な予感しかしないけど。
夕方頃集まったら和葉ちゃんと服部君が喧嘩していた。
「平次のポケットからお菓子が出てきて、ちょーだい言うても意地でもくれんねん!」
「お菓子やないって言うとるやろ!」
昴は何かピンときたようで、和葉ちゃんにコソコソと耳打ちすると、和葉ちゃんは顔を耳まで赤くして途端に静かになった。
後で聞いたら、棒付きキャンディーに似せたパッケージのコンドームだったらしい。
"実は僕も買ったんです、あげましょうか?"と言われて渡されたが、確かに見た目だけは可愛いしお菓子に見えるなと思った。
「返す。可愛いけど、ゴムを持ち歩く習慣ないから。」
「そうですか。じゃあ僕が持っておきます。
…使いたくなったらいつでも言ってくださいね?」
「…じゃあ、後でね。」
そう言うと目に見えて昴が驚いた。
「…ここが外ではなかったら今すぐ襲っていた。
後でたっぷり可愛がらせて貰うとしよう。
今日のお詫びもかねて、気持ちよくしてやる。」
「…やっぱり、私から誘いたくないな…。」
「なんだ、誘ってくれるつもりだったのか?それは嬉しいな。家に着いたら俺を誘惑してくれ。」
あまりにも嬉しそうなのでたまには頑張ってみようと思った。