第4章
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珍しく朝からインターホンが鳴った。
インターホン越しに誰か確認するとハティだった。
「おはよう。朝からどうしたの?」
「おはようございます。
年末のご予定を伺いに来ました。
もし何もご予定なければ、お二人で実家に顔を出しては如何かと。」
「あぁ、実家に?シュウ、どうする?」
「ナマエのご両親さえよければ。」
「じゃあ久々に帰ろうかな。
クリスマスに貰った炭酸キャンディがなくなってシュウも残念がってるし?
あんなに沢山あったのにあっという間に食べきったもんね。」
「…身体が浮くのが楽しくてな。」
シュウが少し気まずそうな顔をした。
「分かりました。伝えておきます。最近お父様は随分お疲れのようなので…お二人が来る事は大変癒しになるかと思います。」
「そんなに仕事、忙しいの?」
「えぇ…。ここの所凶悪な犯罪組織が猛威を振るっていましてね。前々から目をつけてはいたようですが、最近になって更に酷くなりまして。」
「大丈夫なの?」
「とりあえずは下っ端から片付けているようです。
しかしなかなか中心部までたどり着けなくて。」
「まるで黒の組織のようだな…。」
「怖いね…。」
「ですから、次の帰省の際に外出される時は私達がお供いたします。」
「え、大丈夫だよ。自分達の身は守れるから。」
「いえ、想像以上の厄介な奴らです。何かあっては困ります。特に秀一様は非魔法族ですし。」
「…分かった。まぁ、行くとしてもダイアゴン横丁に少し買い物行くくらいだから。
じゃあ年末、よろしくね〜。」
「えぇ。では30日、お迎えにきます。」
そう言うと深々と頭を下げ、ハティは消えた。
ーーー
あっという間に30日になり、今実家の前にいる。
「会うのは結婚式以来か?随分と久しぶりだな。」
シュウの顔が珍しくほんの少しだけ強ばっている。
「大丈夫だよ、シュウ。…とは言っても会ったの数回だもんね。緊張するのは分かる。」
そう言った瞬間凄い勢いで玄関のドアが開いた。
「2人とも会いたかったよー!!!」
無駄にテンションが高い父が飛び出して来たかと思うと私達に被りつかんばかりに抱きついた。
「…お久しぶりです、お父さん。」
「相変わらず、秀一君物凄い鍛えてるねー!おーっ、流石!胸板カチカチ!」
「お父さん、抱きつくの強すぎ。そろそろ痛い。しかもシュウのこと触りすぎ。」
「あぁ、ごめん。」
「2人ともいらっしゃい。パパ、早く中に入れてあげて。」
「やっと解放された。…ただいま。」
家の中に入る頃にはシュウの顔は自然と綻んでいた。
父のテンションの高さは緊張を解すのだろう。
「腹は減ってないか?」
「来る前に朝ごはん食べたよ。」
「そうか。それなら少し庭で運動でもしてきたらどうだ?これをやろう。」
「何これ?」
父から錆びた宝箱のような形の小さい箱を渡された。
「今開けるなよ。中にはスニッチが入ってる。」
スニッチとは、魔法界のスポーツ・クィディッチで使う小さい金色のボールだ。
大きさはクルミ大、羽が生えており自由自在に凄い速さで飛ぶ。
クィディッチではいかに早くこのスニッチを捕まえるかで勝敗が決まると言ってもいい。
「え、シュウ箒乗れないよ?」
「後ろにハティかスコールを乗せれば良い。」
そう言うと足元に何か小さいものが走ってきた。
まるでチワワくらいの小さい黒い子犬。
「もしかして、スコール?」
「正解!」
傍から見たら異様だろう。小さい子犬が喋っているのだから。
「ホォー。人型になれるだけではなく、小さくもなれるのか。便利だな。」
「俺を箒に乗せておいてくれれば飛べるぞ。」
「っ…落ちないか?大丈夫か?抱き抱えておけば良いのか?」
「大丈夫だ、俺は落ちないようにしておくし万一落ちても別に怪我も死にもしないから。それより自分が落ちないように気をつけろよ!」
シュウはニヤリと笑うと当然だとばかりに頷いた。
庭に出てシュウに箒を渡すが、手に持った所で何も動かない。ただの掃除用の箒にしか見えないだろう。
シュウが跨った所で、箒のフサフサした部分にスコールが乗る。その瞬間少々箒は命が宿ったかのように突然ふわりと1m程浮いた。
箒の後ろに黒い生き物。跨る魔法使い。
その光景があまりにも既視感がありすぎて、思わず吹き出した。
「あははは!ヤバ!魔女の宅急便かな?」
「猫じゃないけどね。でも耳が立っているし、リボンでもつけたら結構いい線いくと思うんだよねぇ〜!」
そうノリノリで話すスコールの首もとにリボンを巻くことを想像したら似合いすぎて笑い転げた。
「やめてくれ、手の力が抜ける。」
シュウまで釣られて笑いだした。
ひとしきり笑った所で私も箒に跨る。その瞬間私もふわりと体が浮いた。
「じゃあ、スニッチ離すよ。頑張って捕まえてね!」
箱を開けるとスニッチが勢いよく飛び出した。
シュウがゆっくりと浮上したのを確認して私も浮く。
2人で何度か上下に飛び軽く練習。
魔法使いではないのに案外シュウはさまになってる。
「やはり箒の方があの浮く飴よりも楽しいな。やはり魔法使いが羨ましい。」
数分飛ぶ事自体を楽しんだ後、捕まえてくると一言言い凄い速さで飛び出して行った。
私も負けじとスピードを上げるも、なかなかついていけない。私の方が歴が長いのになんでだ。
「取れたぞ。」
手にはキラキラと輝く金色の玉。
「わ、凄い!!多分非魔法族で初めてスニッチを掴んだ人だと思う!」
「クィディッチの選手になれるぜ!」
スコールも後ろで感嘆の声を上げた。
「流石だねぇ、秀一君!」
気付いたら父が下から見上げていた。
「前にも言ったけど、僕息子とクィディッチするの夢だったんだよ。よかったら競走してくれないかな?
どっちが先にスニッチを捕まえられるか。」
「構いませんが、俺はまだまだ初心者なのでお相手になれるかどうか。」
「僕も多少手加減するから。」
降りてきた私からヒョイっと箒を奪うと父が乗った。
「ナマエ、カウントしてくれ。」
「5・4・3・2・1…Go!」
手を開くとスニッチはあっという間に見えなくなった。…私にとっては。
どうやら2人にはスニッチの姿が見えているようで、勢いよく箒で飛び出していった。
2人とも、ムキになって楽しそうだ。
しばらく楽しんでいるようなので私は暇つぶしに庭の花の色を変えて楽しんでいた。
気づいたら降りてきたようなので振り返るとスニッチを手に持った父が見えた。
「ねぇー!秀一君、僕に手加減したでしょ?掴めたのに掴まなかった。僕見てたよ、ちゃんと!
義父だからって遠慮しないでよね。」
「…すいません、無意識に。」
「あはは。冗談。僕に花を持たせてくれてありがとう。秀一君が非魔法族でよかった。
もし魔法使いだったら僕より凄い魔法使いになってただろうね。」
3人で笑いあっていると窓からひょっこり顔を出す母に呼ばれた。
「ナマエ、ちょっと見てもらいたいものがあるんだけど!」
「今行くー!…シュウはどうする?」
「お父さん、もう少し飛んでいても良いですか?」
「勿論だよ。じゃあ、僕と一緒に少し遠くの方に行こうか?最近出来た喫茶店のコーヒー、美味しいんだ。」
「2人とも、気をつけてね。スコールも。」
「旦那借りるよー。」
「いってらっしゃい。」
家の中に入ると母がニヤついていた。
「今日は秀一君が来てくれてよかった。久しぶりにパパのあんな嬉しそうな笑顔見れたわ。
最近怖〜〜い顔しかしてなかったからね。」
「え?あの愛妻家のお父さんが、お母さんにも怖い顔してたの?」
「私の前では取り繕ってたけどね、ふと見ると酷い顔してたわ。私の前では無理してるから。」
「夫婦なんだから、そんなに気を使うことないのに。」
「あんた分かってないわね。男っていうのはいつでも自信満々に居たい生き物なの。
特に愛する女性の前ではね。
秀一君だって辛くてもあんまり表情に出さないでしょう?妻の前では余裕あるフリをしていたいのよ。
プライドって奴よ。」
「…なるほど…。それで、見て欲しいものって?」
「学生時代のものがごっそり出てきたの。
羊皮紙の束がこんなに。あと制服とか、なんかよく分からない魔法薬の小瓶も。」
「うーわ…。」
「あと杖もあったわよ。」
「あっ、ホントだ!探してたんだ、ありがとう。」
「杖を失くす魔女なんて貴女くらいよ。気をつけなさい!まったくもう。」
「はーい。」
今日はこの片付けに追われそうだ…。
インターホン越しに誰か確認するとハティだった。
「おはよう。朝からどうしたの?」
「おはようございます。
年末のご予定を伺いに来ました。
もし何もご予定なければ、お二人で実家に顔を出しては如何かと。」
「あぁ、実家に?シュウ、どうする?」
「ナマエのご両親さえよければ。」
「じゃあ久々に帰ろうかな。
クリスマスに貰った炭酸キャンディがなくなってシュウも残念がってるし?
あんなに沢山あったのにあっという間に食べきったもんね。」
「…身体が浮くのが楽しくてな。」
シュウが少し気まずそうな顔をした。
「分かりました。伝えておきます。最近お父様は随分お疲れのようなので…お二人が来る事は大変癒しになるかと思います。」
「そんなに仕事、忙しいの?」
「えぇ…。ここの所凶悪な犯罪組織が猛威を振るっていましてね。前々から目をつけてはいたようですが、最近になって更に酷くなりまして。」
「大丈夫なの?」
「とりあえずは下っ端から片付けているようです。
しかしなかなか中心部までたどり着けなくて。」
「まるで黒の組織のようだな…。」
「怖いね…。」
「ですから、次の帰省の際に外出される時は私達がお供いたします。」
「え、大丈夫だよ。自分達の身は守れるから。」
「いえ、想像以上の厄介な奴らです。何かあっては困ります。特に秀一様は非魔法族ですし。」
「…分かった。まぁ、行くとしてもダイアゴン横丁に少し買い物行くくらいだから。
じゃあ年末、よろしくね〜。」
「えぇ。では30日、お迎えにきます。」
そう言うと深々と頭を下げ、ハティは消えた。
ーーー
あっという間に30日になり、今実家の前にいる。
「会うのは結婚式以来か?随分と久しぶりだな。」
シュウの顔が珍しくほんの少しだけ強ばっている。
「大丈夫だよ、シュウ。…とは言っても会ったの数回だもんね。緊張するのは分かる。」
そう言った瞬間凄い勢いで玄関のドアが開いた。
「2人とも会いたかったよー!!!」
無駄にテンションが高い父が飛び出して来たかと思うと私達に被りつかんばかりに抱きついた。
「…お久しぶりです、お父さん。」
「相変わらず、秀一君物凄い鍛えてるねー!おーっ、流石!胸板カチカチ!」
「お父さん、抱きつくの強すぎ。そろそろ痛い。しかもシュウのこと触りすぎ。」
「あぁ、ごめん。」
「2人ともいらっしゃい。パパ、早く中に入れてあげて。」
「やっと解放された。…ただいま。」
家の中に入る頃にはシュウの顔は自然と綻んでいた。
父のテンションの高さは緊張を解すのだろう。
「腹は減ってないか?」
「来る前に朝ごはん食べたよ。」
「そうか。それなら少し庭で運動でもしてきたらどうだ?これをやろう。」
「何これ?」
父から錆びた宝箱のような形の小さい箱を渡された。
「今開けるなよ。中にはスニッチが入ってる。」
スニッチとは、魔法界のスポーツ・クィディッチで使う小さい金色のボールだ。
大きさはクルミ大、羽が生えており自由自在に凄い速さで飛ぶ。
クィディッチではいかに早くこのスニッチを捕まえるかで勝敗が決まると言ってもいい。
「え、シュウ箒乗れないよ?」
「後ろにハティかスコールを乗せれば良い。」
そう言うと足元に何か小さいものが走ってきた。
まるでチワワくらいの小さい黒い子犬。
「もしかして、スコール?」
「正解!」
傍から見たら異様だろう。小さい子犬が喋っているのだから。
「ホォー。人型になれるだけではなく、小さくもなれるのか。便利だな。」
「俺を箒に乗せておいてくれれば飛べるぞ。」
「っ…落ちないか?大丈夫か?抱き抱えておけば良いのか?」
「大丈夫だ、俺は落ちないようにしておくし万一落ちても別に怪我も死にもしないから。それより自分が落ちないように気をつけろよ!」
シュウはニヤリと笑うと当然だとばかりに頷いた。
庭に出てシュウに箒を渡すが、手に持った所で何も動かない。ただの掃除用の箒にしか見えないだろう。
シュウが跨った所で、箒のフサフサした部分にスコールが乗る。その瞬間少々箒は命が宿ったかのように突然ふわりと1m程浮いた。
箒の後ろに黒い生き物。跨る魔法使い。
その光景があまりにも既視感がありすぎて、思わず吹き出した。
「あははは!ヤバ!魔女の宅急便かな?」
「猫じゃないけどね。でも耳が立っているし、リボンでもつけたら結構いい線いくと思うんだよねぇ〜!」
そうノリノリで話すスコールの首もとにリボンを巻くことを想像したら似合いすぎて笑い転げた。
「やめてくれ、手の力が抜ける。」
シュウまで釣られて笑いだした。
ひとしきり笑った所で私も箒に跨る。その瞬間私もふわりと体が浮いた。
「じゃあ、スニッチ離すよ。頑張って捕まえてね!」
箱を開けるとスニッチが勢いよく飛び出した。
シュウがゆっくりと浮上したのを確認して私も浮く。
2人で何度か上下に飛び軽く練習。
魔法使いではないのに案外シュウはさまになってる。
「やはり箒の方があの浮く飴よりも楽しいな。やはり魔法使いが羨ましい。」
数分飛ぶ事自体を楽しんだ後、捕まえてくると一言言い凄い速さで飛び出して行った。
私も負けじとスピードを上げるも、なかなかついていけない。私の方が歴が長いのになんでだ。
「取れたぞ。」
手にはキラキラと輝く金色の玉。
「わ、凄い!!多分非魔法族で初めてスニッチを掴んだ人だと思う!」
「クィディッチの選手になれるぜ!」
スコールも後ろで感嘆の声を上げた。
「流石だねぇ、秀一君!」
気付いたら父が下から見上げていた。
「前にも言ったけど、僕息子とクィディッチするの夢だったんだよ。よかったら競走してくれないかな?
どっちが先にスニッチを捕まえられるか。」
「構いませんが、俺はまだまだ初心者なのでお相手になれるかどうか。」
「僕も多少手加減するから。」
降りてきた私からヒョイっと箒を奪うと父が乗った。
「ナマエ、カウントしてくれ。」
「5・4・3・2・1…Go!」
手を開くとスニッチはあっという間に見えなくなった。…私にとっては。
どうやら2人にはスニッチの姿が見えているようで、勢いよく箒で飛び出していった。
2人とも、ムキになって楽しそうだ。
しばらく楽しんでいるようなので私は暇つぶしに庭の花の色を変えて楽しんでいた。
気づいたら降りてきたようなので振り返るとスニッチを手に持った父が見えた。
「ねぇー!秀一君、僕に手加減したでしょ?掴めたのに掴まなかった。僕見てたよ、ちゃんと!
義父だからって遠慮しないでよね。」
「…すいません、無意識に。」
「あはは。冗談。僕に花を持たせてくれてありがとう。秀一君が非魔法族でよかった。
もし魔法使いだったら僕より凄い魔法使いになってただろうね。」
3人で笑いあっていると窓からひょっこり顔を出す母に呼ばれた。
「ナマエ、ちょっと見てもらいたいものがあるんだけど!」
「今行くー!…シュウはどうする?」
「お父さん、もう少し飛んでいても良いですか?」
「勿論だよ。じゃあ、僕と一緒に少し遠くの方に行こうか?最近出来た喫茶店のコーヒー、美味しいんだ。」
「2人とも、気をつけてね。スコールも。」
「旦那借りるよー。」
「いってらっしゃい。」
家の中に入ると母がニヤついていた。
「今日は秀一君が来てくれてよかった。久しぶりにパパのあんな嬉しそうな笑顔見れたわ。
最近怖〜〜い顔しかしてなかったからね。」
「え?あの愛妻家のお父さんが、お母さんにも怖い顔してたの?」
「私の前では取り繕ってたけどね、ふと見ると酷い顔してたわ。私の前では無理してるから。」
「夫婦なんだから、そんなに気を使うことないのに。」
「あんた分かってないわね。男っていうのはいつでも自信満々に居たい生き物なの。
特に愛する女性の前ではね。
秀一君だって辛くてもあんまり表情に出さないでしょう?妻の前では余裕あるフリをしていたいのよ。
プライドって奴よ。」
「…なるほど…。それで、見て欲しいものって?」
「学生時代のものがごっそり出てきたの。
羊皮紙の束がこんなに。あと制服とか、なんかよく分からない魔法薬の小瓶も。」
「うーわ…。」
「あと杖もあったわよ。」
「あっ、ホントだ!探してたんだ、ありがとう。」
「杖を失くす魔女なんて貴女くらいよ。気をつけなさい!まったくもう。」
「はーい。」
今日はこの片付けに追われそうだ…。
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