ビルから出るとポツポツと雨が降りはじめた。

「シュウ…」
「助けられなかった。せっかく探してくれたんだが。」
「シュウは悪くない…。だって…だってぇっ…ううっ。」
彼女の目には涙が浮かんでいる。
「それ以上は何も言うな。悪いのは俺だ。

…さっさと引き上げろ。しばらくは俺にかまうな。」
怒りが湧き上がりついナマエを睨み、強くあたってしまった。この怒りは自分に対する怒りだ。
最低だな。自分が悪いのにナマエに八つ当たりするなど。

自室へ帰りスコッチを殺したと報告する。
バーボンが後処理をすることを伝えた。
もう部屋には居られない。
自分の最低限の荷物を纏めて部屋を出た。

今回の事で不幸にも黒の組織の俺に対する信頼が深くなったらしい。
バーボンとは離れ、それぞれ部屋が与えられた。
それからは一度もバーボンには会っていない。
今後できる限り合わないことを願う。

彼は俺をずっと恨み、憎しみ続ければ良い。
バーボンへの唯一の贖罪だ。