第3章〈完結〉
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「兄さーん、機嫌なおしてよー!これ、せっかく良いワイン貰ったから一緒に呑もうと思って持ってきたんだよ!」
「…まったく、ティーンじゃあるまいし夫婦の問題は自分達でどうにかしろよ。」
「それがさー、理由が分からないんだよ。由美タン全然教えてくれなくてさ。喧嘩っていうか、一方的なんだよ…。」
「はぁー…。」
「急にお邪魔したのは悪かったけど、助けてよー。」
「…そもそもお前は色々と察しが良いんだからじっくりと詰めよれば分かるんじゃないのか?」
「…由美タンの事になるとてんでダメになるんだ…。
分かるでしょ?愛する人を前にすると思いもよらない行動しちゃったり、周りが見えなくなったり…。
そもそも僕は由美タンに駆け引きはしたくないんだ!」
「まぁ、分からなくもないが…。」
「それにたまには兄弟仲良く一緒に過ごそうよ!ねっ!兄さん!」
「…今日だけだぞ。」
秀吉の笑顔に絆され渋々了承した。
ナマエの部屋に行くと紅茶の良い香りがした。由美さんが持ってきてくれたらしい紅茶とクッキーを手に談笑していた。
「由美タンが紅茶とクッキー持ってきてくれたの!
紅茶淹れたから2人も飲もうよ。美味しいよー。」
「由美さんありがとう。貰うよ。」
ソファーに座ると用意されていたティーカップに注がれた。ダージリンか。
「そういえば、お兄さんってよくナマエちゃんの左側に居ますよね。椅子に座る時は特に。」
「俺は左利きなんだ。逆に座ると肘がぶつかる。」
「へー。左利きってなんだかカッコイイ。」
「そうでもない、不便な事はよくある。
駅の改札機は利き手と逆な為に体の向きを変えないといけない。
自動販売機も右側に金を入れる所があるから左手だと入れづらい。
それにこうやって左側にいないと食事をする時肘がぶつかるから気をつけないといけないしな。」
「兄さん昔、ハサミで苦労してたよね。左利き用じゃないと上手く切れないって。」
「それは今でもあるな。今はハサミを使う事は少ないから問題ないが。」
「そういえば私、ハサミ使ってるのをほとんど見た事ないかも。」
「だろうな。」
「…左利きって意外と苦労するのね。知らなかった。」由美タンが苦笑いをして紅茶を啜った。
「そういえば後で買い物行かないと。お昼ご飯にするにも冷蔵庫が結構すっからかん。」
「ねぇ!後でお昼ご飯外に食べに行かない?ウェルカムバーガーの新作が気になってて!」
「あっ、それ私も気になってた!期間限定のやつ!
何時に行こうか?もう行っちゃう?」
「行っちゃいましょうか!混むかもしれないし。」
「俺の部屋、鍵かけてくる。…歩きでいいか?車が良ければ鍵を取ってくるが。」
「あっ、近いから歩きで大丈夫です!」
ウェルカムバーガーの店は歩いて10分位の所にある。前方に二人、少し離れた後方に秀吉と2人で歩いていた。
「由美さんはお前の事1度も見ようとしないな。」
「そうなんだよ。怒られるっていうよりも顔を見ない、口数が少ない、喋っても言葉がツンツンしてるという感じで…。冷たいんだよ。」
「本当に何したんだお前は。」
その時"あれって、太閤名人じゃない?"という声が少し遠くから聞こえた。
「どうも!」手を挙げてにこやかに返事をする秀吉に女達は華やいでいる。
「そういう所じゃないのか?」
「何が?」
「誰にでも優しすぎる所だ。昔から愛想が良すぎる。
…女性に勘違いされる事は少なくないんじゃないか?」
「んー…結婚前は週刊誌にある事ない事好きにかかれてたけど、そもそも由美タンそういうの気にしないタイプだし。今は週刊誌に将棋のこと以外で書かれることは無いよ。
特に飲み会とかあっても行かないし、どこへ行っても由美タンの事を惚気けてるから誰も勘違いなんてしないよ!」
「そうか。俺はてっきり浮気を疑われているのかと思ったが…その線は低そうだ。」
「僕が浮気なんてする訳ないでしょ!兄さんも分かってるでしょ!
僕、結婚してから堂々と由美タンと外を歩けるから嬉しいんだ。今までバレないし、楽だからずっとジャージに無精髭生やしてダラダラしてたんだけど…由美タンといるには相応しい男になろうと思って!
最近はこうしてずっとちゃんとした格好をしているんだよ!」
「そうか。それは良いがせめて帽子かサングラスを身につけろ。俺まで悪目立ちする。」
道を歩く女達が俺まで好奇の目で見ていた為、
ポケットに入れていたサングラスを秀吉に押し付けた。
「…兄さん、サングラスまでタバコ臭い。」
「文句言うな。」秀吉を小突いて店のドアを開けてやった。
「ナマエちゃん、由美タン、先に頼んでて。僕達先に席取ってくるから。」
「頼んだわよ。」
「ありがとう秀吉君。」
トレーを持って戻ってきた二人と交代で注文へ行った。
「秀吉、何頼むんだ?」
「てりやきバーガー。日本に来て食べた時に美味しすぎて衝撃を受けたなぁ。だからこれしか頼まないんだ!兄さんは?」
「ビッグバーガー。日本のは量が少ないからな。」
「てりやき食べた事ある?」
「あるが、あれ一つだと足りなくてな…。他のを頼むのも手間だからこればっかり頼んでしまう。」
混んでいなかったのですぐにトレーを受け取り席についた。
「シュウ、またそれ頼んでる。」「つい。」
「秀吉、あんたホントにてりやきしか食べないわね。」
「美味しいよ?」秀吉が困ったようにニコニコしている。
冷たいアイスコーヒーにストローを突っ込んで口に含むと、身体の暑さが少し和らいだ。
日本は好きだが、この日本の湿度のある暑さだけはどうしても好きになれない。
ナマエ達は一言二言喋った後、黙々とハンバーガーと格闘していた。
「私、ハンバーガーを綺麗に食べれないのよねー。」
「分かる〜。中身が出てくるよね。私も気をつけながら食べてる。」ナマエが頷いた。
「バンズを潰して食うと食べやすいぞ。」
「えっ!?パンのふわふわ感が無くなっちゃう!」
「私もシュウの意見に反対。アメリカだとそうやって食べてる人多いけどね…。
由美タン、上と下をひっくり返しておさえて食べると出にくいよ。」
「そうなの?やってみる。」
ハンバーガーを潰して黙々と食べているとナマエがじっと見つめてきた。
「シュウが大口開けて食べてるのってレア。」
「?…齧りつかないと食えんだろ。」
「そうなんだけどね。シュウっていつも綺麗に食べてるからこう、がっつり食べてる姿なんか良いなって。
秀吉君も食べ方綺麗だよね!」
「母さん厳しかったからねー。おかげでテレビ番組とかで何か食べる時は助かってるよ!」
「それで年頃の時は随分母さんと喧嘩になったな…。」
「兄さんしょっちゅう何かあると殴り合いの喧嘩してたよね。正直ちょっと怖かったよ。」
「若い頃は気性が荒かったんだ。悪かったな。」
「お兄さんが反面教師になって秀吉みたいな性格が出来上がったのね。」
「どうかな、秀吉と真純の性格は父さん譲りじゃないか?」
「そうかもね。
…でも僕は怒るとあんなに怖くないよ。」
「いや、お前も素質あるぞ。」
「えっ?務武お父さん、怒るとどうなるんですか?絶対怒らなそう、いつも紳士的だし…。」
「表面上はな…。」
思い出すだけでも背筋が凍りそうだ。
「笑顔で何もかも握りつぶすような人だよ。色んな意味で。」秀吉も身震いしていた。
「笑顔で怒られるのは本当に怖い。俺には真似出来ない。」
その後、他愛もない会話をしつつ全て平らげて店を出る事にした。
「…まったく、ティーンじゃあるまいし夫婦の問題は自分達でどうにかしろよ。」
「それがさー、理由が分からないんだよ。由美タン全然教えてくれなくてさ。喧嘩っていうか、一方的なんだよ…。」
「はぁー…。」
「急にお邪魔したのは悪かったけど、助けてよー。」
「…そもそもお前は色々と察しが良いんだからじっくりと詰めよれば分かるんじゃないのか?」
「…由美タンの事になるとてんでダメになるんだ…。
分かるでしょ?愛する人を前にすると思いもよらない行動しちゃったり、周りが見えなくなったり…。
そもそも僕は由美タンに駆け引きはしたくないんだ!」
「まぁ、分からなくもないが…。」
「それにたまには兄弟仲良く一緒に過ごそうよ!ねっ!兄さん!」
「…今日だけだぞ。」
秀吉の笑顔に絆され渋々了承した。
ナマエの部屋に行くと紅茶の良い香りがした。由美さんが持ってきてくれたらしい紅茶とクッキーを手に談笑していた。
「由美タンが紅茶とクッキー持ってきてくれたの!
紅茶淹れたから2人も飲もうよ。美味しいよー。」
「由美さんありがとう。貰うよ。」
ソファーに座ると用意されていたティーカップに注がれた。ダージリンか。
「そういえば、お兄さんってよくナマエちゃんの左側に居ますよね。椅子に座る時は特に。」
「俺は左利きなんだ。逆に座ると肘がぶつかる。」
「へー。左利きってなんだかカッコイイ。」
「そうでもない、不便な事はよくある。
駅の改札機は利き手と逆な為に体の向きを変えないといけない。
自動販売機も右側に金を入れる所があるから左手だと入れづらい。
それにこうやって左側にいないと食事をする時肘がぶつかるから気をつけないといけないしな。」
「兄さん昔、ハサミで苦労してたよね。左利き用じゃないと上手く切れないって。」
「それは今でもあるな。今はハサミを使う事は少ないから問題ないが。」
「そういえば私、ハサミ使ってるのをほとんど見た事ないかも。」
「だろうな。」
「…左利きって意外と苦労するのね。知らなかった。」由美タンが苦笑いをして紅茶を啜った。
「そういえば後で買い物行かないと。お昼ご飯にするにも冷蔵庫が結構すっからかん。」
「ねぇ!後でお昼ご飯外に食べに行かない?ウェルカムバーガーの新作が気になってて!」
「あっ、それ私も気になってた!期間限定のやつ!
何時に行こうか?もう行っちゃう?」
「行っちゃいましょうか!混むかもしれないし。」
「俺の部屋、鍵かけてくる。…歩きでいいか?車が良ければ鍵を取ってくるが。」
「あっ、近いから歩きで大丈夫です!」
ウェルカムバーガーの店は歩いて10分位の所にある。前方に二人、少し離れた後方に秀吉と2人で歩いていた。
「由美さんはお前の事1度も見ようとしないな。」
「そうなんだよ。怒られるっていうよりも顔を見ない、口数が少ない、喋っても言葉がツンツンしてるという感じで…。冷たいんだよ。」
「本当に何したんだお前は。」
その時"あれって、太閤名人じゃない?"という声が少し遠くから聞こえた。
「どうも!」手を挙げてにこやかに返事をする秀吉に女達は華やいでいる。
「そういう所じゃないのか?」
「何が?」
「誰にでも優しすぎる所だ。昔から愛想が良すぎる。
…女性に勘違いされる事は少なくないんじゃないか?」
「んー…結婚前は週刊誌にある事ない事好きにかかれてたけど、そもそも由美タンそういうの気にしないタイプだし。今は週刊誌に将棋のこと以外で書かれることは無いよ。
特に飲み会とかあっても行かないし、どこへ行っても由美タンの事を惚気けてるから誰も勘違いなんてしないよ!」
「そうか。俺はてっきり浮気を疑われているのかと思ったが…その線は低そうだ。」
「僕が浮気なんてする訳ないでしょ!兄さんも分かってるでしょ!
僕、結婚してから堂々と由美タンと外を歩けるから嬉しいんだ。今までバレないし、楽だからずっとジャージに無精髭生やしてダラダラしてたんだけど…由美タンといるには相応しい男になろうと思って!
最近はこうしてずっとちゃんとした格好をしているんだよ!」
「そうか。それは良いがせめて帽子かサングラスを身につけろ。俺まで悪目立ちする。」
道を歩く女達が俺まで好奇の目で見ていた為、
ポケットに入れていたサングラスを秀吉に押し付けた。
「…兄さん、サングラスまでタバコ臭い。」
「文句言うな。」秀吉を小突いて店のドアを開けてやった。
「ナマエちゃん、由美タン、先に頼んでて。僕達先に席取ってくるから。」
「頼んだわよ。」
「ありがとう秀吉君。」
トレーを持って戻ってきた二人と交代で注文へ行った。
「秀吉、何頼むんだ?」
「てりやきバーガー。日本に来て食べた時に美味しすぎて衝撃を受けたなぁ。だからこれしか頼まないんだ!兄さんは?」
「ビッグバーガー。日本のは量が少ないからな。」
「てりやき食べた事ある?」
「あるが、あれ一つだと足りなくてな…。他のを頼むのも手間だからこればっかり頼んでしまう。」
混んでいなかったのですぐにトレーを受け取り席についた。
「シュウ、またそれ頼んでる。」「つい。」
「秀吉、あんたホントにてりやきしか食べないわね。」
「美味しいよ?」秀吉が困ったようにニコニコしている。
冷たいアイスコーヒーにストローを突っ込んで口に含むと、身体の暑さが少し和らいだ。
日本は好きだが、この日本の湿度のある暑さだけはどうしても好きになれない。
ナマエ達は一言二言喋った後、黙々とハンバーガーと格闘していた。
「私、ハンバーガーを綺麗に食べれないのよねー。」
「分かる〜。中身が出てくるよね。私も気をつけながら食べてる。」ナマエが頷いた。
「バンズを潰して食うと食べやすいぞ。」
「えっ!?パンのふわふわ感が無くなっちゃう!」
「私もシュウの意見に反対。アメリカだとそうやって食べてる人多いけどね…。
由美タン、上と下をひっくり返しておさえて食べると出にくいよ。」
「そうなの?やってみる。」
ハンバーガーを潰して黙々と食べているとナマエがじっと見つめてきた。
「シュウが大口開けて食べてるのってレア。」
「?…齧りつかないと食えんだろ。」
「そうなんだけどね。シュウっていつも綺麗に食べてるからこう、がっつり食べてる姿なんか良いなって。
秀吉君も食べ方綺麗だよね!」
「母さん厳しかったからねー。おかげでテレビ番組とかで何か食べる時は助かってるよ!」
「それで年頃の時は随分母さんと喧嘩になったな…。」
「兄さんしょっちゅう何かあると殴り合いの喧嘩してたよね。正直ちょっと怖かったよ。」
「若い頃は気性が荒かったんだ。悪かったな。」
「お兄さんが反面教師になって秀吉みたいな性格が出来上がったのね。」
「どうかな、秀吉と真純の性格は父さん譲りじゃないか?」
「そうかもね。
…でも僕は怒るとあんなに怖くないよ。」
「いや、お前も素質あるぞ。」
「えっ?務武お父さん、怒るとどうなるんですか?絶対怒らなそう、いつも紳士的だし…。」
「表面上はな…。」
思い出すだけでも背筋が凍りそうだ。
「笑顔で何もかも握りつぶすような人だよ。色んな意味で。」秀吉も身震いしていた。
「笑顔で怒られるのは本当に怖い。俺には真似出来ない。」
その後、他愛もない会話をしつつ全て平らげて店を出る事にした。