第3章〈完結〉
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
"早朝に出かけて、夕方に帰宅する。"
シュウはこのルーティンを土日以外毎日行っていた。
それが1週間とちょっと経って、そろそろ自分も部屋で一人でいるのもつまらなくなった。
たまには朝ご飯を食べに出かけようと思い、スマホと財布と鍵を手に家を出た。
少し遠いけれども、ポアロへ歩いて行くことにした。
所々小学生が道を歩いている。
今は子供の登校時間か…。
子供達の列の横をいくつか通り、そろそろ着くなと思っていると少年探偵団の3人に会った。
「あれぇー!ナマエお姉さん!」
「あっ、ナマエおねーさんだ!」
「姉ちゃん久しぶりだな!」
「久しぶり!光彦君に歩美ちゃんと元太くん!
これから小学校?」
「そうですよ!ナマエお姉さんは昴さんに会いに行くんですか?」
「あの兄ちゃんのカレーが食べられるかもしれねーぞ!俺らも放課後、もちろん行くけどよ!」
「ん??昴?カレー?」
「あれ、もしかして…おねえさん昴さんと別れちゃったの?…それでもう会ってないの?」
歩美ちゃんに凄く心配そうな顔をさせてしまった。
「あっ、ううん、別れてないよ、違うんだけど…昴って何処にいるの?」
「「「ポアロ」」」
「…は?え?ポアロ?」
「行ってみれば分かるぜ!昴の兄ちゃんにカレー作っといてくれって言っといてくれよな!」
「元太くん…うん、よく分からないけど言っておくね。」
子供達とポアロの前にいたら店内から昴が出てきた。
箒を持って。
「昴!?えっ?」
「おや、ナマエ。来たんですね。
…3人とも、おはようございます。」
「「おはようございます」」
「おはよ!兄ちゃん今日もカレー作っといてくれよ!食いに行くからよ!」
「分かりました。お待ちしてます。」
子供達と別れ、何が何だか分からないまま店内に入った。
「ナマエ、お好きなお席にどうぞ。まだ誰も客は来てませんから。」
エプロンを締めながら席を指さされる。
とりあえずカウンター席に座った。
「昴、いつからポアロの店員に…?」
「9日前からですかね。」
「なんで?」
「理由は分かるでしょう?」
「少年探偵団?」
「そんな所です。メニューとお冷をどうぞ。」
「…ありがとう。梓ちゃんは?」
「替えのスタッフがほとんどいなかったので、彼女はずっと働き詰めだったようで…。
僕が入った代わりにしばらく休みを取ったようです。」
「あむ兄が…居なくなったから…だよね。」
「そうでしょうね。…ご注文は?」
「どうしようかなー。ん?ハムサンド?って、あの?安室特製の?」
「そうです。安室君から直々に1日でポアロの人気メニューの作り方をみっちり仕込まれましたから。」
「そんな事までしてたの?
…じゃあハムサンドと紅茶、ホットで。」
「かしこまりました。少々お待ちくださいね。」
カウンター越しに昴の手元がよく見える。
テキパキと手際よくサンドイッチを作っていく。
「手際良いね。」
「安室君に教わったものありますが、
元々ナマエと一緒に料理を作っていたからですよ。」
ポアロのエプロンを着けた昴が違和感満載で、
ついじーっと見つめていると
"そんなに見つめられては穴が開きます。"と窘められた。
出てきたサンドイッチにかぶりついた瞬間、店内に客が入ってきたようだ。
「お?沖矢?いつからポアロの店員になったんだ?
しかもナマエちゃんが客にいるし。
梓ちゃんは?」
「僕がバイトに入ったので代わりにしばらくお休みするようです。ずっと働き詰めだったようですから。」
「そうか。そういやぁ沖矢、世帯を持ったのに仕事はしてねぇのか?こんな所でバイトしていて大丈夫か?大黒柱だろ?」
「毛利さん、大丈夫ですよ。これでも他にも仕事をしていますから。」
「何の仕事しているんだ?」
「…ナマエ、毛利さんには僕の事、きちんと言っているんですか?」
「あっ、えっと…どこまで言っていいか分からなくて特に言ってない。」
「この際ですから協力してもらいましょう。
何か新しい情報が分かるかもしれませんし。」
「ん?何の事だ?」
「毛利さん、実は俺はFBIです。」
警察手帳をペロンと開くと写真と名前を隠すこともせずそのまま見せた。
目を開いて写真と見比べさせる。
「時折沖矢昴として変装して生活していますが、元々の名前は赤井秀一です。」
「え?は?どーゆう事!?FBI?」
「そうです。黒の組織壊滅させた後、しばらく日本に滞在して様子を見ています。
現在日本の事件の捜査を手伝っています。
そして、最近子供の誘拐事件が多発していますのでその捜査に。」
そう手帳をポケットに仕舞い目をまた細めた。
小五郎さんは顔を青くしたり白くしたりして動揺を隠せないらしい。
「毛利さん、この事は秘密でお願いしますね。」
そう言いながらお冷とメニューを手渡した。
「ものすげぇ爆弾発言…ビックリしたぞ…。
そうだったのか…。という事はもしや…。」
毛利さんが私をチラッと見た。
「私もFBIですよ。」
「そうなのね…。」
「毛利さん、何にします?」
「あっ…じゃあ俺もハムサンドとアイスコーヒー。」
「すぐにご用意しますね。
…それで、話を戻しますが誘拐事件の情報が何か入ったら教えて頂けますか?
それ以外にも探偵事務所に何か関係する依頼が入った時も出来れば教えて下さい。」
「FBIなら直々に警察に聞きに行けるんじゃねぇのか?」
「そうしたいんですが、僕の知り合いの公安警察の1人に"日本の事件にもう関わるな"と言われてしまっていて…捜査の事を教えて貰えないんです。」
安室にはきっと気晴らしでバイトをするとか誤魔化して料理を教えてもらったんだろうな。
事件のためだとバレたら怒られるよ…。
昴がハムサンドをまた作り始め、私は手元のサンドイッチを改めてかぶりついた。
「うん、美味しい。前にポアロで食べたそのまんま!」
「毛利さんも、ハムサンドです。お待たせしました。」
「おう、ありがとな。…ん!旨い!安室のサンドイッチそのままだな!沖矢も料理出来るんだな。」
「昔はさっぱりでしたけどね。今回安室君にみっちり教わりましたから。」
「安室と知り合いだったのか。」
「えぇ、昔からの友人です。」
「そうなのか。まぁアイツが元気なら安心だ。
…何せ急に居なくなっちまったからな。
弟子だった割に、俺はアイツの事何一つ知らないままだったな…。」
「彼は…秘密主義なんですよ。僕にも知らない事が沢山ありますから。毛利さんだけではないと思います。」
「そうか。…あいつはなんか妙に背負い込んでる所があるからな…友人として助けてやれよ。」
「…えぇ。まぁ僕が助けるより恋人が助けてくれるんじゃないですかね。」
「安室って恋人いるのか!?」
「割と最近ですけどね。」
「そうそう、看護師の、可愛い子。」
「ナースとは…あいつもやるなぁ…。」
ハムサンドを食べ終わると昴が紅茶を出してくれた。
何も言わなくてもいつも通りミルクたっぷり、砂糖なし。
紅茶を飲んでいると次々お客さんが入ってきた。
年齢層的には年配の女性ばかりだ。
「すばるくぅーん!また来たわよ!」
「あぁ、ありがとうございます。何にされますか?」
「アイスコーヒーでいいわ。」
「少々お待ちください。」
昴目当てで来ている客が多いようだ。
安室の受け売りなのか、いつもより人の良さそうな笑顔を貼り付けている。
「… ナマエちゃんも大変だな。」
毛利さんが苦笑した。
思いの外きちんと仕事をこなしているようで注文をとって料理を作ったり、会計したりとテキパキと一人で全て切り盛りしていた。
昼からはもう1人スタッフが来るから少しは楽らしい。
紅茶を飲み終えたのでそろそろ帰ることにした。
会計の紙を手に昴に声をかけると手元の紙を奪われて片目を開くと人差し指を口元に当ててしっ、とジェスチャーをした。
「…奢りです。本当は送って差し上げたいんですが…気をつけて帰って下さいね?」
耳元で囁かれてちょっと気恥ずかしくなった。
隣にいた毛利さんも気付いてちょっと照れたような顔をしていた。
「沖矢、イチャイチャするなら家でやれよ。」
「ふふ、すみません。」
すみませんとか言いながら1ミリも謝罪の気持ちが篭っていないのは明らかだ。
「じゃあまたね。」
「えぇ。」
店を出るとすぐに昴が追いかけてきた。
ポアロの窓ガラスの前で立ち止まった。
「忘れ物です。」
「えっ?何か忘れてた?鍵かな?」
考えていると唇に柔らかいものが触れた。
「お気をつけて。」
放心状態の私を置いてさっさと店に入っていった。
店内がガヤガヤした事に気付いて私もさっさとその場を立ち去った。
「あの位置からなら絶対店にいる人全員に見られたじゃん!もうしばらくポアロ行けない!」
耳まで赤くしながら帰り道を走った。
シュウはこのルーティンを土日以外毎日行っていた。
それが1週間とちょっと経って、そろそろ自分も部屋で一人でいるのもつまらなくなった。
たまには朝ご飯を食べに出かけようと思い、スマホと財布と鍵を手に家を出た。
少し遠いけれども、ポアロへ歩いて行くことにした。
所々小学生が道を歩いている。
今は子供の登校時間か…。
子供達の列の横をいくつか通り、そろそろ着くなと思っていると少年探偵団の3人に会った。
「あれぇー!ナマエお姉さん!」
「あっ、ナマエおねーさんだ!」
「姉ちゃん久しぶりだな!」
「久しぶり!光彦君に歩美ちゃんと元太くん!
これから小学校?」
「そうですよ!ナマエお姉さんは昴さんに会いに行くんですか?」
「あの兄ちゃんのカレーが食べられるかもしれねーぞ!俺らも放課後、もちろん行くけどよ!」
「ん??昴?カレー?」
「あれ、もしかして…おねえさん昴さんと別れちゃったの?…それでもう会ってないの?」
歩美ちゃんに凄く心配そうな顔をさせてしまった。
「あっ、ううん、別れてないよ、違うんだけど…昴って何処にいるの?」
「「「ポアロ」」」
「…は?え?ポアロ?」
「行ってみれば分かるぜ!昴の兄ちゃんにカレー作っといてくれって言っといてくれよな!」
「元太くん…うん、よく分からないけど言っておくね。」
子供達とポアロの前にいたら店内から昴が出てきた。
箒を持って。
「昴!?えっ?」
「おや、ナマエ。来たんですね。
…3人とも、おはようございます。」
「「おはようございます」」
「おはよ!兄ちゃん今日もカレー作っといてくれよ!食いに行くからよ!」
「分かりました。お待ちしてます。」
子供達と別れ、何が何だか分からないまま店内に入った。
「ナマエ、お好きなお席にどうぞ。まだ誰も客は来てませんから。」
エプロンを締めながら席を指さされる。
とりあえずカウンター席に座った。
「昴、いつからポアロの店員に…?」
「9日前からですかね。」
「なんで?」
「理由は分かるでしょう?」
「少年探偵団?」
「そんな所です。メニューとお冷をどうぞ。」
「…ありがとう。梓ちゃんは?」
「替えのスタッフがほとんどいなかったので、彼女はずっと働き詰めだったようで…。
僕が入った代わりにしばらく休みを取ったようです。」
「あむ兄が…居なくなったから…だよね。」
「そうでしょうね。…ご注文は?」
「どうしようかなー。ん?ハムサンド?って、あの?安室特製の?」
「そうです。安室君から直々に1日でポアロの人気メニューの作り方をみっちり仕込まれましたから。」
「そんな事までしてたの?
…じゃあハムサンドと紅茶、ホットで。」
「かしこまりました。少々お待ちくださいね。」
カウンター越しに昴の手元がよく見える。
テキパキと手際よくサンドイッチを作っていく。
「手際良いね。」
「安室君に教わったものありますが、
元々ナマエと一緒に料理を作っていたからですよ。」
ポアロのエプロンを着けた昴が違和感満載で、
ついじーっと見つめていると
"そんなに見つめられては穴が開きます。"と窘められた。
出てきたサンドイッチにかぶりついた瞬間、店内に客が入ってきたようだ。
「お?沖矢?いつからポアロの店員になったんだ?
しかもナマエちゃんが客にいるし。
梓ちゃんは?」
「僕がバイトに入ったので代わりにしばらくお休みするようです。ずっと働き詰めだったようですから。」
「そうか。そういやぁ沖矢、世帯を持ったのに仕事はしてねぇのか?こんな所でバイトしていて大丈夫か?大黒柱だろ?」
「毛利さん、大丈夫ですよ。これでも他にも仕事をしていますから。」
「何の仕事しているんだ?」
「…ナマエ、毛利さんには僕の事、きちんと言っているんですか?」
「あっ、えっと…どこまで言っていいか分からなくて特に言ってない。」
「この際ですから協力してもらいましょう。
何か新しい情報が分かるかもしれませんし。」
「ん?何の事だ?」
「毛利さん、実は俺はFBIです。」
警察手帳をペロンと開くと写真と名前を隠すこともせずそのまま見せた。
目を開いて写真と見比べさせる。
「時折沖矢昴として変装して生活していますが、元々の名前は赤井秀一です。」
「え?は?どーゆう事!?FBI?」
「そうです。黒の組織壊滅させた後、しばらく日本に滞在して様子を見ています。
現在日本の事件の捜査を手伝っています。
そして、最近子供の誘拐事件が多発していますのでその捜査に。」
そう手帳をポケットに仕舞い目をまた細めた。
小五郎さんは顔を青くしたり白くしたりして動揺を隠せないらしい。
「毛利さん、この事は秘密でお願いしますね。」
そう言いながらお冷とメニューを手渡した。
「ものすげぇ爆弾発言…ビックリしたぞ…。
そうだったのか…。という事はもしや…。」
毛利さんが私をチラッと見た。
「私もFBIですよ。」
「そうなのね…。」
「毛利さん、何にします?」
「あっ…じゃあ俺もハムサンドとアイスコーヒー。」
「すぐにご用意しますね。
…それで、話を戻しますが誘拐事件の情報が何か入ったら教えて頂けますか?
それ以外にも探偵事務所に何か関係する依頼が入った時も出来れば教えて下さい。」
「FBIなら直々に警察に聞きに行けるんじゃねぇのか?」
「そうしたいんですが、僕の知り合いの公安警察の1人に"日本の事件にもう関わるな"と言われてしまっていて…捜査の事を教えて貰えないんです。」
安室にはきっと気晴らしでバイトをするとか誤魔化して料理を教えてもらったんだろうな。
事件のためだとバレたら怒られるよ…。
昴がハムサンドをまた作り始め、私は手元のサンドイッチを改めてかぶりついた。
「うん、美味しい。前にポアロで食べたそのまんま!」
「毛利さんも、ハムサンドです。お待たせしました。」
「おう、ありがとな。…ん!旨い!安室のサンドイッチそのままだな!沖矢も料理出来るんだな。」
「昔はさっぱりでしたけどね。今回安室君にみっちり教わりましたから。」
「安室と知り合いだったのか。」
「えぇ、昔からの友人です。」
「そうなのか。まぁアイツが元気なら安心だ。
…何せ急に居なくなっちまったからな。
弟子だった割に、俺はアイツの事何一つ知らないままだったな…。」
「彼は…秘密主義なんですよ。僕にも知らない事が沢山ありますから。毛利さんだけではないと思います。」
「そうか。…あいつはなんか妙に背負い込んでる所があるからな…友人として助けてやれよ。」
「…えぇ。まぁ僕が助けるより恋人が助けてくれるんじゃないですかね。」
「安室って恋人いるのか!?」
「割と最近ですけどね。」
「そうそう、看護師の、可愛い子。」
「ナースとは…あいつもやるなぁ…。」
ハムサンドを食べ終わると昴が紅茶を出してくれた。
何も言わなくてもいつも通りミルクたっぷり、砂糖なし。
紅茶を飲んでいると次々お客さんが入ってきた。
年齢層的には年配の女性ばかりだ。
「すばるくぅーん!また来たわよ!」
「あぁ、ありがとうございます。何にされますか?」
「アイスコーヒーでいいわ。」
「少々お待ちください。」
昴目当てで来ている客が多いようだ。
安室の受け売りなのか、いつもより人の良さそうな笑顔を貼り付けている。
「… ナマエちゃんも大変だな。」
毛利さんが苦笑した。
思いの外きちんと仕事をこなしているようで注文をとって料理を作ったり、会計したりとテキパキと一人で全て切り盛りしていた。
昼からはもう1人スタッフが来るから少しは楽らしい。
紅茶を飲み終えたのでそろそろ帰ることにした。
会計の紙を手に昴に声をかけると手元の紙を奪われて片目を開くと人差し指を口元に当ててしっ、とジェスチャーをした。
「…奢りです。本当は送って差し上げたいんですが…気をつけて帰って下さいね?」
耳元で囁かれてちょっと気恥ずかしくなった。
隣にいた毛利さんも気付いてちょっと照れたような顔をしていた。
「沖矢、イチャイチャするなら家でやれよ。」
「ふふ、すみません。」
すみませんとか言いながら1ミリも謝罪の気持ちが篭っていないのは明らかだ。
「じゃあまたね。」
「えぇ。」
店を出るとすぐに昴が追いかけてきた。
ポアロの窓ガラスの前で立ち止まった。
「忘れ物です。」
「えっ?何か忘れてた?鍵かな?」
考えていると唇に柔らかいものが触れた。
「お気をつけて。」
放心状態の私を置いてさっさと店に入っていった。
店内がガヤガヤした事に気付いて私もさっさとその場を立ち去った。
「あの位置からなら絶対店にいる人全員に見られたじゃん!もうしばらくポアロ行けない!」
耳まで赤くしながら帰り道を走った。