第3章〈完結〉
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「晩御飯今用意するから。大体出来上がってるけど。」
「俺の事は気にするな。適当に買って食べる。」
「大丈夫、ついいつも通り二人分作っちゃったから。」
「そうか。」
今日はかぼちゃスープとタラのフライ、キャベツの千切り。
かぼちゃスープは一から全て手作りしたものだ。
色々考え込んでしまった時は料理が良い。
美味しいものを食べれるのもあるし、料理中は少しでも気が紛れた。
「美味そうだ。」
「どうぞ。」
「いただきます。…お、旨い。フライが柔らかいな。」
「そう?良かった。」
「君は料理得意なんだな。」
「得意かは分からないけど、料理するのは好き。以前は時々一緒に料理してたんだよ。」
「俺はきちんと料理出来ていたか?自信ないな。」
「最初は全然だったけど、1年経ったらだいぶ上達してた。基本的にシュウは器用だから。」
「そうか。また君から色々教わる必要がありそうだな。」
「あの、出来れば名前で呼んで欲しい。君って言われるのもなんか…。」
「すまない、あれだけ暴言を吐いた手前、急になれなれしく名前を呼ぶのは抵抗があって…。
ナマエ、で良いのか?」
「うん。」
「そうだ、ナマエ。後で俺のスマホを見てくれないか?
今は割と平和に暮らしていると言う割に、随分スマホのデータが少ない気がしてな。データが消えているのかもしれない。俺の事だからバックアップはとっているとは思うが。」
「分かった。爆発の衝撃で壊れちゃったのかもね…。電話使えないって言ってたし。新しいの買わないとだね。」
「そうだな。」
食後、シュウのスマホを見ると随分データが消えてしまっていた。写真のデータは6枚しかなかった。
一番古い写真は、昴が阿笠博士の家の庭で子供達と流しそうめんをしている写真。
元々そうめんを博士の発明した機械で流すつもりだったのが上手く作動せず、結局身長が高い昴が呼ばれてそうめんを流す係になった、と聞いた。
二枚目の写真はたまたま行ったカフェで私が何気なく撮ったシュウの写真。
三枚目は私が何故かスーパーで魚を吟味している写真。なんでこんなの隠し撮りしてるの!もう!
どうせ私が真剣な顔して魚見てるのが面白かったからだとか言いそう。
四枚目は昴とお花見行った時の写真。
五枚目と六枚目は旅行へ行った時の写真だった。
位置情報のデータは3つしか残っておらず、
一つはよく行くショッピングモール、
二つ目は近くのスーパー、
三つ目は近くの駅だった。
なんでこんな古い位置情報データしか残ってないの…。
「えっ、これだけの情報で家まで帰ってきたの?」
「あぁ。
初めに俺が写っていた喫茶店の写真からその店へ行ってみた。店員に聞いてみたが俺は特に常連ではなかったらしく見覚えはないと言われた。
次に位置情報のスーパーと駅が近かったから恐らくその近くに住んでいる可能性が高いと踏んだ。
まず位置情報のスーパーを見てみたんだが、背景から多分、ナマエが写っていた写真と同じ場所だろうと思った。まぁスーパーなんて同じような店が多いから怪しかったがな。
そのスーパーで数名に阿笠博士が写ったそのそうめんをしている写真を試しに見せた。そうしたら1人が阿笠博士を知っていてな。名前と住所を教えてくれた。
その後阿笠博士という人物を訪ねたら少し驚いていたよ。今日はその姿なのかと。
その真意は分からなかったが、スーパーでの写真を見せてこの黒髪の女性を探していると言ったら隣に住んでいた工藤新一という人物が出てきて住所を教えてくれた。」
「なるほど…。その、茶髪でメガネの人はシュウだよ。潜入捜査で死んだ事になっていたから沖矢昴という大学院生に変装して過ごしていたの。その阿笠博士の隣の家に居候して。」
「俺は工藤という家の人物と一緒に過ごしていたのか?」
「ううん、新一君はずっと不在だったから。」
「新一というのか。…どういう関係だ?」
少し咎めるような視線を向けられた。
「新一君は私の友達の彼氏なの。別に特別親しいとかはないよ!」
「そうか。」ほっとした顔をして部屋にノートパソコンを取りに行くと言って部屋を出た。
少し経ってげんなりとした顔で戻ってきた。
「データを復元させたかったがパソコンのパスワードが分からない。…調べるのが面倒だな。」
「あー…。」そういえばそうだ。メモなんて当然していないだろうし。
「とりあえず、さっさと記憶を戻す事に専念する。明日は朝食は不要だ。昼も作らなくて良い。」
「分かった。どこか行くの?」
「いや、家にいる予定なんだが試してみたい事があってな。」
「私も手伝うよ?」
「あー、いや、見苦しい所を見せるかもしれないから大丈夫だ。」
「え、何をする気?危険な事をしないでよ?」
「怪我するようなことでは無い。大丈夫だ。」
「そう…。」
食器洗いを終えてシュウを見るとカタカタとパソコンを操作していた。
「ダメだな、セキュリティが高くて何をしても開けそうにない。」
「そりゃそうでしょ、そのパソコンFBIから貸与されてるものだし。そうそう開けられないよ。
FBIに問い合わせしようか?パソコン遠隔で開けて貰えるように。」
「いや、そこまでは大丈夫だ。
…流石に今日は疲れた。早めに寝るよ。おやすみ。」
そう言って部屋を出ていこうとしたシュウの腕を思わず掴んでしまった。
「どうした?」
「あっ…えっと……なんでもない。」
「なんでもないと言う顔ではないが。」
「あの…。」恥ずかしくて目が泳ぐ。
「…一緒に寝たいのか?」冗談っぽくシュウが笑った。
無言で頷くと一瞬ポカンとした顔をされてしまった。
「そうか。分かった、ナマエが寝る支度をするまで俺の部屋で待っている。」
さりげなく頭を撫でられ隣の部屋に入って行った。
自分で引き止めておきながらああやって直球で言われると恥ずかしい。
少し赤くなった耳を触りながら洗面所へ向かった。
支度をして部屋に入るとシュウがアルバムを眺めていた。
「来たか。」
「お待たせしました。…アルバム?」
「あぁ。なにか思い出せるかと思ったんだが全然だった。…全体的に俺は随分腑抜けた顔をしているな。」
「腑抜けたというか、リラックスしてるんでしょ。まぁ組織壊滅するまでは常に殺気立ってたもんね。」
記憶を無くした今、組織壊滅前のシュウの雰囲気に戻ってしまっていた。
どこかピリついている、警戒心が抜けてない顔だ。
記憶がない今、本当に頼れるのは自分自身だろう。
少しでもシュウには以前と同じように家でリラックスして欲しい。
そう思うと切なくなって無言でシュウに抱きつくと強く抱きしめ返された。
「誘ってるのか?」
「いや、違っ!」
「冗談だ。寝るぞ。」パッと私を解放して電気を消した。
「おやすみ。」
「おやすみなさい。」
夜中目が覚めてしまった。
トイレに行き、戻って横になるとシュウが寝ながら抱きついてきた。
「ん… ナマエ、もっとこっちに来い。」
目を閉じたまましっかり私を抱きしめてそのまま動かなくなった。完全に寝ぼけている。
こんな寝言を聞かされたら、記憶喪失なんて、信じられないな。悲しい気持ちで眠りについた。
「俺の事は気にするな。適当に買って食べる。」
「大丈夫、ついいつも通り二人分作っちゃったから。」
「そうか。」
今日はかぼちゃスープとタラのフライ、キャベツの千切り。
かぼちゃスープは一から全て手作りしたものだ。
色々考え込んでしまった時は料理が良い。
美味しいものを食べれるのもあるし、料理中は少しでも気が紛れた。
「美味そうだ。」
「どうぞ。」
「いただきます。…お、旨い。フライが柔らかいな。」
「そう?良かった。」
「君は料理得意なんだな。」
「得意かは分からないけど、料理するのは好き。以前は時々一緒に料理してたんだよ。」
「俺はきちんと料理出来ていたか?自信ないな。」
「最初は全然だったけど、1年経ったらだいぶ上達してた。基本的にシュウは器用だから。」
「そうか。また君から色々教わる必要がありそうだな。」
「あの、出来れば名前で呼んで欲しい。君って言われるのもなんか…。」
「すまない、あれだけ暴言を吐いた手前、急になれなれしく名前を呼ぶのは抵抗があって…。
ナマエ、で良いのか?」
「うん。」
「そうだ、ナマエ。後で俺のスマホを見てくれないか?
今は割と平和に暮らしていると言う割に、随分スマホのデータが少ない気がしてな。データが消えているのかもしれない。俺の事だからバックアップはとっているとは思うが。」
「分かった。爆発の衝撃で壊れちゃったのかもね…。電話使えないって言ってたし。新しいの買わないとだね。」
「そうだな。」
食後、シュウのスマホを見ると随分データが消えてしまっていた。写真のデータは6枚しかなかった。
一番古い写真は、昴が阿笠博士の家の庭で子供達と流しそうめんをしている写真。
元々そうめんを博士の発明した機械で流すつもりだったのが上手く作動せず、結局身長が高い昴が呼ばれてそうめんを流す係になった、と聞いた。
二枚目の写真はたまたま行ったカフェで私が何気なく撮ったシュウの写真。
三枚目は私が何故かスーパーで魚を吟味している写真。なんでこんなの隠し撮りしてるの!もう!
どうせ私が真剣な顔して魚見てるのが面白かったからだとか言いそう。
四枚目は昴とお花見行った時の写真。
五枚目と六枚目は旅行へ行った時の写真だった。
位置情報のデータは3つしか残っておらず、
一つはよく行くショッピングモール、
二つ目は近くのスーパー、
三つ目は近くの駅だった。
なんでこんな古い位置情報データしか残ってないの…。
「えっ、これだけの情報で家まで帰ってきたの?」
「あぁ。
初めに俺が写っていた喫茶店の写真からその店へ行ってみた。店員に聞いてみたが俺は特に常連ではなかったらしく見覚えはないと言われた。
次に位置情報のスーパーと駅が近かったから恐らくその近くに住んでいる可能性が高いと踏んだ。
まず位置情報のスーパーを見てみたんだが、背景から多分、ナマエが写っていた写真と同じ場所だろうと思った。まぁスーパーなんて同じような店が多いから怪しかったがな。
そのスーパーで数名に阿笠博士が写ったそのそうめんをしている写真を試しに見せた。そうしたら1人が阿笠博士を知っていてな。名前と住所を教えてくれた。
その後阿笠博士という人物を訪ねたら少し驚いていたよ。今日はその姿なのかと。
その真意は分からなかったが、スーパーでの写真を見せてこの黒髪の女性を探していると言ったら隣に住んでいた工藤新一という人物が出てきて住所を教えてくれた。」
「なるほど…。その、茶髪でメガネの人はシュウだよ。潜入捜査で死んだ事になっていたから沖矢昴という大学院生に変装して過ごしていたの。その阿笠博士の隣の家に居候して。」
「俺は工藤という家の人物と一緒に過ごしていたのか?」
「ううん、新一君はずっと不在だったから。」
「新一というのか。…どういう関係だ?」
少し咎めるような視線を向けられた。
「新一君は私の友達の彼氏なの。別に特別親しいとかはないよ!」
「そうか。」ほっとした顔をして部屋にノートパソコンを取りに行くと言って部屋を出た。
少し経ってげんなりとした顔で戻ってきた。
「データを復元させたかったがパソコンのパスワードが分からない。…調べるのが面倒だな。」
「あー…。」そういえばそうだ。メモなんて当然していないだろうし。
「とりあえず、さっさと記憶を戻す事に専念する。明日は朝食は不要だ。昼も作らなくて良い。」
「分かった。どこか行くの?」
「いや、家にいる予定なんだが試してみたい事があってな。」
「私も手伝うよ?」
「あー、いや、見苦しい所を見せるかもしれないから大丈夫だ。」
「え、何をする気?危険な事をしないでよ?」
「怪我するようなことでは無い。大丈夫だ。」
「そう…。」
食器洗いを終えてシュウを見るとカタカタとパソコンを操作していた。
「ダメだな、セキュリティが高くて何をしても開けそうにない。」
「そりゃそうでしょ、そのパソコンFBIから貸与されてるものだし。そうそう開けられないよ。
FBIに問い合わせしようか?パソコン遠隔で開けて貰えるように。」
「いや、そこまでは大丈夫だ。
…流石に今日は疲れた。早めに寝るよ。おやすみ。」
そう言って部屋を出ていこうとしたシュウの腕を思わず掴んでしまった。
「どうした?」
「あっ…えっと……なんでもない。」
「なんでもないと言う顔ではないが。」
「あの…。」恥ずかしくて目が泳ぐ。
「…一緒に寝たいのか?」冗談っぽくシュウが笑った。
無言で頷くと一瞬ポカンとした顔をされてしまった。
「そうか。分かった、ナマエが寝る支度をするまで俺の部屋で待っている。」
さりげなく頭を撫でられ隣の部屋に入って行った。
自分で引き止めておきながらああやって直球で言われると恥ずかしい。
少し赤くなった耳を触りながら洗面所へ向かった。
支度をして部屋に入るとシュウがアルバムを眺めていた。
「来たか。」
「お待たせしました。…アルバム?」
「あぁ。なにか思い出せるかと思ったんだが全然だった。…全体的に俺は随分腑抜けた顔をしているな。」
「腑抜けたというか、リラックスしてるんでしょ。まぁ組織壊滅するまでは常に殺気立ってたもんね。」
記憶を無くした今、組織壊滅前のシュウの雰囲気に戻ってしまっていた。
どこかピリついている、警戒心が抜けてない顔だ。
記憶がない今、本当に頼れるのは自分自身だろう。
少しでもシュウには以前と同じように家でリラックスして欲しい。
そう思うと切なくなって無言でシュウに抱きつくと強く抱きしめ返された。
「誘ってるのか?」
「いや、違っ!」
「冗談だ。寝るぞ。」パッと私を解放して電気を消した。
「おやすみ。」
「おやすみなさい。」
夜中目が覚めてしまった。
トイレに行き、戻って横になるとシュウが寝ながら抱きついてきた。
「ん… ナマエ、もっとこっちに来い。」
目を閉じたまましっかり私を抱きしめてそのまま動かなくなった。完全に寝ぼけている。
こんな寝言を聞かされたら、記憶喪失なんて、信じられないな。悲しい気持ちで眠りについた。