第3章〈完結〉
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シュウに罵倒された後、医者や看護師に話を聞いてもらって少し落ち着いた。
どうやって帰ろうかと思案しているとメールが入っていた事に気付いた。
公安の職員が気を使ってシュウの車を病院の駐車場に置いてくれた事が記載されていた。
鍵は受付に預けてあるとのこと。
そういえばシュウから預かった車の鍵を公安のデスクの上に置きっぱなしだった。…有難い。
駐車場に向かい、シュウのマスタングに乗り込んだ。
本当なら一緒にこのマスタングに乗って帰るはずだったのに。
色々考えて涙がまた出てきそうだけど、きちんと報告しなければ。
手に握っていたスマホでジェイムズに連絡をし、淡々と事実を伝えて相手の返事を待たずに電話を切った。
涙を堪えながら今度は安室に連絡をした。
「もしもし…あむ兄…。」
「どうした?何があった?赤井に何かー」
安室の声を聞いて堰を切ったように涙が止まらなくなった。
「シュウが…シュウが…記憶を…、」
かろうじて言えたのはそれだけだった。
「分かった、これは僕の責任だ。あいつを殴ってでも思い出させてやる。今どこだ?」
「ヒクッ…病…院の…駐車…場…。」
「今運転はするなよ。精神が不安定な時は事故が起きやすい。すぐ迎えに行くから、待ってて。」
通話が切れてツーツーという電子音だけが車内に響いた。
辛くて悲しくて仕方がなかった。
生きていてくれただけで十分なのだろうが、今までの10年以上の思い出を全て忘れられるという事はこんなにも辛いことなのだろうか。
車のハンドルにもたれかかってこれでもかと泣き腫らした。ハンドルは涙で濡れ、水滴が滴る。
車内はシュウのタバコの匂いや時々つける香水の香りがする。嫌でも彼の事を思い出した。
魔法で記憶くらいなんとかなるのではないか、と思う人もいると思う。
けど、記憶というものは難しくて、消すことはとても簡単だけれど復元させることは本当に難しい。
魔法界では記憶を失った人は聖マンゴ魔法疾患傷害病院でヒーラーという職業の人達が治療に当たる。
それでも治る人は極わずかだ。
もしかしたらもう二度と思い出してもらえない上に一緒に過ごせることはないかもしれない。
私は嫌われているようだった。
彼の前から去るべきだろうか。
FBIを辞めていっそ父の闇払いを手伝った方が良いのか。
そんな事を考えていたら窓からコツコツと叩く音が聞こえた。
声を出したつもりだが泣きすぎて声も出なくなっていた。
掠れて微かに出た声と息が漏れただけだった。
ドアがガチャリと開き運転席から引っ張りだされた。
「自殺とか、変な事は考えていないだろうな?」
今まで見た事ない位怖い顔をした安室がいた。
「うん。」少し声が出た。
返答にほっとした顔をして助手席に乗せられ安室が運転席に乗り込んだ。
「それで、状況を話せるか?」
「…多分、ライの頃の記憶が少し残っているみたい。辛くて悲しい記憶だから覚えているんじゃないかって。」
「なんだと…。」
「私の事は1夜だけの女だと思ってる。前に媚薬盛られた時に会ったからそれは覚えていたみたい…。」
「…はぁ…。とりあえず午後に会ってみるよ。
このまま家まで送るけど、変な事は考えるなよ。
アイツはタフだからすぐ思い出すよ。大丈夫、絶対。」「うん、ありがとう…。」
安室がマスタングを運転しているのが酷く違和感がある。
「左ハンドルでも運転出来るんだね。」
「外車は好きじゃないけどな。一応運転は問題ないよ。…まぁ僕のRX-7が一番だけどね。」
真顔で冗談まじりに言うのが可笑しくて思わず笑った。
「良かった、ようやく笑顔が見れた。」
「面白くてつい。」
「そうやって笑っていた方が良い。アイツも君の笑顔が好きだと言っていた。」
「そんな事言ってたの…?」
「時々一緒に飲みに言ってたけど、赤井は酔っぱら…ってるのか分からないけど、とにかく酒が進むとよく惚気けていたよ。
何を言ってたか知りたかったら殴ってでも思い出させて話を聞いてくれ。」
「うん。」
"安室"ではなく"降谷"としての言葉なんだろう。
普段と違って不器用な返答が心に響いた。
家に着いて鍵を受け取るとさっさと帰っていった。
とりあえず何か出来ることはないかと魔法薬学書を読み漁る事にした。
どうやって帰ろうかと思案しているとメールが入っていた事に気付いた。
公安の職員が気を使ってシュウの車を病院の駐車場に置いてくれた事が記載されていた。
鍵は受付に預けてあるとのこと。
そういえばシュウから預かった車の鍵を公安のデスクの上に置きっぱなしだった。…有難い。
駐車場に向かい、シュウのマスタングに乗り込んだ。
本当なら一緒にこのマスタングに乗って帰るはずだったのに。
色々考えて涙がまた出てきそうだけど、きちんと報告しなければ。
手に握っていたスマホでジェイムズに連絡をし、淡々と事実を伝えて相手の返事を待たずに電話を切った。
涙を堪えながら今度は安室に連絡をした。
「もしもし…あむ兄…。」
「どうした?何があった?赤井に何かー」
安室の声を聞いて堰を切ったように涙が止まらなくなった。
「シュウが…シュウが…記憶を…、」
かろうじて言えたのはそれだけだった。
「分かった、これは僕の責任だ。あいつを殴ってでも思い出させてやる。今どこだ?」
「ヒクッ…病…院の…駐車…場…。」
「今運転はするなよ。精神が不安定な時は事故が起きやすい。すぐ迎えに行くから、待ってて。」
通話が切れてツーツーという電子音だけが車内に響いた。
辛くて悲しくて仕方がなかった。
生きていてくれただけで十分なのだろうが、今までの10年以上の思い出を全て忘れられるという事はこんなにも辛いことなのだろうか。
車のハンドルにもたれかかってこれでもかと泣き腫らした。ハンドルは涙で濡れ、水滴が滴る。
車内はシュウのタバコの匂いや時々つける香水の香りがする。嫌でも彼の事を思い出した。
魔法で記憶くらいなんとかなるのではないか、と思う人もいると思う。
けど、記憶というものは難しくて、消すことはとても簡単だけれど復元させることは本当に難しい。
魔法界では記憶を失った人は聖マンゴ魔法疾患傷害病院でヒーラーという職業の人達が治療に当たる。
それでも治る人は極わずかだ。
もしかしたらもう二度と思い出してもらえない上に一緒に過ごせることはないかもしれない。
私は嫌われているようだった。
彼の前から去るべきだろうか。
FBIを辞めていっそ父の闇払いを手伝った方が良いのか。
そんな事を考えていたら窓からコツコツと叩く音が聞こえた。
声を出したつもりだが泣きすぎて声も出なくなっていた。
掠れて微かに出た声と息が漏れただけだった。
ドアがガチャリと開き運転席から引っ張りだされた。
「自殺とか、変な事は考えていないだろうな?」
今まで見た事ない位怖い顔をした安室がいた。
「うん。」少し声が出た。
返答にほっとした顔をして助手席に乗せられ安室が運転席に乗り込んだ。
「それで、状況を話せるか?」
「…多分、ライの頃の記憶が少し残っているみたい。辛くて悲しい記憶だから覚えているんじゃないかって。」
「なんだと…。」
「私の事は1夜だけの女だと思ってる。前に媚薬盛られた時に会ったからそれは覚えていたみたい…。」
「…はぁ…。とりあえず午後に会ってみるよ。
このまま家まで送るけど、変な事は考えるなよ。
アイツはタフだからすぐ思い出すよ。大丈夫、絶対。」「うん、ありがとう…。」
安室がマスタングを運転しているのが酷く違和感がある。
「左ハンドルでも運転出来るんだね。」
「外車は好きじゃないけどな。一応運転は問題ないよ。…まぁ僕のRX-7が一番だけどね。」
真顔で冗談まじりに言うのが可笑しくて思わず笑った。
「良かった、ようやく笑顔が見れた。」
「面白くてつい。」
「そうやって笑っていた方が良い。アイツも君の笑顔が好きだと言っていた。」
「そんな事言ってたの…?」
「時々一緒に飲みに言ってたけど、赤井は酔っぱら…ってるのか分からないけど、とにかく酒が進むとよく惚気けていたよ。
何を言ってたか知りたかったら殴ってでも思い出させて話を聞いてくれ。」
「うん。」
"安室"ではなく"降谷"としての言葉なんだろう。
普段と違って不器用な返答が心に響いた。
家に着いて鍵を受け取るとさっさと帰っていった。
とりあえず何か出来ることはないかと魔法薬学書を読み漁る事にした。